マジか!?パート3の制作宣言も!映画『クライング フリー セックス Never Again!』シアターセブン初日舞台挨拶&ミニインタビュー
15分の映画があってもいいじゃないか!と、凄腕のスパイである2人の男女がつながったままアクションを繰り広げるというとんでもないストーリーで、2018年に新宿/K’s cinema、名古屋/シネマスコーレ、横浜/シネマ・ジャック&ベティ、大阪・シアターセブンで公開され大好評を博した『クライング フリー セックス』(以下パート1)。その続編『クライング フリー セックス Never Again!』(以下パート2)がシアターセブンに登場した。初日舞台挨拶に登壇したのは岩崎友彦監督、パート1、パート2ともに主題歌を担当した谷洋幸さん 、パート2にてボス役で出演の海道力也さん。
「一昨年15分の『クライング フリー セックス』を公開しましたところ、皆さんに好評で、続編を見たいという声が多かったということで、never again をやらせていただきました。大阪に戻って来られて光栄です」と岩崎監督。
海道さんは、関西からパート2の撮影に参加。バスの延着や岩崎監督の「前張りいらん」発言に戸惑いながら、ヒロイン・ナオミを演じた合アレンさんとのベッドシーンを夢中になって演じたという。
「僕、気付いたんですけど、岩崎さん気付いてないんちゃうかな」という問いかけに不思議そうな岩崎監督。ベッドシーンで大声を出すシーンを再現する海道さん。
「『OH!OH! アカン、NAOMI!』あれ?アカンて言うてる!英語の中に大阪弁が1個入ってるな、って(笑)。気づかなかった人はもう一回見てください(笑)」
「アカンって言ってた?何十回も見たんだけどな」とブツブツ言う岩崎監督。突っ込みを入れたくなるやり取りに爆笑となる観客たち。
ほぼ全編グリーンバックで撮影され、チープ感が楽しいのがこのシリーズの特徴でもある。パート2の撮影では、1日だけグリーンバックの専用スタジオを借りて撮影。その他は出演した女優さんの家で、リビングにグリーンバックを貼らせてもらい、その他プライベートな部屋も使わせてもらったという。
海道さんは「僕、怒られました。あんた、フルチンで!私このベッドで寝なあかんねんで!って(笑)」
主題歌を担当しながら“戦闘サイボーグ集団”セクサーの一員として全裸出演した谷さんは、人生初の前張りを体験。スケジュール変更で10時間待ちとなったところ、前割りがヘロヘロで取れそうになり苦労したと語る。
「全員が裸なんですよ。照れるのかなーとか思ってたんです、最初は。だんだん普通になってきて、撮影が終わったら、服重い!とか、暑い!とかそういう感覚になってきて(笑)」
「作品を撮る、という意識がみんなあったんで。パート1がヒットしたからかもしれないですけど、異様な現場でよくやれているなっていう(笑)」
とにかく裸がデフォルトの本作。宣伝にも苦労があったという。
「SNS の時代なんていろいろと発信するんですけど、大体ブロックされる(笑)。監督の Facebook ページは何回もブロックされて。予告編の YouTubeなんかもガンガン削除されて(笑)」
と谷さん。
「チャンネル自体も削除されて(笑)」と岩崎監督。
そんな岩崎監督の作品だが、短編作品がU-NEXTで視聴可能だ。現在パート1を含む、コメディ9本(※)が公開されている。
(※『ややこしい関係』、『大きな春子ちゃん』、『帰ラないマン』(上田慎一郎監督主演)、『バブルジャンパーズ&ホイールチェアクイン』(真魚主演)など)
パート1・2とも全編英語であることについて、岩崎監督は、
「やっぱり世界に挑戦したい」と特に気合も見せずに語る。
「ゴールデン街で外人さんに観せると受けがいい(笑)」
実際のところ、パート1はゆうばり、ブリュッセル、プチョンの国際ファンタスティック映画祭で熱烈に受け入れられ、2015年の『手のひらを太陽に』は南アフリカの映画祭(UGU FILM FESTIVAL)で優秀外国映画賞、スペインの映画祭(Festival internacional de cine fantástico de Torremolinos)でベストフィーチャー賞を受賞するなどの実績もあり、これからも岩崎監督の活躍が期待される。
そして、岩崎監督からポロッと言っちゃった的にパート3の制作宣言も。
「第3弾は『スペース クライング フリーセックス』をやろうかなと(笑)」
谷さんが解説する。
「パート2ができた時に、新宿/K’s cinemaが初日満席になって。最終もかなりお客さんが入ってくれて、3が見たいんですかって聞いたら大喝采が起こってしまって。ホントに作らなあかんなって話をしていたら」
映画館の支配人たちに「また掛けてください」と言うと、「3で」という返事が来るという。
「3は文芸大作を撮ろうと思うんで」ととぼけた台詞の岩崎監督。
「皆さんも3、観たいですか?」と問いかけると観客から拍手が起こった。
最後にギターを手にした谷さんが、パート2の主題歌『CRYING FOR FREEDOM NEVER AGAIN』を熱唱し、パート2の余韻を残して舞台挨拶はお開き。ロビーでは観客の皆さんと3人の交流が繰り広げられた。
【谷洋幸さんインタビュー】
パート1で主題歌を作ってほしいとオファーを受け、新宿/K’s cinemaで公開した時に初めて内容を知ったという。「あ、こういう映画なんやって(笑)」
谷:『クライング フリー セックス』がたまたま『5時に夢中!』という番組で紹介された時に、『カメ止め』の上田慎一郎監督と一緒で、宣伝効果がバーンとアップしてすごいヒットしてしまったっていうのがあって。岩崎さんはああいう18禁のコメディをずっと撮っている人なので、ああいう作品がまさか世間から支持を受けると思わなかったっていうか(笑)。でも岩崎監督は、平成の頭に、エビ天(『三宅裕司のえびぞり巨匠天国』※)っていう番組で地上波に出てた人なんで。だから時代が回ってきたのかなっていう感覚ですね。
(※『トモヲ⇔ヨーコ愛の往復書簡』『忠実な犬』『蟹とミュージシャンエビ天3分バージョン』などの作品ががYouTubeで視聴可)
――今回出演をされていかがでしたでしょう?
