巨大権力と対峙する女性新聞記者の奮闘を描く衝撃作『新聞記者』が、6月28日より全国公開される。公開を直前に控えた6月4日には東京・丸の内ピカデリーにて完成披露上映会が行われ、主演のシム・ウンギョン、松坂桃李、共演の高橋和也、北村有起哉、田中哲司、そして藤井道人監督が出席した。

真実に迫ろうともがく若き新聞記者・吉岡エリカ役のウンギョンは「ちゃんとやれるのかどうか、悩んだ時期がありました。でも自分の持っている集中力を出して頑張りました。この映画での経験は貴重で、自分の演技も成長できたと思います」と流暢な日本語で挨拶。撮影は20日間とタイトだったが、内閣情報調査室に勤める若き官僚・杉原拓海役の松坂は「濃厚なスケジュールの中で、全員が一丸となってやりました。役柄的にも、葛藤に揺れるズシンとくるシーンも多くて、メンタル的に気持ちを上げることが難しかった」と熱演を報告した。

杉原の直属の上司・多田智也役の田中は「怖い役ですが、それは暴力的な怖さではない。あえて淡々と優しく演じて逆に怖さを醸し出そうと思った。これまで様々な悪い役をやってきたけれど、集大成的なものになった」と手応え。それに松坂は「怖かったです。なんか静かなものがゆっくり来るような怖さがありましたね」とビビりモードだった。

吉岡の上司・陣野和正役の北村は「脚本を読んで血が騒ぎました。大きなワクワク感があって、これは絶対に参加するべきだと迷いはなかった」と作品に惚れた様子。杉原の外務省時代の上司・神崎俊尚役の高橋は「松坂さんとは初共演ですが、シュッとしているなぁ~と思った。僕の役は優しい役なので、初対面のときから上手くいったと思う」と明かすと、松坂も「優しく包み込んでくれるような安心感がありましたね」と相思相愛だった。

この日は、ウンギョンが劇中で演じた若き新聞記者・吉岡エリカになりきって監督・キャストに質問するコーナーを企画。ノートを片手にウンギョンは「どのようにセリフを覚えますか?」と切り込んだ。これに田中は「僕は歩きながら。歩きながらしか入らない体になった。外じゃなければダメなので、雨の日も歩かなければならない」と告白。北村は「場所とか時間も関係なくて、全体を分割して散りばめて10分くらいに分けて覚える」、高橋は「書いて覚える」とそれぞれ返答した。

そんな中、松坂は「焼き肉を焼いたり、何かをしながら」と意外な記憶法を口にし「何かをしながら覚えることで自分に負荷を与えているのかも」と分析。それにウンギョンは驚く一方で「以上ですか?もっとありますか?」とクールだった。また「休日の過ごし方」を聞かれた松坂は「ひたすらテレビを見る。朝はニュース、昼はワイドショーとかアニメとか、夕方のニュースやドラマも見て、ずっとテレビ」とインドアな休日を紹介。同じ質問に田中は「子育てしか思い浮かばない」とすっかりパパの表情で、ウンギョンから「お疲れさまでした!」と労われていた。

さらにウンギョンから「最近泣いたことはありますか?」と切り込まれた松坂は「滅多に泣かない…。それこそ肘を思い切りぶつけて思わず涙が出たとか。凄く痛くて」と涙を流す機会がほとんどない様子。北村が「映画とかでは泣かないの?」と水を向けるも「泣いたことがなくて…。感動はするけれど涙腺が緩むことはない。スイマセン。こういう仕事をしているにも関わらず」とつれない返答。それに北村は「僕はこの『新聞記者』で結構きましたよ」とアピール抜群のコメントで、これにハッとした松坂は「それを言われたら何も言えなくなる…」と反省。ウンギョンも「だから私も質問したのに~」と残念そうだった。

すると今度は松坂からウンギョンに「好きな日本語は?」との質問が。それにウンギョンは「ナウい!」と即答。あまりの古い言葉に一同が驚くと、ウンギョンは松坂に向かって「今日はナウいですね!」とすかさず使用し、松坂は「大変光栄です」と嬉しそうに照れていた。

最後にウンギョンは「日本のお客さんに初めて観てもらうことになります。ジャーナリズムのお話ですが、そこの中に人間群像が見える映画です」とアピール。松坂も「いまだにこの作品において、いいワンワードが出ない。こんなことは初めての経験。それだけ一言では語れない作品ということ。これからご覧になる皆さんには、先入観を持たずに思ったままの感想を聞かせてもらえたら幸いです」と期待を込めた。