映画『エヴェレスト 神々の山嶺』東京国際映画祭 製作過程報告会見開催、監督「神々に一番近い場所で、ソウルムービーを目指したい」
東宝=アスミック・エースの共同配給にて、岡田准一主演、阿部寛、尾野真千子出演『エヴェレスト 神々の山嶺』を3月12日(土)に全国公開致します。全世界で翻訳され、大ベストセラーとなっている夢枕獏著「神々の山嶺(いただき)」。映画化が望まれながらも、そのスケールの大きさから未だに実現していなかった原作を『愛を乞うひと』の平山秀幸監督が遂に映画化!
実際に現地ネパール・エヴェレストに飛び、高度5,200M付近やカトマンズでの撮影も行いながら極限に挑んだ超大作となっております。本作の製作状況をご報告すべく、東京国際映画祭の場をお借りして、製作代表の角川歴彦KADOKAWA取締役会長、平山監督、原作者・夢枕獏さん登壇による「製作過程報告会見」を開催。
『エヴェレスト 神々の山嶺』 製作報告会見
■開催日 : 10月25日(日) ■会場: 六本木ヒルズ49F タワーホールA
■登壇ゲスト:角川歴彦(製作代表)、平山秀幸(監督)、夢枕獏(原作)、
在日本ネパール国大使:マダン クマール バッタライ特命全権大使
今年3月に撮影を開始し、実際にエヴェレスト現地でも撮影を行った本作の製作状況をご報告するべく、製作代表の角川歴彦、平山秀幸監督、夢枕獏が登場。角川は「原作は有名な小説。最初にお話があったとき、映画化にはスケールが大きすぎて手に追えないと遠慮した。いろいろ調べているうちに実はいろんな映画人が映画化したいと挑戦していたと分かった。そういう作品に挑戦できたことをうれしく思う」と製作のきっかけについて話した。実際の撮影にあたっては「エヴェレストの名にふさわしく、いろいろな高いハードルがあった。5,000メートル以上の山に、実際に3人の俳優が登ることが大前提だった。監督のその思いがあり、そして日本にはそういう俳優がいるということに、心から敬服します」とあいさつ。
原作者の夢枕は「今までいくつか映像化のオファーがあったけど、残念ながらどれもだめだった。(エヴェレスト)現地での撮影抜きには不可能。大きなハードルで実現には至らなかった。(映画化が実現したのは)今でも信じられない気持ち。「スタッフ、角川会長、平山さん、みんなの思いで実現したと思っている。自分の書いたものが映像で見られること、また現地でも見させてもらったこと、これはもう感謝でいっぱい」と話し「すごい映画になるんじゃないかとドキドキしている」と興奮気味に続けた。現在編集まっただ中という平山は「今まで高尾山くらいしか登っていないし、高所恐怖症」といいながらも「企画が始まった時点で覚悟を決めた。現地スタッフ、コーディネーター、あらゆるスタッフに支えられて僕も俳優も仕事ができた」と今の状況を振り返る。
会見では、これが初披露となるメイキング映像が上映された。ネパール・カトマンズや、エヴェレストでの撮影の様子が映し出されたほか、キャストらの姿も。5,200メートル付近での撮影で、高地特有の赤黒い肌に日焼けした岡田が「日にちが経つほどつらくなっていくのを楽しみながら撮影したいと思います。上に来てよかった。エヴェレストがちょっと違って見える」と過酷な環境ながら充実した表情で話す様子や、阿部の「ここ(エヴェレスト)に来なかったら出来ないものがある。スタッフはどこの人間かわからないほど顔が日に焼けている」と語る様子が上映された。
上映を終えると、角川がヘリコプターで本編撮影隊を見に行った様子を振り返りつつ「ヘリの操縦士が『行けるところまで行こう』と5,800m付近まで行った。そこからのパノラマの景色は生涯忘れられない。映画化不可能と言われたこの作品を今回やり遂げた。日本の俳優は本当に手練れだなと。そして平山監督も撮影までに4回エヴェレストに行っている。4回ですよ!そんな監督は世界でも平山さんだけ。本当にご苦労様でした」とねぎらい、「こんなに素晴らしい作品を世界に向けて発表できるというのは、日本人として誇りに思っている。改めて岡田准一さん、阿部寛さん、尾野真千子さんには心から感謝を言いたいと思う」と出演者3名を讃えた。
夢枕も「現地に這うようにしてたどり着いたら、みんなが普通に仕事しているのを見て、映画の人たちは本当にすごいなと思った。日本だとその日の撮影が終わればバラバラになるけど、エヴェレストでは終わっても一緒。チームワークが普通の映画の10倍は違う。絶対いい方向に作用するなと楽しみにしている」と話し、「3人を現地で見たけど、いいですよ!5,000メートル級で、阿部さん本人が岩を登っている。いろいろ大変なことはあるけど、ぜんぶ飲み込んでやっている姿は本当にかっこよかった」と感無量の様子だった。監督は「映像を見て、もう一度エヴェレストに行きたくなった。高山病にもスタッフ・キャスト誰一人掛からず、カトマンズまで戻った時に実はそれはすごいことと言われた」と明かし、「エヴェレストという神々に一番近い場所で、ソウルムービーを目指したい」と完成に向けて、決意を語った。
ここで、マダン クマール バッタライ在日ネパール大使が登壇。撮影中、ネパール現地の方々に大変お世話になった事もあり、大地震のあったネパールの復興を支援するため、角川より代表して義援金を贈呈。大使は「この作品でネパールの自然、伝統文化を知ってもらえるのはネパール人としてうれしい。また、大地震で倒壊する前の映像として、とても貴重なものだと思います」と話し、角川も「半日だけ、尾野(真千子)さんとパタンというところに観光に行った。そこも倒壊してしまい、心が痛い。この映画をぜひネパール、カトマンズでも見てもらいたいと大使にもお願いしている。日本で3月に公開される前に、実現できたら。みなさんも応援してほしい」と語った。
また、本会見は、11/6(金)に公開される『エベレスト3D』と共に、「EVEREST フレンドシップ会見」として開催。両作ともエヴェレストが舞台の作品ということもあり、『エベレスト3D』のバルダザール・コルマウクル監督と、出演者の森尚子が登壇した。コルマウクル監督は「日本でもエヴェレストの映画を作られると聞いて非常に興味を持ちました。ぜひ観てみたいと思います」とあいさつした。角川は「ぜひ両方の映画を観てもらえたら。エヴェレストがどんなに人を拒絶する場所かよくわかってもらえると思います。観ると『絶対にエヴェレストに行っちゃいけない』という人と、『ぜひ行きたい』という人に分かれると思います」と話すと、会場からは笑いが起こった。最後に、大使が「2つの映画でネパールの文化、生き方、素晴らしさが分かっていただけると思う。日本とネパールは相互補完の関係だと思います。こうして両方の国がつながっている。映画を観てネパールにも観光に来てほしい。それはネパールの復興にもつながります」と復興に向けて訴え、会見は終了した。