生まれた時から耳が聞こえないろう者で、「手話で楽しめる映画がないなら、自分で作る!」と思い立ったのがきっかけで、小学6年の頃からホームビデオカメラでろう者の弟と一緒にショートムービーを制作し始めた今井ミカ監督(29)が、初めて音響をつけた映画作品製作に取り組んだ映画『虹色の朝が来るまで』が、第27回レインボー・リール東京~東京国際レズビアン&ゲイ映画祭~に正式出品されました。

東京国際レズビアン&ゲイ映画祭は1992年より開催されていて、さまざまなセクシュアル・マイノリティについての作品上映を通じて、より多様で自由な社会を創出する場となることを目指している映画祭です。

インターネットなどの普及により、以前よりは情報にアクセスしやすい時代になりましたが、日本語と全く異なる日本手話を第一言語として育ってきたろう者にとっては同様とは言えません。19歳の時に家族にクィアということをカミングアウトした今井監督は、悩んでいるろうLGBTQの人たちの支えになればと思い、自分の経験やろう者のLGBTQの人たちとの出会いを元に物語を創り、本作を制作しました。

上映後、今井ミカ監督が、同じくろう者である、長井恵里さん(高橋華役)、小林遥さん(星野あゆみ役)と登壇し、手話通訳士の高島由美子さんの通訳付きで舞台挨拶を行いました。
本作は、シネマジャック&ベティでの7月21日の上映も前売券は全て完売しており、当日券は前売券をお持ちの方がご入場後、空席があった場合のみ販売します。
<当日券をご希望の方>
7/21(土)劇場オープン時(8:40頃)より、受付にて予約券をお受け取りください。
開場時間12:50までに、予約券をお持ちの上、受付へお戻りください。
ご案内できる場合は、予約券の番号が早い方から順にご案内します。
※予約券を受け取った方すべてにご入場頂けるとは限りません。

7 月 8 日(日)
登壇者: 今井ミカ(監督・脚本・編集)、
長井恵里(高橋華役)、小林遥(星野あゆみ役)
会場:東京ウィメンズプラザホール


「私にとって初めてLGBTQをテーマにした、作るのに勇気が必要だった映画なので、皆さんに見ていただけ、嬉しいです。」という監督の挨拶から始まった舞台挨拶。

Q: 監督は、小学6年の時に、ホームビデオカメラで弟さんと一緒にショートムービーを制作し始めた、と伺いました。映画を撮ろうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?
今井:学校が終わって、家で遊びのように弟を撮ったりしていたんです。聾学校での私の担任の先生は、学校で唯一の聾者の先生だったのですが、「映画をぜひ見て欲しい」と言ったら、怒るかと思ったら、「素晴らしいことだ」と応援してくださって、すごく嬉しくて、もっとたくさん作品を作りたいなと思ったのがきっかけです。

Q:その頃は、今回の『虹色の朝が来るまで』のような、聴者も対象にした作品ではなかったんですね?

今井:その当時、聾学校の同級生と一緒に映画を作ったら、聾者の方たちに、大笑いして楽しんで観てもらえました。聾者の楽しめる映画が少なかったので、聾者のための映画を作りたいと思っていました。

Q:この映画を作ろうと思ったきっかけは?

今井:自分は女性が恋愛対象で、相談相手がいなくて、ずっと1人でLGBTQ関連の映画を見ていたんですが、自分は聾者で、聴者の方たちとの背景と違うと感じて、聾者のLGBTQの映画があったら観たいな、と思ったのがきっかけでした。

Q:主演のおふたりが本当に輝いていて、また、プロの女優にも負けない豊かな表情がとても素敵でした。このおふたりを起用するきっかけ、経緯はどのようなことだったのでしょうか?

