映画『モリのいる場所』 樹木希林(75) 北米最大の日本映画祭 第12回ジャパン・カッツ!で CUT ABOVE(カット・アバブ)賞受賞! 拍手喝采!喜びの声が到着!
日本を代表する名優・山﨑努と樹木希林が初めて共演した映画『モリのいる場所』(配給:日活、監督・脚本:沖田修一)。興行収入が2億6千万円を超え(7月26日時点)、全国で大ヒットロングラン上映しております。そしてこの度、7月26日(木)(現地時間)に北米最大の日本映画祭 第12回「JAPAN CUTS~ジャパン・カッツ!」で、国際的に活躍する日本人俳優に授与される「Cut Above Award for Outstanding Performance in Film」を受賞した樹木希林さんが授賞式に参加し、満席の会場の観客全員からスタンディングオベーションで迎えられ、
舞台挨拶とともに、上映後観客との質疑応答が行われました。
【日時】 7月26日(木) 19時~ (*ニューヨーク現地時間) 受賞式・舞台あいさつ、質疑応答
【場所】ジャパン・ソサエティー(JAPAN SOCIETY)
受賞式での樹木希林さんコメント
(私の年齢にあたる)75歳というのは日本では後期高齢者です。
本当は次の世の支度をしなければいけないはずなのに(会場爆笑)、このような賞をいただき、またこんな重いトロフィーをいただきどうすればいいのか分かりません。
人間というのは面白いもので、褒められるのはいつでも嬉しいですね。
■上映後の質疑応答(*260席が瞬時に売れて満席でした)
MC:山﨑さんとは同じ文学座にいらっしゃったそうですが、過去に共演されたことはありますか?
樹木:私は山﨑さんとまさか一緒の芝居をすることになるとは、夢にも思いませんでしたね。
それくらい傾向が違うんです。あちらは正当な俳優、こちらはちょっと・・・(観客笑う)
こういう俳優だから、接点がありませんでしたから、これはまあ長く役者やっててよかったなーということでした。
MC:「モリ~」には悪役というキャラクターがいなく、唯一悪いマンションオーナーのシーンでさえ、現場監督が息子の絵をモリに見てもらうことによりコミカルになってますね。この時モリの「下手でいい。下手も絵のうち」に関しては同意見ですか?
樹木:守一さんの人間として目指すもの、生きる欲というものは、今の日本人にはなくなりつつあるんですよね。そこへ集まってくる人たちだから、そんなに悪くならない。みんな人間は悪い面もいい面も持ってますけど、悪い部分を出さないで住んでいるんですね。だからモリのいる場所にはそういう風にみんなチャーミングなところが出てくるんじゃないかなと思いました。」
観客Q:これまで数多くの監督の作品に出演されてますよね。その中にはもちろんベテラン監督が多いかと思いますが、キャリアを積むにつれて、若手監督とお仕事をされることはどうですか?困難なことはありましたか?
樹木:それはねー、やっぱり結婚相手によって違ってくるということがあるから、その都度違うと思います、相手がかわれば。だけど根本的には、人間を描こうという、人間は世界共通だな、と思っているので、人間を描こうというのがあるときに、新しい出会いがあったな、と思いますね。でもわりかし、最近は人間に興味を持つという作りてが少ない気がする。技術とか、映像とか、映画がそっちに行ってると、あまり好きになれない。だからでも次の世代の人に、期待をしてます。日本映画どうかなー。
観客Q:お芝居とは思えないほど自然体で演技されてますが、演じる際には、どのように気持ちを持っていくのか、何か工夫されていることはありますか?
