今年二回目を数える新・作家主義映画祭“TOKYO FILMeX 2001”が、11月18日より有楽町地区で幕を開けた。その名の通り、今年もアジア地区を中心として世界中から集められた個性的な作家・作品が続々と上映される。
 この日メイン会場で最初の上映作品となったのは、今年の映画祭で日本から世界に紹介すべき最後の巨匠として、特集上映が組まれている岡本喜八監督の最新作『助太刀屋助六』の特別試写会だ。助太刀業を生業とするとぼけたところはあるけれど反骨精神溢れる風来坊・助六の、助太刀という名での敵討ち騒動を、実に軽快なペースで人間味溢れる物語で、観る者を夢中にさせてくれる快作だ。満員の場内では、たびたび笑いの渦が巻き起こり、上映が終わった後の拍手も大きい。
 作品上映後、岡本喜八監督とメイン・キャストの皆さんによる舞台挨拶が行われた。本作で、監督生活47年、作品数にして39作となった岡本監督は、「遠路はるばるから足を運んでいただきまして、ありがとうございます。また最後まで頑張ってくださったすたっふ・キャストの皆さんに、シャッポを脱ぎます」と挨拶。続いて出演者の皆さんが、コメントを述べた。それぞれに、岡本監督の作品そして人柄への、強いリスペクトがうかがわれるものばかりだ。「今回、この映画の助六を演じた真田さんが喜八監督に見えてしまいました。キャラクターがご本人をモデルに書いたのではないかというくらい近いです」(風間とおるさん)、「岡本監督作品で時代劇というどちらもはじめての経験で、出演以来の電話をいただいた時は叫んじゃうくらい嬉しかった」(鶴見振吾さん)、「時代劇に出るのは妙に楽しいと思った。という名前がつくだけで自分から離れられる。僕の年齢ですら監督からすると子供みたいなものだと思いますが、永遠のお父さんと仕事ができた幸せにひたっています」、(岸部一徳さん)、「『ジャズ大名』から4作続けてで光栄に思っています。是非40作目が撮れるように応援お願いします」(友居辰彦さん)、「皆さんや監督さんに教えてもらってすごく楽しかったです」(山本奈々さん)、「喜八監督が大好きで、駆け出しの頃に覗いた『近頃なぜかチャールストン』の現場お見かけした監督の目は怖かった思い出があります。僕も今回本当に嬉しくて、これから先もせめて40本、あわよくば50本くらい監督してもらって、また出させていただければと思います」(村田雄浩さん)。
 『助太刀屋助六』のメイン・キャストの挨拶に続いて、岡本作品25本出演の天本英世さんをはじめ、佐藤充さん、神山繁さん、横山道代さん、田村奈巳さん、嶋田久作さんら喜八ワールドを語る上で忘れることのできない個性的な役者さん方と、岡本作品をこよなく愛する映画評論家の石上三登志さんが花束を手に応援ゲストとしてかけつけた。19歳の時に岡本作品の楽しさを初体験して以来のファンだという石上さん、「今日あらためて観て思ったのは、語り口のウマさと画面の隅々にわたる元気のよさが面白さだったと感じる。この映画は珍しく饒舌な作品で、落語の面白さに通じるものがあり、外国映画的な面白さで語られることが多かった喜八監督ですが、やはり日本映画の監督なのだと思った」と、その作品世界の魅力を分析し舞台挨拶をしめた。
 なお、第2回東京フィルメックス映画祭では、この後11月21日『江分利満氏の優雅な生活』、11月22日『殺人狂時代』、11月23日『血と砂』という岡本監督の代表作3本が、シネ・ラセットでそれぞれ21時15分より(22日は21時30分より)正式上映されるので、昔映画館で観た人も、今日初めて“喜八ワールド”に接した方も、この機会に足を運んで欲しい。また、『助太刀屋助六』は2002年初春にスバル座他、全国東宝洋画系劇場でロードショー公開予定だ。
□第2回東京フィルメックス
http://www.filmex.net/
(宮田晴夫)