2014年に23年ぶりの新作『リアリティのダンス』が公開、来日イベントでは85歳とは思えないエネルギッシュな姿を見せ、往年のファンだけでなく若者をも巻き込みブームを呼んだホドロフスキー監督。本作『エンドレス・ポエトリー』は、『リアリティのダンス』の続編を望む世界中のファン約1万人からIndiegogo、Kickstarterといったクラウド・ファンディングで資金の多くを集めて製作された、まさに待望の新作となります。

映画は前作『リアリティのダンス』のエンディングから始まります。故郷トコピージャから首都サンティアゴへと移り、様々な悩みや葛藤を抱えた青年時代のホドロフスキーが当時チリで出会った詩人、アーティスト、パフォーマーなど、アヴァンギャルドなカルチャー・シーンの人々との交流を、虚実入り交じったマジック・リアリズムの手法で描き、前作同様ホドロフスキーの長男であるブロンティス・ホドロフスキーがホドロフスキーの父親を、青年となったホドロフスキーを、末の息子であるアダン・ホドロフスキーが演じます。また、撮影監督は『恋する惑星』など、手持ちカメラの独特の映像で知られるクリストファー・ドイル。ウォン・カーウァイをはじめ、ジム・ジャームッシュやガス・ヴァン・サントなど様々な監督の作品に携わってきたドイルが、今回初めてホドロフスキー監督とタッグ組みました。

現地時間5月14日(土)、現在開催中の第69回カンヌ国際映画祭にてワールドプレミア。
上映の後、会場を埋め尽くす800 人もの人々の拍手喝采が鳴り止まぬ中ホドロフスキーが舞台に登場し、舞台挨拶を行いました。

ホドロフスキー監督は客席からの「映画は癒しになり得るのか?」という質問に
「もちろんイエスだ。この映画は“詩的な物語”ではなく“詩的な行為”そのものなんだ。映画を作る行為、それ自体がサイコマジック・ボム、つまり癒しになるんだ。世の中の全てがお金に置き換えることができる現代において、”詩”とは唯一お金にに置き換えることのできないものだ。だから”詩”こそが唯一の芸術であり、行為そのものであり、生き方なのだ」と発言。続けて、「この映画の製作はとても大変だった。当初製作資金が足りなかったけれど、奇跡が起こるかもしれない、と撮影をスタートさせた。結果、キックスターターとインディーゴーゴーのクラウドファンディングで世界中から1万人に及ぶ人々が出資をしてくれ、作品を完成することができた」と答えた。

夜の公式上映でにはホドロフスキーをはじめ、ブロンティス・ホドロフスキー、アダン・ホドロフスキー、チリからは母親役のパメラ・フローレス、子どものころのアレハンドロ役のイェレミアス・ハースコヴィッツが揃って劇場に登場、観客からは大きな拍手と声援がおくられた。
各メディアからも「ホドロフスキーの最高傑作!」(米バラエティ紙)、「自由奔放なアイデアと本当の優しさに満ちた作品!撮影監督のクロストファー・ドイルによって降り注ぐ鮮やかな色たちがホドロフスキーのおとぎ話とマジックリアリズムを強調している」、「87歳にして、今がキャリアのピーク!」(米インディワイヤー誌)と絶賛の声が相次いだ。