谷:出演者はアクション、芝居、音楽にしても本格的で、キャリアのある人ばかりがやってるんで。主題歌の続投は自信があったんですけど、演技に関しては映画やドラマには少し出たことあるんですけども、動きのある演技は多分無理だなって最初は断ったんですね。(結局谷さんだからできる役としてオファーされた)頭おかしい感じでやったんですけど、ヒットしたので良かったかなっていう感じです。
――谷さんから見て岩崎監督の作品の魅力は?
谷:不謹慎さと、女性をリスペクトしているんですよね。いつも男が間抜けに描いていて。今回の繋がったままアクションで男が間抜けになる(笑)そういう描写は昔からされていて、それが今の風潮に合ってきたのかなって感じているんです。そこも魅力かなと思います。
【海道力也さんインタビュー】
強面ないで立ちを生かし関西を拠点に数々の作品に出演する海道さんは、石原貴洋監督のバイオレンス作品の常連でもある。岩崎監督とはゆうばり国際ファンタスティック映画祭の『鉄ドン』で出会った。その後、ゆうばりでパート1が上映された時に合アレンさんと仲良くなったという。
「今回アレンさんがプロデューサーで声をかけて頂いて、監督からボス役でオファーして頂いたという経緯です」
――岩崎監督の演出はいかがでしたか?
海道:監督ね、むっちゃ真面目ですよ。変わってるけど真面目ですね。変わってること自体が真面目なんでしょうね。僕らから考えたら変わってるやんと思うけども、監督は真面目に考えてやってるんですよね。
――どういうところが変わっていると思いますか?
海道:まあ全て変わっているでしょうね。本当に。何気ない例えば前貼りの件もそうですね。普通はスタッフの人たちもちょっとそれはって言うんですけど、いいんじゃないのって平然と普通に言うんで(笑)。
――出来上がった作品を見て、岩崎監督の作品の魅力ってどう思われましたか?
海道:ほんまに大人が子供みたいに真剣に。内容的なこと言うと子供じみてるじゃないですか。つながったままスパイするっていうのは(笑)。でもそれを真剣に撮られているし、演者さんも真剣。そこに醍醐味って言うか面白さがあるんじゃないかなあと思いますね。また呼んでもらいたいなと思います。
【岩崎友彦監督インタビュー】
――そもそもこの発想どこからきたのでしょう?
岩崎:この発想自体は、高校生ぐらいからだと思うんですけどね。ずっと頭の隅にお蔵入り倉庫みたいなところがあって、そこに。こういうのを作ったら人格が疑われるだろうなっていうところから出してきた、という感じですかね。
――東京でもすごく支持されましたけど、どの辺が皆さんの琴線に触れたと思われますか?
岩崎:馬鹿馬鹿しさと、実はみんなに言われるのは、僕はどういう風に撮ったか分からないつもりで撮ってるんですけども、あのグリーンバックがいい、チープなのがいいとか言われるんです(笑)。頑張ってやってるつもりなんですけどね。
――ほとんどグリーンバックという感じですけど、なぜそのようにされたんでしょうか?
岩崎:パート1で裸じゃないですか。裸で外で闘うっていうのは、まず捕まりますよね(笑)。全部グリーンバックでいくかみたいな。
――今日拝見してと思ったんですけが、全部グリーンバックなのであらゆる場面が自由に作れるじゃないですか。岩崎監督の脳内が。だからこそこの作品に向いているやり方だなと思いました。
岩崎:世界を股にかけてますから(笑)。
――以前から岩崎監督の作品(※)を拝見して女性や男性がボーダレスだなって感じていたんですが、それは意識的にされているんでしょうか。
(※長編『ami?amie?つきあってねーよ』『Palm to the sun 手のひらを太陽に』、短編『ややこしい関係』など)
岩崎:意識と言うか、いろんな無茶苦茶なひどいことをやっても、どこか女性に対してのリクスペクトと言うか、目配せみたいなものがあると許してもらえるかなって。そういうのは考えています。
――その辺は主義としてそうしたいのか、許してもらえるからそうしているのか、その辺はいかがでしょう(笑)。
岩崎:そうですね。どちらの主義か分からないんですけども、いわゆるお色気とかエロというジャンルに言われてしまいますけども、そこはちょっと違うのかなっていう気がしています。エロというよりは、パンク。全部さらけ出すというか。そういうつもりではやっていますね。
――今日はパート3の制作発表もありましたね!
岩崎:パート1もパート2もゆうばりがワールドプレミアだったので、ゆうばりを目指して頑張りたいと思います。
――今年はゆうばりが夏ですもんね。楽しみにしています。
上映は3/6(金)まで。連日舞台挨拶を予定している。アクロバティックな岩崎ワールドとともに楽しんで頂きたい。
3/1(日) 海道力也さん、谷洋幸さん、岩崎友彦監督
3/2(月) 谷洋幸さん、岩崎友彦監督
3/3(火)~6(金) 豊岡んみさん、谷洋幸さん