ほんの一瞬だけでも、分かり合えたら。
芥川賞作家・本谷有希子の傑作小説、注目の女優・趣里主演で映画化!

『異類婚姻譚』で第154回芥川賞を受賞、小説家・劇作家・演出家としてマルチに活躍する本谷有希子の芥川賞・三島賞候補作となった傑作小説『生きてるだけで、愛。』がこの度待望の映画化、11月9日(金)に全国公開となります。本作は、主演の趣里をはじめ、菅田将暉、仲 里依紗、田中哲司、西田尚美、松重豊、石橋静河、織田梨沙ら人気と実力を兼ね備えた俳優たちがこぞって出演する話題作です。監督は、同作が初の長編監督作となる映像作家・関根光才が務めることでも注目を集めています。

過眠症で引きこもり状態な上に、自分をコントロールできず理不尽な感情にさいなまれるヒロインの寧子(趣里)と、出版社でゴシップ記事の執筆に明け暮れるも、やりがいを感じられずに日々をやり過ごす津奈木(菅田将暉)。3年に渡り同棲生活を送っている二人だが、寧子はたびたび津奈木に感情をぶつけ、対する津奈木は怒りもしなければ喧嘩に発展することすらない。そんな態度がむしろ寧子を苛立たせるが、二人は互いに自分の思いを言葉で伝える術を持っていなかった。そこへ津奈木の元カノ安堂(仲 里依紗)が現れたことから、寧子自身や津奈木との関係にも大きな変化が起こるが─。
愛することにも愛されることにも不器用な寧子と、他人との関わりで傷つきも傷つけもしないが全てをあきらめたような津奈木、そしてそんな二人を取り巻く奇妙な「普通」を形作る周囲の人々。他社との繋がりを求める現代の若者たちの姿をエモーショナルに描きつつ、希代の映像作家としても知られる関根光才監督による、圧倒的映像美も話題沸騰の一本です。 
そんな本作は、今年で26回目を迎え、9月26日(水曜・現地時間)に開催されたレインダンス国際映画祭のコンペティション部門に正式出品され、10月2日(火曜・現地時間)に主演の趣里と関根光才監督がレッド―カーペットに登場し、その後行われたワールドプレミアとなる公式上映に観客と共に映画を鑑賞、上映後に行われたQ&A(質疑応答)に参加しました。本作をコンペティション部門に選出した「レインダンス映画祭プログラミング・チーム」は、「素晴らしい演出とキャストの力強い存在感、そして斬新な映像美が見事に融合した圧巻の作品だ。」と評し、本作を激賞しています。
映画祭のメイン会場となるVue Cinema London(ビュー・シネマ・ロンドン)のレッドカーペットに登場した趣里、関根光才監督。趣里は「TOGA」の紫のワンピースと「JiL Sander」の靴を着用し、颯爽とレットカーペットを歩いた。

レッドカーペット直後の上映前に登壇した関根監督は「皆さん、こんばんは。本日はお越しいただきまして、ありがとうございます。映画が上映されることを大変光栄に思っています。皆さんがこの映画を楽しんで観てくれることに期待しています。」と満席となった会場内の観客に英語で挨拶し、コンペ部門に招待してくれた映画祭に感謝の意を述べた。
その後、趣里と関根監督は満員の観客と一緒に映画を鑑賞。映画が終了すると、会場は大きな拍手と歓声に包まれました。観客席から舞台上に登壇した趣里は、鑑賞した観客から、素晴らしい演技を見せた本作でどのような役作りをしたかを尋ねられると、「まずは脚本の中の「寧子」のことを考え、理解することに努めました。私は、過去に、怪我でバレエをやめなくてはいけなくなり、希望を失った中で生きなくてはならない葛藤を経験しました。寧子を通して、そのときの自分を思い出しました。」と答え、自分と寧子にある共通点を踏まえながら、役柄を理解していったことを明かした。 
続けて、観客から、 “うつ病”という社会的な問題にも焦点を当てたかったのかと問われると、監督は「この問題は僕たちがどこに住んでようと共通する普遍的な問題だと思います。人間社会の中で生きていればこういった問題には必ず直面します。うつ病の方々は助けを求めることも難しいですし、話題にもできないかもしれません。この作品を創ったことによって、この問題が解決できるとは思っていないですが、苦しんでいる方々を元気づけたいという思いはありました。」と話すと、趣里は「私は、そう鬱という症状を持つ寧子を演じていて、何が正しくて、何が間違っているのか、わからない部分がありましたが、日本はどちらかと言うと、「こうあるべきだ」と決めつけられてしまう、風潮があるかもしれません。」と続き、観客の質問に丁寧に答えていた。
映画を鑑賞した観客の感想は「本当に感動しました。趣里さんの演技が力強く、ゆさぶられました。」「昨今こんな演技できる女優さんいないと思います!」「普段扱われていないテーマに切り込んでおり、趣里さんの演技も含め、本当に素晴らしかった。映像美がとにかく圧巻の美しさ。是非もっとヨーロッパの観客に見てほしいと思う。」と多くの称賛の声があり、登壇した2人は、観客の反応に手ごたえを感じた様子だった。
 コンペティション部門に出品された本作を含む全10作品の中から作品賞が選出され、発表は現地時間の10月5日(金曜)を予定しています。
 

