2009年、ニューヨークのハドソン川で起こった“奇跡”と賞賛された航空機事故の驚愕の生還劇。その知られざる真実に、クリント・イーストウッド監督と主演トム・ハンクスのアカデミー賞®コンビが迫る、問題作にして究極のヒューマンドラマ『ハドソン川の奇跡』が9月24日(土)より公開となる。9月9日(金)から全米で封切られ、全米初登場1位の大ヒットスタートを切った本作だが、英雄から容疑者にされてしまうサリー機長役のトム・ハンクスと、スカイルズ副機長役のアーロン・エッカートが来日記者会に出席。あの「ハドソン川の奇跡」の当事者であるUSエアウェイズ1549便に乗り合わせていた日本人搭乗者2名をお招きし、機長役のハンクスと副機長役のエッカートが本作に込めた想いを語った。

150人の記者が集まる中、盛大な拍手とともにハンクスとエッカートが登場し、ハンクスより「皆さんにお会いできて嬉しいです。映画を非常に誇りに思っています」、エッカートより「日本に来て大変歓迎を受けてとても嬉しく思っています」とそれぞれご挨拶。イーストウッド監督からの「今回、東京に伺えず残念です。でもトムとアーロンがそちらにいることを嬉しく思っています」というシンプルすぎるビデオメッセージを受け、ハンクスは「彼との仕事ぶりがこういう感じだったといのがこのVTRで非常によく分かる。彼は非常に口数が少ない寡黙な監督だけど、ちゃんと言葉を選んで大事なことを言うのです。彼は偉大な俳優・監督で、今世紀を代表する名作の5、6本は彼の手によるものだと思います」、イーストウッド監督の真似をやってみせるハンクスに、会場からは大きな笑いが。エッカートは「彼と仕事をした楽しさを思い出しました。いつも笑っていて目を輝かせている、ヒーロー的存在。撮影の初日に雨が降っていましたが、彼は屋内に入ることなく、雨に打たれながら一日中俳優の側にいた」と撮影秘話を披露し、それぞれイーストウッド監督に対しての尊敬の眼差しを示しました。

質疑応答では、会場にいるマスコミから「実際の事故をどう見ていましたか?」という質問を受け、エッカートは「当時ヨーロッパにいてTVで事故を知った。乗客が毛布にくるまって海に浮かぶ飛行機の上に乗っている映像を見て、9.11のような何かすごく良くないことが起こったのではないかと頭を過りました」と述べると、ハンクスも「アメリカにいてTVのニュースで事故を知った。ニューヨークを低空飛行する飛行機を見て、みんなまた9.11の繰り返しになるのではないかと不安に思った」と当時を振り返り、本事故がどれだけ世間に衝撃を与えたかを語りました。また、俳優業についてハンクスは「いつもいい題材を探しているし、俳優としてもかなり競争心が高いんだ。今回は脚本を一瞬で読み終えたと思えるほど、のめりこんでしまい、とてもサプライズがある脚本だった。私も知らなかった事実の裏側が色々書かれており、非常にいい映画ができると確信しました。そして共演がアーロン・エッカートだしね(笑)」と、本作が持つ大きな魅力を語りました。

この日は特別ゲストとして、当時USエアウェイズ1549便に乗り合わせ“奇跡”の生還を果たした日本人搭乗者・滝川裕己(たきがわ・ひろき)さん、出口適(でぐち・かなう)さんが登場し、当時の状況を「落ちてから脱出するまで、乗客はパニックになることはなく皆落ち着いて行動していた」と振り返りました、完成した本作を観て、出口さんは「我々の命を救ってくれたサリー機長が、事故後に容疑者のような扱いになったことは知らなかったので驚きだった」、滝川さんは「事故体験者の我々からみても、忠実に再現されており、内容がすごくリアルであった。」と、いかに本作がリアルに描かれているかを話してくれました。最後に滝川さん、出口さんのもとに、ハンクスとエッカートが登場すると、4人はお互いに熱い握手を交わし、今日出会えたことを喜びました。

本作で3度目のオスカーを狙うトム・ハンクスは英雄から容疑者となってしまうサリー機長をリアルに演じ、前作『アメリカン・スナイパー』で戦場という極限の状況下における兵士の人間性を鋭く優しく見つめた巨匠イーストウッドが描く真実のドラマ『ハドソン川の奇跡』は9月24日(土)より公開。