19日のシネ・ラ・セットでの舞台挨拶に続き、朝日ホールでのコンペ上映でイランの映画監督アボルファズル・アジャリリのQ&Aが行われた。

−−−音楽がとてもよかったのですが、音楽はどのように決めているのですか?
音についてですが、脚本の段階で、どんな音楽を使うのか考えて使っています。
−−−アフガニスタンの男性とイランの女性が結婚するシーンがありましたが、規制などがあるのでしょうか?
不法滞在ではない人たちの結婚には規制はありませんし、実際に結婚して生まれた子供にはかわいくて美人が多いです。日本人とイラン人が結婚してできた子供のようにかわいいです。
−−−少年の“キャイーン”という名前を映画の中で警官が意味を聞いていましたが、実際に名前にはどんな意味があったのでしょうか?
アラーの神の名前のひとつです。少年を選ぶときに自分の心が動かないと選べませんし、好きにならないと使えません。彼の場合は、車で道を走っているときに、影のような人が立っているのに気がつき、Uターンして戻って彼に会ってみると表情も想像していた少年だったわけです。
−−−どのようにキャストを選ぶのですが、過去の作品で少年院に一ヶ月も一緒に生活したりしてキャスティングしたとか聞いたことがあります。
キャストを選ぶときは、どこの出身ですか?と聞いてみたりします。話をして打ち解けるようにします。アフガニスタン人の人たちは映画の撮影を嫌う人が多いようで、1ヶ月くらい彼らと話をして説得してからキャストを選びます。最後の手段として私の両親はアフガニスタン人で、自分はイランで生まれたので、言葉は離せないんですよ。なんていったりして理解してもらったりもします。そうすると信じてくれたりします。
−−−映画で使われている音楽で、ポップスが使われていましたが、イランでは音楽に規制があると言われているのでしょうか?
昔は規制はあったようですが、今では規制はありまえん。映画の中ではトルコの音楽もつかっています。
−−−監督の作品に登場する少年で、映画に出演したおかげでIDを取得できた少年もいたようですが、この映画の少年のその後はどうなったのでしょうか?
私の映画に出演した少年たちは、今までで11人います。お互い連絡を取り合っています。キャイーンは、アフガニスタンに行ってくると言っており、その後の消息はわかりません。ちょっと心配です。私は絶対に会えると信じています。「トゥルーストーリー」の少年は、先週結婚しました。彼は日本のことが好きで、私が日本に行ってくるよと話したらとても行きたがっていました。
□第2回東京フィルメックス
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(外川康弘)