この度、2018年10月20日(金)公開、映画「恋のしずく」(配給:ブロードメディア・スタジオ)より、10月21日(日)銀座丸の内TOEIにて、公開記念舞台挨拶を開催いたしました。

 主人公の詩織役を、映画初主演となる川栄李奈、酒蔵の息子役である莞爾役を、劇団EXILEの小野塚勇人が務めます。その他、今作が遺作となった蔵元役の大杉漣や、杜氏役の小市慢太郎、詩織をサポートする農家の娘役の宮地真緒、酒造会の若手ホープ役の中村優一と、豪華なキャスト陣が脇を固めます。
そんな本作の公開記念舞台挨拶には、主演を務めた川栄李奈と、メガホンをとった瀬木直貴監督が登壇した。
 場内は、本編や舞台挨拶を心待ちにする期待を感じる雰囲気が漂い、主題歌がかかり登場した川栄と瀬木監督に、盛大な拍手が沸き起こった。特製の「恋のしずく法被」を来て登場した監督が、「監督だと分かりづらく失敗したかな?酒蔵の人にしか見えないですね。」とお茶目さを見せると、川栄がすかさず「カワイイですよ。」とニコニコと返すなど、登場から現場の雰囲気の良さを感じられた。

 MCから、公開を迎えた気持ちについて問われると、川栄は「本当に公開できて嬉しいです。クランクインが、去年の昨日、公開日のちょうど1年前だったんです。あっという間でした。」と答えた。また、初主演であること、「日本酒の映画」のオファーを受けた際の心境については、「マネージャーさんから「日本酒の映画だよ」と言われて、私は日本酒にも詳しくないので「大丈夫かな」と思ってたら、まさにそういう何も知らないところから学ぶ役でしたので、すんなり入れました。主演を務めるのは不思議な気分ですが、やってみて、周りの方々に支えられているなというのをとても感じました。」と初主演で新たな発見があったことを述べました。また、現場の様子については、「みんなとても仲良くて!小市さんや宮地さんがお酒大好きなのでほぼ毎日飲みにいかれてたので、私も参加できるときは参加して本当に楽しかったです。」と座組の仲の良さを感じさせました。監督から「俳優の皆さんが、自主トレと称して毎晩飲み歩かれてたんですよね。日本酒は半年間一緒に生活して造るものなので、そのための自主トレだと。」と飲み会が「自主トレ」という名目であったことがあかされると、川栄も「してました。役作りで行かせていただいてました、自主トレに。色んな日本酒を飲んで、宮地さんが味の違いを語ってくださる会です!」と笑顔で当時を振り返りました。

 お互いについて、川栄は監督を「本当に温厚な方で優しくて、声を荒げられたこともないです。こういう演出を、というよりは私がすることを受け入れてくださる監督でした。」と述べ、監督は川栄を「声のトーン、目の開き方、アクション、1つ1つが、演出家の想像とは違う視点からアプローチしてくださいました。アドリブも多いのですが、カットをかけたくない、いつまでも川栄さんを観ていたくなる素敵な女優さんでした。」と大絶賛。主演としての川栄についても「常に笑顔で、僕がまとめなきゃいけないところを川栄さんがまとめてくださってました。映画の、最初と最後のシーンでの表情の違いに注目していただきたいです。最後にはどんどん風格がでてきて楽しみな女優さんです。」とこれからの活躍にも期待を寄せました。また最後に、「本来ここにいるはずの大杉漣さんですが、我々でできる最大のことはこの映画を一人でも多くの人に伝えていくことかと思ってます。」とその存在感の大きさをあらためて実感していた。

 映画で忠実に表現された酒造りについて川栄は、「そもそもすごく寒かったんです。水で洗うだけでも大変ですし、重いお米をはこんで、熱いお米を樽からだしたらまた手で直接触って、本当に大変だとよくわかりましたし、良い経験になりました。」と撮影でも自裁の酒造りと同じような工程を体験したことを明かしました。

 また、ロケ地広島では先週から先行公開されているということもあり、手ごたえにつて聞かれると、監督は「広島ではウェルカムな感じがして、満席で、熱意を感じました。今年が災害もありましたので、被災地から元気を発信するんだというパワーを感じましたし、映画への期待も感じました。」と現地の熱気を伝えました。

 舞台となった西条の街について、川栄は「初日が稲刈りのシーンだったんですが、その稲が並ぶ田んぼがすごくきれいでした。あまりそういう自然溢れるところに行ったことなかったんで、すごく素敵だなと思いました。」と撮影初日を振り返り、監督は「どこを切り取っても生活の一部が見えるんです。観光地じゃないんですが、その雑多とした感じが素敵でした。」と土地の雰囲気の良さを語りました。

 舞台となった土地に住んで撮影をすることで有名な監督は、公開を迎えた心境を「感無量と皆さんよく仰るんですが、それを超えて、まだまだ足りないなという思いです。日本文化をもっと世界に発信していきたいですし、被災地の皆さんを想うと復興もまだまだなので寄り添っていたいです。まだまだ途上な気持ちです。」とロケ地・広島への愛情をみせました。

 イベントの最後にはこれから映画を観る方へ向けて、監督からは「実はここにもう一人、漣さんがいらっしゃる気がします。この映画をたくさんの方に観ていただくことが弔いになると思いますので、気に入っていただけたら何度も観ていただいて、大杉さんの演技を目に焼き付けていただきたと思います。」と、そして川栄からは「初主演をさせていただいたんですが、嬉しいよりも悔しいことのほうが多く、公開できるかも不安だったので、昨日公開してとても嬉しかったです。キャストもスタッフも、大杉さんも、みんなで心を込めて作った作品。観ていただいたら心があたたかくなる作品です。西条に行きたくなると思います。是非、沢山の方に観ていただきたいです。」とメッセージを寄せました。イベントは終始和やかに進み、温かい拍手に包まれたまま幕を閉じました。