『夏のホラー秘宝まつり2019』の1本、『怪談新耳袋Gメン孤島編』では、かつて大きな事故があった某孤島に乗り込んだ4人の男たちと日本人形のはち。大荒れの天気に阻まれて、なかなかミッションが遂行できない。そんな中、彼らが目撃したものとは?

上映後、谷口恒平監督とプロデューサーの山口幸彦さんがトークに登場した。

 

プロデューサー、走る!

トークの前半はロケ現場がどこで何があったか、実際の事故や事件のことなどが語られたが、まともに書くと江戸川乱歩の『芋虫』の数百倍は伏せ字だらけになるので割愛させて頂く。

山口さんは最後のミッションの感想について、
「あれは怖かったんですよ。みんな俺のことビビリだと思ってるでしょ?何を寝ぼけたヌルいことやってると思うかもしれないけど(笑)」
谷口監督も、
「映画プロデューサーがあれだけ全力で走るってなかなかないですね」と答える。
元はと言えば、谷口監督が走って帰ってきたことで山口さんもよくわからないスイッチが入った。
「そんなところ行ける?みんな」と観客に問いかけ笑いを誘った。

谷口監督は「いくらカメラの解像度が上がったとはいえ、肉眼で感じる情報と全然違っていて」
劇中谷口監督が見たあるものは、実は物体として認識できたと明かした。
山口さんも現場ではあるものが近づいて来ていたが、画面では遠く感じてその恐怖が伝わってないと嘆いた。

 

新耳Gメンに期待するのは

書けない話がいくつか続いたあと、おもむろに谷口監督が、
「皆さんは新耳Gメンに何を期待されていますか?」と問いかけた。
「大の大人がビビる姿を見て、コイツラより俺らは上だと思いたいのか、それともこいつらだったら本当に幽霊を見つけてくれるんじゃないかと思っているのかどうなんですかね(笑)」と、作品の主題に迫る山口さん。
声に出しての答えは挙がらなかったが、笑顔の観客それぞれの答えが胸の中にあったに違いない。

 

オールスターが集うシャイカー

観客から昨年の新耳G メンで登場したブラックボックスについて、天候が荒れていたので使えなかったのか?と質問が。
「忘れてました(笑)。佐藤監督が用意したので良くわからない(笑)。 手に持て余しているところがあって」
山口さんは、新耳Gメンの一員・後藤剛さんの会社・シャイカーに言及。会社には、撮影で使用した様々なものがあるという。最近引っ越しがあったが、『殴り込みシリーズ』で活躍したわらびんや『復活編』に登場した卒塔婆も全部引越し先に移動したという。
「捨てるに捨てられないものがどんどん集まって凄いことになってますよ(笑)」
他の観客からは、この作品以外で心霊スポットに行った際に公開されてないが怖い目にあったり、後で何かあったことは?という質問が。
「心霊現象が起こったらそれはほぼ入れてますね。それをカットしたのはない。明らかにウソみたいのは入れてないけど」と、山口さん。

 

靴に宿る何か

谷口監督は某作品の撮影で公園の池に子どもの靴が浮いているシーンを撮った際に、ロケ先に用意したように子どもの靴が浮いていて、そのままカメラを廻したら、靴がゆっくりこちらに向いたという不思議な経験を語った。
「結構それが評判が良くて。メーカーの方から頑張りましたねって(笑)。そういうのって、明らかにヤラセだろっていう中にもあるのかもしれないし、Gメンの中でも見落としているものがあるかも」

 

画面に写りこむもの

その話を受けて、山口さんはキング・レコードで発売の『死霊のはらわたⅢ/キャプテン・スーパーマーケット』に言及する。サム・ライミ監督がコメンタリーで悪霊に襲われて木が割れるシーンで「ドクロの顔が見える」と語ったエピソードを紹介。
「えーっと思って見たら、ホントに人の顔が写ってるんですよ。こういうのって本当にあるんだなと思って。ノーカットで写ってるんで、ブルーレイボックス、高画質で見てください(笑)」

今回の新耳Gメン、谷口監督は砂漠のシーンを何度か観ていると青い光が入っていることに気づいたという。
「あれ、なんなんですかね。それを言えって感じですけど(笑)」
「なんかあるね。そう言われれば。あとから気づくことって結構ありますよね」
と考え込む山口さん。大量にカットしている映像の中にそういったものがあるのかも、という。

 

ロマン、そして決意!

最後に谷口監督は、
「心霊スポットにはロマンがあるなと」と、しみじみ語る。シリーズには後から参加した形の谷口監督。
「やっぱりこの人たちは頭がおかしくて、真剣に幽霊を撮ろうとしてるんだということを、監督として関わって身を持ってわかりました。自分もそちら側に歩み寄って、自分の中で半信半疑の部分をもっと信じて、映画と向き合いたいなと思っているのでこれからも新耳Gメンにご期待ください」

 

壮大なる予告編

そして山口さんは、先日京都に行った際にタクシーの運転手さんに心霊スポットがないか聞くいたところ、「いろいろありますよ」と言われたという。
「伏見稲荷を夜一人で一周すると多分気が狂う。面白いものが撮れるんじゃないかな」
また、清水寺のあたりは昔は鳥辺野といわれる大きな葬送地だったので期待できるという。
「大阪には来たけど、基本的に関東でばかりやっているので、関西で撮影したいなって今思ってます」
「みなさんは現場に来られたら困るから(笑)。陰ながら応援してください。あなたの街のあなたの横にいるかもしれません」
壮大な予告編を呈してトークを締めくくった山口さん。次回作は新耳Gメンたちのカメラに何が写るのか、大いに期待したい。

(レポート/デューイ松田)