東出昌大を主演に迎え、濱口竜介監督が、芥川賞作家・柴崎友香による同名恋愛小説を映画化した『寝ても覚めても』が全国ロングランヒット公開中。さらに、カンヌ、トロント、サンセバスチャン、釜山、ニューヨークと国際映画祭でも常に好評を博し、世界では30カ国以上で公開が決定している。

この度、11/17(土)、18(日)2日間に渡り第10回TAMA映画賞の授賞式(17日)、最優秀男優賞受賞記念表彰式&トーク(18日)が行われた。授賞式では海外キャンペーン中の濱口竜介監督より喜びのビデオメッセージが届けられ、さらに最優秀新進女優賞を受賞した伊藤沙莉が、濱口監督の代理で登壇したエグゼクティブ・プロデューサーの福嶋更一郎と共に挨拶に立った。翌18日には、東出昌大が登壇し、本作の撮影、公開初日から時間のたった今もまだ熱く心に積もる『寝ても覚めても』愛を語った。

★濱口監督「『寝ても覚めても』はすばらしい体験。これからも制作を続ける」
17日の授賞式、『寝ても覚めても』では作品賞、最優秀男優賞(東出昌大)、最優秀新進女優賞(伊藤沙莉)の3部門での受賞となった。会場に来ることが出来なかった濱口監督からは「僕の過去作も上映して頂いている、お付き合いのとても長い映画賞。そんなTAMA映画賞で作品賞ということで、本当に嬉しく思っています。
ありがとうございます。東出さん、伊藤さんおめでとうございます!」とビデオメッセージが寄せられた。

そして監督に代わって授賞式に出席した『寝ても覚めても』のエグゼクティブ・プロデューサーの福嶋更一郎のからも感謝の言葉が述べられた。先に最優秀新進女優賞を受賞した、本作出演者の伊藤沙莉も再び登場し、現場ではどんな演出がなされたのかと聞かれると「いらないものを排除するような棒読みの演出が新鮮でした。あと関西弁は難しかったです。
私、周りからも言われるんですけど、関西っぽいみたいなんです。でも千葉出身でなんの方言もないんですよね」と会場に笑いを誘った。

★東出昌大「お芝居しすぎないことがリアルなことだと立ち返った」
翌18日には、最優秀男優賞を受賞した東出昌大の表彰式と記念のトークイベントが行われた。
東出は自身の主演舞台のため、授賞式への参加は叶わなかったが、この日の会場は東出の為に集まった観客で満席。
当日に補助席を追加で売り出すほどの人気ぶり。壇上に現れた東出を盛大な拍手で出迎えた観客に、東出も笑顔に。

TAMA映画賞受賞理由、静から動まで役柄を幅広く演じたことについて「濱口竜介監督の独特の演出法によって、役者の芝居っぽさを排することを準備期間に行なっていました。日常と地続きの部分にリアリティがある、そういう何気無い部分を大事にされている監督です」と東出。オーバーなリアクションが多くない演技について「お芝居しすぎないことがリアルなことだと立ち返えりました。僕な好きな作品はそういうものが多いです」と当時を振り返った。

また、亮平と麦のどちらが演じやすかったかと問われると「亮平は春代と出会う場面で、春代に気を使っているようで、実は朝子にも気を使っている、周りに気を使う人なんです。亮平は優しいなぁ、と演じながら思っていました。
なので麦の遠慮のなさ、周りに気を使わない感じはある意味で演じやすかもと思います」と回答した。

★思い入れのあるシーンは「最後のワンカット」
イベントの後半には客席より生の声を聞き質問を受けた。『寝ても覚めても』で思い入れのあるシーンについて聞かれると「最後のワンカット、初めて監督に「レンズを見てください」と言われたんです。どうしてレンズを見てと言ったのか、後から監督に聞いたら「あの時の2人の顔を観客に見せたかったんです」と言われて、映画を映画的に撮られてる方だなと思いました」としみじみ。

さらに、演技を通して伝えたいことは何かと問われると「これと言うのはないが、観てよかったと言ってもらえることが力になります。観てくれる人がいなかったら役者じゃないし、お客さんが一人でも全力で観てくれれば活力になる、観てくださる方の活力になれば」と笑顔で答えた。

表彰式では「今トークを聞いていただいたばかりなので、授賞スピーチもなにもないんですが」と会場に笑いを誘いつつも今後の活躍を観客の前で硬く誓った。


★コピーライト表記: c2018 映画「寝ても覚めても」製作委員会/ COMME DES CINÉMAS
★公開表記:大ヒット公開中!