樹木:それは教わったり、教えたりしてできるものではないんです。なんといっても才能とセンス。だけどこんなこと言っても仕事がなくならないんです。こまっちゃうわね(笑)。
「ジャパン・カッツ」とは
ニューヨークにあるジャパン・ソサエティー主催の日本映画を紹介する映画祭。
2007年から毎年7月頃に開催されており、映画上映、出演する日本の映画監督や俳優をゲストとして招いた座談会や舞台挨拶などを行う。今回、樹木さんが受賞されるのは、日本映画界に貢献をしている監督や俳優へ贈られる「CUT ABOVE(カット・アバブ)」賞。
今回樹木希林さんへの「Cut Above Award for Outstanding Performance in Film」授賞理由は、以下です。
「日本映画界を牽引する存在として長年活躍され、人間のさまざまな側面をその複雑な役柄の中で表現しつつ、画面の外でも彼女独自の人生のストーリーを形つくって来られた様に思います。
今年のジャパン・カッツ!においてCUT ABOVE賞を彼女に贈らせていただくのは、まさにこれらの功績に加え、それが同時に日本映画界に活力を与えるものであり、人間であるということに対する深い洞察を与えるものであるからです。」
『モリのいる場所』に選出及び樹木さんの演技について映画祭のコメント
『モリのいる場所』の中の樹木希林さんは彼女特有の茶目っ気と人々を魅了させる演技を見せ、観客側に人間の本質の深みを感じさせてくれながらも、完璧なコメディーのタイミングをも見せてくれます。
沖田修一監督の一見軽やかなスタイルは世界中の観客を神秘的な庭の中で存在する愛おしい主人公たちへと惹きつける力があり、その主人公たちを演じる一流の役者さんたちが一層輝いています。2012年にはセンターピース・タイトルとして『キツツキと雨』と2016年にはオープニング作品として『モヒカン故郷に帰る』をジャパン・カッツ!で上映させていただいていることから、今回のセンターピース上映の『モリのいる場所』も含むと沖田監督は映画祭で歴代最多数のテントポール(ハイライト)上映の記録保持者にもなります。
■JAPAN CUTS!~ジャパン・カッツ! CUT ABOVE賞 歴代受賞者 ※敬称略
第 1 回目 役所広司【『キツツキと雨』(12’/沖田修一監督)】
第 2 回目 豊田利晃監督【『I’M FLASH!』(13’)】
第 3 回目 北村一輝【『猫侍』(14’/山口義高監督)】
第 4 回目 安藤サクラ【『百円の恋』(14’/武正晴監督)】
第 5 回目 リリー・フランキー【『シェル・コレクター』(16’/坪田義史監督)】
第6回目 オダギリジョー【『オーバー・フェンス』 (‘16山下敦弘監督)『FOUJITA』(’15小栗康平監督)】
(c)Mike Nogami/Japan Society
『モリのいる場所』
名優 山﨑努と樹木希林 円熟の老夫婦を味わい深く 人生が愛おしくなる珠玉の物語
〈ストーリー〉昭和49年の東京。30年間自宅のちっちゃな庭を探検し、生きものたちを飽きもせずに観察し、時に絵に描く画家モリ(94歳)と、その妻秀子(76歳)。彼らの毎日は人がひっきりなしにやってきて大忙し。そんな二人の生活にマンション建設の危機が忍び寄る。陽がささなくなれば生き物たちは行き場を失う。慈しんできた大切な庭を守るため、モリと秀子が選択したこととは—。50年以上をともに過ごしてきた老夫婦の絆、心豊かに充足した人生のある夏の1日。
伝説の画家・谷守一のエピソードをもとにした懐かしく、切なくて、幸せなオリジナルストーリー。時流に無頓着、庭を愛し、描き続けた画家・熊谷守一(通称モリ)に山﨑努、変わり者の夫との暮らしを楽しむ妻・秀子を樹木希林が演じる。
出演:山﨑努、樹木希林、加瀬亮、吉村界人、光石研、青木崇高、吹越満、池谷のぶえ、きたろう、林与一、三上博史
監督 /脚本:沖田修一 (c)2017「モリのいる場所」製作委員会 配給:日活