ファインフィルムズ配給、2016年1月23日(土)より公開致します『サウルの息子』のネメシュ・ラースロー監督の<初来日記者会見>をこの度、実施いたしました。

『サウルの息子』 ネメシュ・ラースロー監督 来日記者会見

◆日時:11月17日(火)14:00〜14:50
◆場所:駐日ハンガリー大使館 (港区三田2-17-14)
◆登壇者:ネメシュ・ラースロー監督

《ネメシュ・ラースロー監督 初来日記者会見》

Q、アウシュヴィッツがテーマの作品は色々ありますが、本作で‘ゾンダーコマンド’を描いた理由はなんでしょうか?
アウシュヴィッツは今まで多くの作品で描かれてきましたが、それは、文明社会が自分自身を破壊に導いてしまった一つの‘象徴的な’出来事だからです。これまでのアウシュヴィッツを描いてきた作品はそのような部分が伝えきれてなかったのではないでしょうか。ゾンダーコマンドを題材に選んだ理由の一つは、彼らの存在があまり世間に知られていないこと、もう一つは、彼らが地獄の中で存在を許された人たちだったということです。徐々に精神を破壊されていき、どのように苦しみ、そして何を思ってどのように生きていたかという彼らの姿を通し、その世界の卑劣さ、どうしようもない状況下で、人は何ができるのかということを伝えていけたらと思いました。

Q、サウルがゾンダーコマンドに選ばれる過程を描かなかった理由はなんですか?
これはサウルというゾンダーコマンドの2日間を描いた作品であり、鍵穴からちょっと覗いてみたというようなイメージで作りました。全てを描いてしまうとメッセージ性が弱くなると感じたからです。観る側もそれをすべて消化しきることは出来ないと思ったからです。2日間という限られた時間に焦点を当てることによってより深く、彼の気持ちを描けるのではないかと思い、あえてそのようにしました。

Q主演のルーリグ・ゲーザにはなにかアドバイスをしたのですか?
彼は素人ではなく、きちんと演技経験があり、私の中にあったサウルのイメージに一番近かったのです。
自分の考えを頑なに守り、仲間と共に行動せず、一人強固な意志を持って進んでいく非常にガンコな、彼はプライベートでもそういう人間なので、非常にサウルのイメージに合った人でした。クランクインした後も演技の指示はしましたが、ある程度言っただけですべてを理解しサウルになりきってくれました。

Q脇を固めるキャスティングはどのように選んだのですか?
キャスティングはかなり大変でした。表情や体格、収容所にいても違和感がない人を選ばなければならなかったので。何千人といろんな国の俳優や、小さな町の劇団の役者をホームページ上から顔写真をひろってきたりして1年半かけて配役を決めました。当時のあの場所にいても、この人たちだったら違和感がないというリアルさ、観客が観て納得できるような表情を出せる人たちを選びました。

Q.どういう経緯で映画の道に進んだのですか?タル・ベーラ監督から教わったことはありますか?
私にとって映画の世界は身近で、家族にも映画に関わっている人がいました。子供の頃からセットなどを見てワクワクしていて常に映画には興味を持っていました。タル・ベーラ監督との出会いは、偶然でした。彼の助監督をやることによりたくさん色々な事を吸収できました。学校で勉強するよりも、いい師匠に巡り会えて、いかに吸収するかが映画人には大事なのではないかと思います。