開催中のカンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品しているパク・チャヌク監督最新作「THE HANDMAIDEN」*英題(『Aggasi』*原題)。現地時間の14日(土)に主演のキム・ミ二、キム・タエリ、ハ・ジョンウ、チョ・ジヌン、パク・チャヌク監督らが記者会見・レッドカーペット・公式上映に参加しました。

【レポート】
本作は、サラ・ウォーターズの「荊の城」が原案となり、1930年代日本統治下の韓国を舞台に、スラム街で詐欺グループに育てられた孤児の少女・スッキ(キム・タエリ)、莫大な財産の相続権を持つ美しい令嬢・ヒデコ(キム・ミニ)、“伯爵”と呼ばれ、ヒデコの財産を狙う詐欺師(ハ・ジョンウ)ら、それぞれの思惑が入り乱れ、騙しあいや復讐が繰り広げられていく。複数の登場人物の視点で描かれるサスペンスと、過激なエロスが、息を飲むような美しい映像で綴られた作品。パク・チャヌク監督は、『オールド・ボーイ』で第57回カンヌ国際映画祭・審査員特別グランプリ、『渇き』で第62回カンヌ国際映画祭審査員賞を受賞し、まさにカンヌの常連。
騙し合い・復讐・過激なエロス・・・パク・チャヌク監督の集大成ともいえる本作は、すでにマスコミ各誌から高い評価の声があがり、受賞にも大きな期待がかかる。
現地時間5/14(土)AM11:30に行われた公式記者会見に出席したパク・チャヌク監督は、本作について「本作はイギリスの小説(「荊の城」)を原案にしながら、日本統治下にあった韓国を舞台にしています。当時、人々が抱えていた心情はそれぞれ異なり、日本に支配されていながらも、日本人や日本の文化に強い憧れを抱く人もいました。そのような人たちが、日本に魅せられた理由やその心理を描きたい、と強く感じていました。韓国がどう、日本がどう、ということではなく社会のヒエラルキーや、個人個人の想いを描きたかったのです。1930年代の韓国は、日本風、イギリス風など様々な建物が建設され、文化的にも非常に興味深い時代だったのです。」
「日本人の令嬢であるヒデコ(キム・ミニ)も、ステレオタイプな貴族として描きたくなかった。実はとても悲しい一面を持つキャラクターです。」と、本作について語りました。
そして本作の主人公、スッキを演じたキム・タエリは「監督の作品に参加できたことを心より光栄に思います。」と大役への抜擢に感無量の様子。ヒデコを演じたキム・ミニも「とても楽しんで演じることができました。」と答えました。
本作は、1つのストーリーを複数の登場人物の視点で追うもの。この構造について訪ねられると、「物語は大きく3つの構成に分かれていて、途中からラブストーリーの要素も加わります。」「フランスの文豪バルザックも”偉大なる男は女性的な面を持っている”という言葉を残していますし(笑)」と、サスペンスとラブストーリーの要素が交じり合うストーリーに自信があることを、ジョークを交えて語りました。
そして、韓国を代表する俳優の一人ハ・ジョンウも「撮影に入るまでに多くの時間を頂けたので、十分な準備をして臨むことができました。日本人になりすます詐欺師の役なので、できるだけ自然に見えるように気を付けました。」と、自信をみせました。ヒデコの叔父を演じたチョ・ジヌンは「他のキャストの皆さんと違い、私は好きにやらせていただきました(笑)。」と答え、会場には笑いが包まれました。
当日夜のレッドカーペットに監督・キャストが登場すると、各国のメディアからの取材が殺到、その後の公式上映も満席となり、上映後スタンディングオベーションが8分以上続き、会場の拍手はゲストが退場するまで鳴り止みませんでした。
上映に参加したメディアからは、「これまでのパク・チャヌクらしさがありながらも、ものすごく洗練されている。映像が美しく、撮影技術が本当に高い。素晴らしい!!」「会場全体が食い入るように見ている雰囲気が強く伝わってきた。」「今年は豊作が多い中、パク・チャヌクは一人だけレベルが抜きん出ている!」と、高い評価が与えられました。
5/22(日本時間・深夜)のコンペティション部門の授賞式に大きな期待がかかる。

<海外メディアも絶賛!最速映画評>

・ガーディアン紙 ★★★★
「パク・チャヌクにしか創れない芸術作品であり、文句なしに楽しめるエンタメ・スリラー。赤く燃え上がるような今すぐ爆発しそうな俳優たちの緊張感ある演技合戦、精巧かつ優雅な映像美にクラクラと眩暈がする。」

・ヴァラエティ紙
「才気に満ちた傑作に酔狂する。思いっきり官能をそそられ、享楽的で豪華な世界観は、ゾッとするほど魅惑的だ。」

・ハリウッド・レポーター紙
「期待を全く裏切らない、いや、それ以上の出来だ。精巧かつ非常に美しく撮られた、倒錯エロティックスリラー/ラブストーリーは、興奮するツイストがいっぱいで、あっという間に映画が終わる。」

・THE HOLLYWOODNEWS
「猛烈に激しく、あまりに魅惑的。カンヌのベスト候補。」