MC:ありがとうございます。
実はここからはキャストの皆さまにもお話ししていないサプライズなのですが、今回初日を迎えるにあたり、ある方からお手紙を頂きました。

実は、本作で11年ぶりに一度限りのスクリーン復帰を果たした、根津甚八さんより、何と本日は公開初日ということで、監督・キャストの皆様宛にお手紙を頂いているんです!!

本当に突然ですが、本日は東出さんにそのお手紙を代読していただければと思います。

※以下手紙全文

根津甚八です。

GONINサーガの上演初日に列席が叶わないことをまずお詫びいたします。

演じることは自分にとって生きることそのものでした。
それができなくなり、引退は諦めでもありました。

諦めていた自分に、再び演じることの楽しさを味あわせてくれた
監督に心からのお礼を申し上げます。

また、襷を受け取ったと言ってくれた東出くん。

その言葉で、演じたいのに演じることのできない無念を断ち切ることが出来ました。

東出くんだけではなく、若い俳優たちの姿を見て、
自分の思いを次の世代が背負ってくれる、
自分はできる精一杯をしたんだという気持ちで俳優人生を締めくくることができました。

こうして初日にいらしてくださった皆様を始め、GONINをそしてGONINサーガを
ご覧くださるすべての観客に、生きていた氷頭を、根津甚八を見届けて下さったことに感謝いたします。

根津甚八
(原文ママ)

MC:ありがとうございます。
本当にサプライズで読んでいただきましたが、東出さんいかがでしたか?

東出さん:(言葉をつまらせ)
石井監督、根津さんももちろんそうですが、映画って一本つくるのに、役者だけでなく多くのスタッフさんも心血注いで、身を削って創り上げているものです。
スクリーンの中で心血注いで演じられている根津さんの姿はとても魅力的で大好きです。
役者をやらせていただいていますので、これからも心血を注いで臨んでいきたいと思います。
邦画に触れる機会があまりない方にも触れていただき届くといいなと思っています。
根津甚八さん本当にありがとうございました。

MC:さて、桐谷さんもインタビューで根津さんとの共演で役者魂を感じたとおっしゃってますが、今のお手紙いかがでしたか

桐谷:今回ご一緒できて本当に良かったと思います。
役作りのために健康な役者が太ったり痩せたりするのも凄いことだと思いますが、お体を悪くされた中で石井監督の作品ならと出演された根津さんの役者魂は本当に凄いと思いました。
お芝居、映画が現実を超える瞬間があるんだと改めて感じさせられましたし、役者をやらせていただいていることへの感謝と引き締まる思いが湧き出て来ました。

MC:竹中さんは前作でも共演されて、本作で根津さんが復帰されるということでまた、特別な想いもあったと思いますがいかがでしたか?

竹中:役者の仕事とは、役作り云々ではなく自分をさらけ出すことだと思うんです。
スクリーンの中に存在する、それだけで根津さんには全然かなわないんです。
根津さんと同じ作品に出られたことが嬉しいと同時に、この作品に根津さんが出たことは凄いことだなと思います。
尊敬するべき俳優だなと改めて感じました。

MC:最後に石井監督、非常に胸の熱くなるお手紙でしたが、こうして初日を迎えて根津さんからのお言葉を聞いて、如何でしょうか?

石井監督:根津さんにオファーしたのは『GONIN』から10年くらいのころだったと思います。
それからすぐ映画化というわけにはいかず、さらに10年近くたってしまいましたが、その間にお体を悪くされていきました。
でも公開を迎えてオファーしたことの約束が果たせましたし、根津さんもその約束に応えてくれました。
ありがとうという感謝の気持ちでいっぱいです。

MC:どうもありがとうございました。そろそろお時間となってしまいますので最後に東出さん、監督から一言ずついただきたいと思います。

東出:今日は本当にありがとうございます。僕個人の感想になってしまいますが、こんな邦画近年無いと思います。
邦画好きであれば石井隆監督は通る道だと思いますが、普段邦画をあまり観ない方にもこれを機に邦画、『GONIN』の世界に触れていただけるとありがたいです。
よろしくお願いします。

石井監督:『GONIN サーガ』に参加してくれた若いスタッフも、役者の皆も『GONINI』のことを知っていてくれて、私は天井を見ているだけみたいな感じでした。
皆がわかってくれていて、捨て身の芝居をしてくれたことに感謝しています。
映画は皆さんの心に届いて完成だと思っていますが、届いたかなと思いながらその繰り返しで作品を作っていきます。
「楽しい」という感情だけでなく「しんどい」とか「暗い」という感想だってエンタテインメントだと思うんです。
どうにかして人の心を動かすのがエンタテインメントだと思っていますので、よろしくお願いします。

以上