この度、ドキュメンタリー映画『人間爆弾「桜花」-特攻を命じた兵士の遺言-』(8 月 27 日よりシアター・イメージフォーラムにて上映中。全国順次ロードショー)の大ヒットを記念し、本作の主人公・林冨士男さんの半生を描いた書籍「父は、特攻を命じた兵士だった。」(岩波書店)著者・小林照幸様と、本作ラインプロデューサーであり、神風特別攻撃隊をテーマとした今井雅之作の舞台「The Winds of God」にも出演された俳優・天田暦様をお迎えして、トークイベントを開催いたしました。

日時: 9 月 12 日(月)22:20〜22:40
場所: シアター・イメージフォーラム
登壇者:小林照幸(「父は、特攻を命じた兵士だった。」(岩波書店)著者)
天田暦(俳優、本作ラインプロデューサー)

9 月 12 日(月)21:00 回上映後、シアター・イメージフォラムにて、ドキュメンタリー映画『人間爆弾「桜花」-特攻を命じた兵士の遺言-』の大ヒット記念トークショーが行われた。
小林照幸(以下、小林)「主人公の林冨士夫さんは、昨年 6 月に本作がフランスで公開された初日に 93 歳にお亡くなりになりました。林さんがお亡くなりになった 2 ヵ月後に、私が信濃毎日新聞に書いた記事を紹介させて頂きます。」
(以下新聞を読み上げる。)

小林「林さんほどの壮絶な体験をした人でも認知症になるのかと、(当時)戦後 65 年である事を実感しました。戦後の苦悩から解放されたのが、認知症のおかげというのがなんとも皮肉であり、本作の撮影時はまだ林さんは苦しかったのではないかと思いました。」
天田暦(以下、天田)「主人公・林冨士夫さんとの出会いは、舞台「The Winds of God」に出演するにあたり、実際の特攻隊の方にお話しを聞きたくて訪ねたのがきっかけです。出会った時の林さんは元気で、10 年以上に渡り親交があった自分がこの映画を観た時に感じたのは“違う”と。自分が知っている林さんとはかけ離れた林さんの姿に正直“これでいいのか”という印象を受けました。きっと林さんが伝えたかった事は感じていた事、全てが本作に描かれているとは思いません。しかし人は認知症になっても昔の話は記憶として話せる事は出来るのだと思います。」
天田「林さんが元気な頃に話していた事で印象的だったのは、「死にたいと思う事はあったけれど、今は 180 歳まで生きたい。皆を毎日思い出している間は、皆は自分の中で生きているから。」と。それを聞いた時は、林さんは今でもずっとその時のままの時間を生きているのだと衝撃をうけました。」
天田「9.11テロの後、アメリカは完全報復ムードに、そして日本もそれに倣うかのような風潮になっていました。
林さんはその状況をみて“この状況は第二次世界大戦と同じだ。アメリカがこの前にイラクに何年間もかけて何をしてきたのか、そういった事を知らないと報道に引きずられて皆が報復ムードになってしまう。裏側をみなくてはいけない。そして時間が経って、角度を変えて見続けないと、同じ事が繰り返されてしまう。”と話していたのが印象的でした。この作品を観て、多くの方に林さんという人を知ってほしいです。筑波海軍航空隊記念館では、林さんが元気な頃に出演した南日本放送の番組を観る事が出来ます。是非林さんを違う角度から見て、そして平和という事を考えていってほしいと思います。本日はありがとうございました。」
小林「鹿児島の鹿屋市には鹿屋航空基地史料館があります。是非そちらにも足を運んでみて下さい。ありがとうございました。」
林さんは本作撮影時には認知症を患っていましたが、平和への強い使命を抱き続けていました。生前の林さんとの親交があった、小林照幸さん、天田暦さんのお話しから、林さんの平和への思いが語られ、大盛況の内にトークイベントは幕を閉じました。

映画『人間爆弾「桜花」—特攻を命じた兵士の遺言—』は、シアター・イメージフォーラムにて絶賛公開中、順次全国公開となります。