今井:華役の長井さんは、手話で楽しむインターネットの番組があって、「この子綺麗だな」と思ったんです。年下でしたが、控えめで礼儀正しい素敵な女の子だったんです。話をした時に、話を受け止める目が真剣で、「この人とだったらいい映画になるんじゃないか」と思いました。
あゆみ役は、実は別の方にお願いしていたのですが、お仕事の都合で、断られてしまって、「わ、どうしよう」と思ったときに、「あっそうだ」と笑顔が可愛い小林さんのことを思い出したんです。

Q: 華を演じた長井さん、演技をされるのは初めてと伺いました。先ほど、監督が、「めっちゃタイプ」みたいなことをおっしゃっていましたが?
長井:今日初めて聞いたので、ドキドキしています。今井監督に、「素人の私に芝居なんてできるのか」と言ったら、「誰でも人に初めて会った時は、よく見せようとしたり、自然と芝居しているものだ」という話をして励ましてくださいました。

Q:実際撮影が始まって、想像とちょっと違う、とか、大変だったとかはありましたか?

長井: 最後に泣くシーンで、うまく泣けたと思ったのに、NGになってしまいました。『悔しい』という感情が出た自分にびっくりしました。

Q:いつの間に本物の女優になっていたんですね。泣きのシーンを二度やるというのは大変だったんじゃないですか?

長井:はい、ちょっと休憩をいただきました。

Q:小林さんもやはり演技は初めてだったと伺いました。女性と恋人役を演じてみてどうでしたか?特に長井さんとは以前から友人だったんですよね?やりにくくはなかったですか?
小林:私は付き合っている彼氏がいるんですが、女性とお付き合いをしたことがなくて、まず、女性とお付き合いするのはどんな感じなのかなと考えました。なんで女性同士じゃダメなの、と思ったんです。出来上がった映画を観たら、”LGBTQの映画”ではなく”普遍的な恋愛映画”と思えました。

Q:監督、今回は撮影監督として湯越慶太さんと、音楽担当の一彦さんの二人の聴者とタッグを組んで制作されましたね。聴者のスタッフの起用は、初めての試みだったと伺いました。良かったこと、逆に苦労されたことはありましたか?
今井:お二人にお会いできて、私は恵まれていました。私は親が聾者で、聾学校を卒業したという背景で話していて、お二人は手話がわからなかったので、通訳を介して会話をしながら撮影しました。意見の違いももちろん出てきました。例えば、渋谷で聴者からナンパされるシーンで、主人公は、「私は耳が聞こえないです」と普通に手話で伝えたのですが、「壁を作っているように見える」と初めて言われ、新鮮に感じました。お互いに違うということを理解した上で話し合って、分かり合っていく、ということが大事なことだと思いました。これはLGBTQに関しても同じだと思います。

Q:最後にメッセージをお願いします。
長井:LGBTQだけじゃなくて、聾者のことを知ってもらえる機会となったことも、とてもありがたく思っています。何か感じていただけたら嬉しいです。
小林:”聾者のLGBTQの映画”ではありますが、”好きになった人がたまたま女性だった”、“たまたま聾者が出ていた”というだけで、普通の映画として観ていただけたら嬉しいな、そういう世界になったら嬉しいな、と思います。
今井:映画祭で大学1年のときにいろんな映画を見ていて楽しんでいました。自分の映画がかかるなんて、言葉にならない位の嬉しさでいっぱいです。小さい時から、女性を好きになる気持ちは悪いことなのかなと思い、布団の中で泣いていた時期もありました。聾学校の先生、クラウドファンディングでご協力してくださった皆様、今まで出会ったすべての方々のおかげで今日があります。心からお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。

第12回 関西クィア映画祭 2018(【大阪会場】9/22(土)〜 24(月/休)すてっぷホール、【京都会場】10/19(金) 〜21(日)京都大学 西部講堂)でも上映が決定しました!

http://kansai-qff.org/

監督・脚本・編集:今井ミカ 撮影:湯越慶太 音楽:門傳一彦
企画・製作:JSLTime
出演:長井恵里 小林遥 玉田宙 佐藤有菜 ノゾム 菊川れん 高木里華 太田辰郎 etc.
公式サイト:https://www.jsltime.com/nijiiro-film
Twitter:@JSLTime Facebook:jsltime Instagram: jsltime ©2018 JSLTime