ダイアン・クルーガー

●女優賞は、家族を殺したネオナチに復讐するヒロインを熱演した『イン・ザ・フェイド』のダイアン・クルーガーが獲得!

女優賞は、26日(金)に正式上映されたドイツ映画『イン・ザ・フェイド』で主役を張ったダイアン・クルーガーが受賞。感激の面持ちで映画祭ディレクターと審査員団に謝意を伝え、「カンヌにはとても思い入れがあるの」と述べたクルーガーは、客席で彼女の受賞に大喜びしているファティ・アキン監督に対して“マイ・ブラザー”と呼びかけ、「私を信じてくれてありがとう。私の内なる強さを引き出してくれたこの映画は一生の宝物です」と感謝した後、テロの被害者に心を寄せている旨を告げた。

 

 

 

 

アンドレイ・ズビャギンツェフ監督

●審査員賞に輝いたのはロシア映画界を牽引するアンドレイ・ズビャギンツェフ監督の骨太作『ラブレス』!

審査員賞は18日(木)に正式上映された『ラブレス』。2014年の前作『裁かれるは善人のみ』で脚本賞を受賞しているロシアのアンドレイ・ズビャギンツェフ監督は今回、もっと上位の賞を狙っていたと思われ、不本意の表情を浮かべつつ登壇。壇上ではプロデューサー、撮影監督、共同脚本家らスタッフに感謝し、審査員団に謝意を伝えた後、本人に会えて嬉しいとウィル・スミスを持ち上げた。

 

 

 

 

 

ヨルゴス・ランティモス監督

●脚本賞を『ユー・ワー・ネバー・リアリー・ヒア』と分け合った『ザ・キリング・オブ・セイクリッド・ディア』

22日(月)に正式上映された不条理劇『ザ・キリング・オブ・セイクリッド・ディア』の脚本を自ら手がけた鬼才監督ヨルゴス・ランティモスは、授賞式で共同脚本家のエフティミス・フィリップに対して感謝し、映画祭および審査員団に謝意を伝えた。ランティモス監督にとっては2015年に審査員賞を獲得した『ロブスター』に続く2回目の栄冠で、両作ともコリン・ファレルが主演した怪作だ。

 

 

 

 

 

チョウ・ヤン監督(左)とテッポ・アイラクシネン監督

●短編パルムドールは中国人監督チョウ・ヤンの15分の作品『ア・ジェントル・ナイト』が受賞!

“短編コンペティション”部門の審査員はルーマニアのクリスティアン・ムンジウ監督(審査委員長)以下、フランスの女優クロチルド・エスム、アメリカの監督バリー・ジェンキンス、シンガポールの監督エリック・クーらの総勢5名(“シネフォンダシオン”部門の審査も同メンバーが兼務)。

また、オフィシャル部門、併行部門の垣根を越えて、監督処女作を対象とする“カメラドール”(新人監督賞)は、フランスのレオノア・セラーレ監督が、“ある視点”部門に出品した『ジュンヌ・ファム』で獲得。授賞式で、主演女優のレティシア・ドッシュを伴って登壇したレオノア・セラーレ監督は、高揚感あふれる表情で喜びのスピーチを行った。この賞の審査員はフランスの女優サンドリーヌ・キベルラン(審査員長)以下、総勢7名が務めている。

☆短編パルムドール:『ア・ジェントル・ナイト』チョウ・ヤン監督(中国)
☆短編スペシャル・メンション:『ザ・シーリング』テッポ・アイラクシネン監督(フィンランド)

☆カメラドール(新人監督賞):『ジュンヌ・ファム』レオノア・セラーレ監督(フランス)

レオノア・セラーレ監督

そして、高等技術院(CST)が技術スタッフを対象にして選出する“ヴァルカン賞”は、スウェーデンのリューベン・オストルンド監督の『ザ・スクエア』の美術監督を務めたジョセフィン・アスベルグに贈られた他、併行部門の“批評家週間”と“監督週間”でも、それぞれ独自に各賞を授与している。

 

左からレティシア・ドッシュ、レオノア・セラーレ、サンドリーヌ・キベルラン

(Text & Photo:Yoko KIKKA)