現在開催中の第19回東京フィルメックスにて監督作が公開中の、イランの巨匠映画監督アミール・ナデリと、今月23日(金)から全国ロードショーとなる青春エンターテインメント映画『ギャングース』を手がけた入江悠監督(39)のスペシャル対談イベントが本日行われた。

本作は犯罪集団だけを標的とする窃盗“タタキ”稼業で過酷な社会を生き抜こうとする3人の少年たちを描き、モーニング誌で2013年から2017年まで連載され、高い人気を獲得した。入江監督の代表作でもある『SRサイタマノラッパー』『日々ロック』、『ギャングース』の大ファンだと言うナデリはイベントが始まるや否や「入江監督はバランス感覚が鋭い。人物1人1人がちゃんと地に足が付いていて、『ギャングース』でもどのキャラクターも本当に実在していそうな人たちばかりだった。でもアクションシーンはきちんと商業的になっているんだよね。僕には撮ることができない作品だったよ。僕は自分には撮ることができない映画を好きになるんだ」と大絶賛。さらに続けて「『日々ロック』もそうだったんだけど、入江監督は狂気的だったり暴力的なシーンがとても多いよね。これは入江監督の中にあるからなの?」と直球な質問が飛んでくると、入江は「そうですね(笑)育ってきた場所や環境で培われたのかな?でも普段はあまり怒ったりしないので、そういう暴力性を映画で出しているのかもしれませんね。過剰でクレイジーなものが好きです」と苦笑ながらに語った。

その後もナデリ監督からの質問攻めは止まらず、映画オリジナルキャラクターで主人公3人たちと生活を共にすることになる、孤独な少女ヒカリについては「主人公たちが親と過ごせなかったので、僕たち世代でその問題をどうにかしたい、と考えさせたくって登場させました」と説明すると「素晴らしい!彼女が居ることで物語が我々に歩み寄ってくれている」と解説。さらにナデリは「東京国際映画祭で出演者たちを舞台上で見たときに、映画で演じているキャラクターと正反対の方たちばかりだと思った。そういう真逆の俳優に演技を付けられるのは入江監督の手腕。ところで今回は漫画が原作だけど、脚本を書くとき悩んだよね?」とべた褒めしながらの質問には「書くときに、やりすぎか?漫画的すぎるか?とは悩みましたね。僕は書くときに困ったら、撮影予定の場所に行くようにしていますよ。実際に役者がそこにいると想像するようにしています」と答えると、ナデリは満足そうに頷いた。イベント冒頭から質問攻めにあっていた入江だが、ナデリが自身の映画作りについて「僕は最初は現実を描いて、途中から空想の物語になり最後に現実に戻すようにしている」と語り始めるとすかさず「僕もそうしていますが、それって難しいですよね?どうやれば上手くいくんですかね?」と身を乗り出すも、ナデリは「経験!」と一刀両断し、会場は笑いに包まれた。最後に「次はどういう映画を撮るの?」と興味津々にナデリから聞かれた入江は「いやまだ『ギャングース』も公開されていないので…」と答えをはぐらかしたが、ナデリは「大ヒット間違いないよ!たくさんお金入ってくるから次作も考えないとね」と満面の笑みを浮かべるも、入江は「いや『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』という作品が同日公開であるんですよ(笑)」と会場の笑いを誘った。映画『ギャングース』は11月23日(金)全国ロードショー。


高杉真宙 加藤諒 渡辺大知(黒猫チェルシー)
林遣都 伊東蒼 山本舞香 芦那すみれ 勝矢/般若 菅原健 斉藤祥太 斉藤慶太 金子ノブアキ 篠田麻里子 MIYAVI
監督:入江悠(『22年目の告白-私が殺人犯です-』『ビジランテ』『SRサイタマノラッパー』シリーズ) 脚本:入江悠 和田清人
原作:肥谷圭介・鈴木大介「ギャングース」(講談社「モーニング」KC所載) 製作・配給:キノフィルムズ/木下グループ
制作プロダクション:アミューズ映像制作部+パイプライン©2018「ギャングース」FILM PARTNERS©肥谷圭介・鈴木大介/講談社
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