【公式上映時の詳細コメント】
★上映前の舞台挨拶 ※関根監督のみが登壇
【監督】
「皆さん、こんばんは。本日はお越しいただきまして、ありがとうございます。映画が上映されることを大変光栄に思っています。皆さんがこの映画を楽しんで観てくれることに期待しています。」

★上映後のQ&A(質疑応答) ※趣里、関根監督が登壇
Q司会:この作品は本谷有希子氏による日本の小説が原作となっていますが、何故この作品を映画化しようと思ったのですか?
【監督】
「本谷さんが書かれる文体はとてもユニークでエモーショナルです。この小説は彼女がまだ20代だった時に書かれている作品で、彼女だけでなく、多くの若者たちが抱える社会への怒りや鬱積が内包されていて、初めて読んだ時に衝撃を受け、それを忘れることができないでいました。」

■観客からの質問
Q趣里さんの演技はとても力強く、鬼気迫る感じでしたが、寧子という躁うつ病を抱える主人公を演じるのは決して簡単ではなかったと思います。どのようにして役作りをしていったのですか?
【趣里】
「鬱の方がこうだとか、ということを考えずに、まずは脚本の中の「寧子」のことを考え、理解することに努めました。
私は、過去に、怪我でバレエをやめなくてはいけなくなり、希望を失った中で生きなくてはならない葛藤を経験しました。寧子を通して、そのときの自分を思い出しました。
私は映画を観て「辛いのは自分だけじゃない」と感じ、心が救われた経験があります。そこで、自分も寧子を演じることで、少しでも観て頂いた方の心に何かを残せるのではないか、共感して頂ける部分があるのではないかと思い、「この役は絶対に自分が演じたい」と思いました。」

Q:映画を観て言葉を失っています。魂に触れられたようで、凄まじい作品でした。加えて、現代社会が抱えるリアルな問題を描いた作品をここレインダンスに持ってきてくれて、ホントに感謝しています。うつ病自体が日本ではあまり取り上げられることのない問題だと思いますが、この映画がここイギリスで評価を受けることによって、もっとそういった問題に目を向けるようにしなければならない、という思いを持って、作品作りをしたのでしょうか?

【関根監督】
「はい、そうですね。この問題は僕たちがどこに住んでようと共通する普遍的な問題だと思います。人間社会の中で生きていればこういった問題には必ず直面します。うつ病の方々は助けを求めることも難しいですし、話題にもできないかもしれません。この作品を創ったことによって、この問題が解決できるとは思っていないですが、苦しんでいる方々を元気づけたいという思いはありました。」

【趣里】
「私は、そう鬱という症状を持つ寧子を演じていて、何が正しくて、何が間違っているのか、わからない部分がありましたが、日本はどちらかと言うと、「こうあるべきだ」と決めつけられてしまう、風潮があるかもしれません。」

■観客からの質問
(男性)Q:感情を抑えているキャラクターが登場してきますが、それは日本映画の特徴なのでしょうか?

【監督】
「たしかに、多くの日本映画では、感情表現が小さく、押さえつけられているように見えるかもしれません。それは、もしかしたら日本の文化や社会がそうであるからかもしれません。日本人の多くはあまり直接的に感情を表に出さないんです。そういったことを踏まえると、この映画はユニークな作品と言えるかもしれません。主人公の寧子は感情をすごく露わにしますからね。」

★上映、Q&A、「上映イベント」全てが終了した後
【趣里】
「上映後のQAのお客さんの顔を見て、同じ時間を共有できたのが嬉しかったです。
質問も社会的な内容もありましたが、人間の感情というのは一緒なのかなと感じ
ました。観た方の色んな感想をもっと聞きたかったです。」

【関根監督】
「英語の字幕付きで映画を観たので、観客の反応しかり、日本で観るのと印象が随分違いました。映画を観ながら、こちらの方々にわかるのかなっと思っていたんですけど、観終わった後にお客さんが席から離れずに、僕たちの話を熱心に聞いてくれたので、モチベーションが高いと感じました。皆さんが完全に理解している感じでした。
この映画は日本の、ある社会の問題を描いている作品だったのにも関わらず、自分事として感じてくれたことがすごく嬉しかったです。」

【映画を鑑賞した観客】
■コメント
20代女性
本当に感動しました。趣里さんの演技が力強く、ゆさぶられました。
昨今こんな演技できる女優さんいないと思います!本当にありがとうございました。

30代男性
普段扱われていないテーマに切り込んでおり、趣里さんの演技も含め、本当に素晴らしかった。映像美がとにかく圧巻の美しさ。是非もっとヨーロッパの観客に見てほしいと思う。

50代男性
とってもパワフルな映画でした。役者陣の演技もとても力強かった。

出演 :趣里 菅田将暉 田中哲司 西田尚美/松重豊/石橋静河 織田梨沙/仲里依紗
原作    :本谷有希子『生きてるだけで、愛。』(新潮文庫刊)
監督・脚本:関根光才
製作幹事 :ハピネット、スタイルジャム  企画・制作プロダクション:スタイルジャム  配給:クロックワークス
コピーライト:©2018『生きてるだけで、愛。』製作委員会
公式サイト:http://ikiai.jp