先日、第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門への正式出品が決定した、是枝裕和監督の最新作『海よりもまだ深く』が、5月21日(土)より全国公開いたします。
  
今回、是枝監督が送りだすのは、“なりたかった大人”になれなかった大人たちの物語です。
今や国民的名優となったの阿部寛を主演に、真木よう子、小林聡美、リリー・フランキー、池松壮亮、吉澤太陽、橋爪功、樹木希林と豪華キャストが揃いました。
“海よりもまだ深い”人生の愛し方を教えてくれる、心に沁みる感動作がここに誕生しました!

この度、5月21日(土)の全国公開に先立ち、阿部寛、真木よう子、吉澤太陽、樹木希林、是枝裕和監督による舞台挨拶付き完成披露試写会を実施いたしました。

カンヌ国際映画祭への出品決定後、初めてキャストと監督が勢ぞろいする場となり、映画祭への期待や想い、撮影でのことを振り返り語って頂きました。

※カンヌ国際映画祭には、阿部さん、真木さん、樹木さん、是枝監督の渡仏が決定!
正式出品で本映画祭に参加するのは、阿部さんは初!真木さんは『そして父になる』以来2度目、樹木さんは『あん』以来2度目、是枝監督は6度目となります!

『海よりもまだ深く』 完成披露試写舞台挨拶レポート

◆日程:4月24日(日) 
◆登壇者:阿部寛、真木よう子、吉澤太陽、樹木希林、 是枝裕和監督
◆場所:丸の内ピカデリー

本作の中で象徴的に登場する、清瀬野塩団地にあるタコ型滑り台(昨年末撤去)を背景に
満席の会場から大きな拍手で迎えられながら登場した、阿部さん、真木さん、吉澤くん、樹木さん、是枝監督。
第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門への正式出品が決定した本作は、是枝監督にとっては
『そして父になる』『海街diary』に続き、3作連続のカンヌとなります。
阿部さん、真木さん、樹木さん、是枝監督はそれそれに喜びのコメントを寄せました。

「本当に特別な場所なので、スタッフ・キャストと共にその場所を楽しめればと思っています。
この映画はみなさんの人生にも起きる程度のささやかな出来事が描かれているので、
このような小さなお話しが選んでいただけたことを嬉しく思います。」(是枝監督)
「すごい嬉しかったです。カンヌはプライべートでは行ったことがあるのですが、
映画祭は初めてなのでとても楽しみです。この作品を誇りに思います」(阿部さん)
「大好きな作品になったので本当に嬉しいです。本当に運がいいことですし、光栄です。」(真木さん)
「こんな小さな団地のお話しを世界のバイヤーさんたちが観て、買ってくれて、
それでまた世界で上映していただけるのは本当に喜ばしいことですね」(樹木さん)

是枝監督作品で”良多”を演じるのは、『歩いても 歩いても』『ゴーイングマイホーム』に続き3作目となる阿部さん。
本作で演じた”良多”について阿部さんは「是枝監督作品は3本目ですが、ここまでのダメ男を演じたのは初めてです。
それでもどこか憎めないキャラクターで楽しんで演じていました。」といい、
また、「こういう人よくいるなと思うんです。子供の頃に僕もこういう大人がいたことをよく記憶していて、
50代になった今でも鮮明に覚えているんです。それに、ダメなところもあるけど、共感できる部分もたくさんある。
せこいところとか弱いところとか(笑)それが憎めない理由なんじゃないのかな。」とコメント。

そんな良多の元妻の響子を演じた真木さん。撮影現場について「是枝組は穏やかなので、
今回もフラットな状態で芝居ができました。」と振り返りました。
また映画での印象的なシーンについて「私も貧乏育ちなので、カルピスを凍らせてガリガリ削りながら食べるシーンは
それで承諾してもらいました(笑)」と裏話を披露。
撮影現場には、監督の同級生の親御さんたちが多く激励に訪れたようで、
その様子を「近所の方たちに、”是枝くん是枝くん”と肩をたたかれてたわね。」と樹木さんが明かすと
監督は照れ笑いする姿をみせました。

多くの「名言」が散りばめられている本作ですが、劇中での印象に残っている台詞についてそれぞれ披露。

「”なりたい大人になれるなんて思うなよ!”ですね。高校生に逆ギレするシーンなんですが、
とても気に入っていて、もっとやればよかったと後悔しているくらいです。」(阿部さん)
「今、母と一緒に住んでいるので”あんた、私が死ぬまでここでちゃんとみてなさいよ”という
樹木さんの台詞は胸に刺さりましたね」(真木さん)
「”パパはなりたい大人になれた?”という台詞です。自分でいった台詞ですけど、
なんだかウルっときてしまいました。」(吉澤くん)
「”私いいこといった?メモしていいわよ”と良多にいうシーンが可笑しくて本当に好きですね。」(樹木さん)
「”するわけないでしょ、あなたと人生ゲームなんて”と真木さんが良多にいうシーンですね。
あの真木さんの言い方が、この人どれだけ嫌な想いしてきたんだろうとしみじみ思えるような言い方で(笑)
可笑しかったです。」(是枝)

「なりたかった大人」になれていない人たちを描いている本作ですが、
「なりたかった大人」になれてるかという質問に対し、是枝監督以外はなれていると回答。
なりたかった大人になれたターニングポイントを尋ねられると、
阿部さんは「僕は最初はモデルをやっていて、俳優という仕事にまさかつけるなんて
思っていなかったけど、明らかにそこで変わったと思います。」
真木さんは「子供の頃すごい変わっていて、飛行機に追いつけると思って
すごい走ってたんですけど、そのころですかね」
樹木さんは「ずるずる役者を続けていますけど、癌になったことでしょうか。
そこから先見据えてを計算できる生き方をするようになりました」
とそれぞれに明かす中、吉澤くんは「臨機応変に対応できる大人になりたいと思いますけど、
この映画をみると普通にサラリーマンとかになった方がいいんじゃないかなと思う」
とコメントすると会場から笑いが起こりました。

最後に、阿部さんが「本当にみなさん、今日はありがとうございました。
是枝作品に関わらせていただけるのは本当に夢のようです。
今回演じたキャラクターはダメだけれど、自分なりにチャーミングに演じられたと思っていて、
一番好きなキャラクターになったかなと思っています。
台詞がないところにもその人の人生がにじみ出ている。本当に良い作品なので、
みなさんがこの作品を応援してくれることを信じています。」と挨拶。

樹木さん節が炸裂しながらも、映画に寄り添った終始穏やかな雰囲気に包まれながら
イベントは終了しました。

以上