韓国で動員1,340万人を超え歴代3位の歴史的大ヒットを記録した『ベテラン』がいよいよ12月12日(土)より公開されます。
『生き残るための3つの取引』、『ベルリンファイル』で先読みできない物語とリアルなアクションで常に圧倒してきたリュ・スンワン監督が本作で描くのは、政府さえ金の力で動かす大財閥と、悪は絶対許さない“ベテラン”刑事率いる広域捜査隊の対決を描いたアクション活劇! 
この度、リュ・スンワン監督が本作PRのため来日し、日本を代表するアクション女優・武田梨奈さんとアクショントークバトルを実施。リュ・スンワン監督が本作に込めた想いやアクションへのこだわり、さらに監督の大ファンである武田さんが、『ベテラン』の登場人物で紅一点のミス・ボンの前蹴りを披露し、監督から絶賛されるなど、一味違ったトークイベントとなりました!
 
【日 時】 11月19日(木) 【場 所】 LEFKADA (レフカダ) 新宿区新宿5-12-4 B1
【登壇者】 ゲスト: リュ・スンワン監督 /武田梨奈(女優)  MC:中井 圭(映画解説者)

★リュ・スンワン監督の作品は、社会が抱えている問題といつも関係しているような印象がありますが、社会的な問題に関心があるのでしょうか?

監督:
表面的には社会的な問題を扱っているように見えるのですけど、私としては社会的な問題の先に本質的に人間を描きたいという気持ちがあります。でも個人対個人を描いていると、どうしても社会が映し出されることになりますね。

★日本ではあまりなじみがないのですが、韓国における「財閥」というのはどういう位置づけになるのでしょうか?

監督:
そうですね、世の中の全てのことがそうだと思うのですが、両面性つまり良い点と悪い点があるように思います。韓国では今の経済発展の元を作ったのが、いくつかの大企業であり会社の人物であるわけです。でも一方、そこには副作用もあって、会社を個人の所有物として考え、家族が世襲するということも生まれます。そして事業を拡大するために本来なら手を出さなくてもよい庶民の領域にも入って踏みにじることも出てきていると思います。
私は良いお金持ちがふえてほしい、と思っています。でも「財閥」という言葉を使った瞬間、富に対する良くない感情も伴われるような気がします。私自身は「財閥」そのものが悪いとは思っていません。「財閥」を生み出してしまうシステム、そこに権力を維持するような方式が誤っているのではないかと思っています。

★(ここで武田梨奈さん登場) 公開に先駆けて本作ご覧になっていかがでしたか?

武田さん:
久々に何回も見たくなるアクション映画に出会いました!元々ダサくてカッコいいアクション映画が好きなのですが、自分のツボにハマる作品がやっときた!って感じです。

監督:
こんな美女に褒められて…何の言葉もありません。(と照れる監督)
私はこの作品を作る時に、普遍的な感受性を大切にして作りたい、と思っていました。『ベテラン』は愉快で溌剌とした作品に見えるかもしれないのですが、その裏には重いテーマが隠されているんです。大人なら世の中がどんな風にまわっているか十分わかっていますが、私たちの後の世代まで、こういった暗い世の中を残してはいけないと思ったので、この作品を後の世代の子供たちが観たときに、何か考えてくれるような作品を作りたいと思いました。そのためには、気楽に見られて楽しめる部分も必要なのではと意識しました。

★実は、監督の大ファンである武田さんからお願いがあるそうですね?

武田さん:
映画の中で、(紅一点刑事の)ミス・ボンがとび前蹴りをやるシーンがありますよね。私、男の熱い映画の中で女性が一人活躍するという場面に憧れていまして、監督、よかったら是非見て御指導いただけますか?

(監督快諾し、武田さん、スタッフが構えるミットめがけて、素晴らしいとび前蹴りを披露!!)

監督: 武田さんの蹴りに蹴られたいです!
指導するまでもなく、完璧な姿勢で本当にカッコいいです。武田さんの何か別の技もみたいですね。

(予想外のリクエストに応え、武田さんが今度は後ろ回し蹴りを華麗に披露!!)

監督:誘拐して撮影現場に連れていきたいです!
もしチャンスがあれば、武田さんのこの素晴らしいアクションが私の作品の中で観られる日がくればよいですね。

武田さん:いつでも呼んでください!いつでも韓国にいきます!

★そういえば、監督のアクションシーンには、水道管とか何か出っ張ったところにぶつかるというシーンがよく見られますね。

監督:
アクションの見せ方は色々あると思います。殴った側の快感をみせる、はたまた殴られた側の苦痛をみせる。
私は両方を適度に混ぜてアクションを見せたいと思っています。主人公のすごく辛い状況をみせられると、観客は主人公をもっと応援したくなると思うんです。そのために主人公の苦痛をもっとストレートに伝える方法はないか、と考えると、観客の皆さんにとって、自分が知っている苦痛ならば共感できるかと。例えば私たちは銃に撃たれた経験はなくても、家の中の床に子供が散らかしたおもちゃを踏んでしまって痛いとか、紙で手を切ってしまって痛いとか、そういう範囲ならわかりますよね。
観客の皆さんが認識できる苦痛をスクリーンで少し大きくみせて、そういう苦痛を伝えたいと思っているので、そんな演出になっているのだと思います。

★最後にこれから本作を観る皆さんに一言お願いいたします。

武田さん:
アクション映画だと女性は見にくいと思われるかもしれないですが、この作品は男女、年齢関係なく楽しめて、観終わったあと、すごく心が熱くなれる映画だと思います。観たあとはきっとテンションが高くなり、2回3回観られる映画です!

監督:
武田さんの話をきいて、私もこの作品みたくなりました(笑)
この作品は、愉快な雰囲気でスタートするのですが、途中で怒りを感じることもあるでしょう。そして最後は痛快な気持ちで締めくくれると思います。これから観る方は、この映画を観てうける〜と思ったら隣を気にせずどんどん笑ってください。もし周りは笑っているのに自分はつまらないなーと思ったら、それは座った席が良くなかったということです(笑)
この作品には世の中を生きていく中で、正義の価値や人に対して礼儀をもって接する人たちが出てきます。
私は庶民が勝利する映画を作りたいと思って取り組みました。どうか楽しんでご覧ください!