嵐の二宮和也が22日、丸の内ピカデリーにて行われた映画『母と暮せば』完成披露試写会に、主演の吉永小百合をはじめ、黒木華、浅野忠信、加藤健一、本田望結、山田洋次監督ら豪華キャストとともに出席した。

松竹120周年記念作品にあたる本作は、終戦3年後の長崎を舞台に、原爆で一瞬にして人生を失った息子・浩二(二宮)が亡霊として現れ、助産婦の母親・伸子(吉永)や小学校教師の恋人・町子(黒木)らと奇妙で特別な時間を過ごす。

戦後70周年を迎えた今年の4月にクランクイン、7月に長崎でクランクアップし、山田監督初のファンタジー感動作となった本作。撮影を「監督のこの作品にかける熱い想いをしっかり受け止めたいと、日々思いながらやってきました」と振り返る吉永は、山田組5度目の参加に「今までにないくらい監督の迫力が感じられました。緊張しっぱなしで遊んでる暇がなかったですね。監督の振るタクトを必死に見つめて演じました」とコメント。

また、初共演となった二宮を「監督からの難しい注文をヒョッと受け止めて、それをすぐ形に出来る。軽やかでリズム感があって、男性なのですが“フェアリー”のようでした」と絶賛する吉永。
二宮は「そうですね、“フェアリー和也”に改名しようかと思います」と気に入った様子をみせ、吉永の印象を「すごくお優しい方。“フェアリー”の情報を毎週更新してくれていて、嵐の番組を観ては感想をお話ししてくれるんです」と笑顔を浮かべた。
さらに、劇中で二宮の鼻をツンと指す“鼻ツン”をしてみせた黒木は「“フェアリー”の顔が近くて緊張しちゃいました(笑)鼻ツンは女性からなのでぜひ使ってみてください」とにっこり。

二宮扮する息子・浩二が亡霊として登場する本作。山田監督は初のファンタジー作品に「亡霊ということで、僕はそんな映画を撮ったことがなく、いろんな映画を観ては『こんなふうにはいかないなぁ』とため息をついていました」と苦労をにじませ、「いまはCGという技術が非常に発達していますから、その技術をどう上手く使えば亡霊をより魅力的に表現できるのか。また、今の長崎にない風景をセットやCGで再現しなければならない点も苦労しましたね」と新たな試みに苦戦した様子。

本田は戦争を題材にした本作について「戦争を経験されている方は周りにはいなかったんですけど、広島にいったとき原爆ドームを前に涙が止まらなかったです。学校の図書館で広島や長崎の写真を見たり、本を読んだりして勉強しました。これからも平和な世界がずっと続けばいいなって思います」としっかりしたコメントに、会場からは拍手が起こった。

一方「亡霊でもいいから会いたい人は?」という質問に、山田監督は「亡くなった妻に」、吉永も「父に会いたい」としみじみと答え、黒木は「太宰治」、二宮も悩んだ末「松竹映画第1号の現場に行ってみたい」と回答していく中、本田は「私が生まれたときから飼っていたワンちゃんが、4年前くらいに亡くなっちゃったので…会いたいです」と愛犬を思い出し、涙を流してしまう一幕も。

山田監督は、本作へのこだわりを「いまの時代、全国の映画館ではデジタルで上映しているのがほとんどだと思います。僕はどうしてもフィルムのほうが好きなんですね。だからこの映画もフィルムで撮影しました」と話し、「そのフィルムをデジタルに変換したものが全国で上映されるわけですが、1本だけ作ったフィルムのプリントを観たら、絵も音も素晴らしいんですよね」と熱い思いを明かした。

この日は山田監督たっての希望で、フィルムでの上映を敢行。最後に「幸いこの劇場(丸の内ピカデリー)には、フィルムの映写機がある。おそらくこの映画をフィルムで観ることができるのは皆さんだけなんじゃないかと思っております。期待に添えるような素敵な画面になっているはずです」と力強くアピールした。

映画『母と暮せば』は12月12日より全国ロードショー

(Report:小宮駿貴)