ヤングマガジンで連載され人気を博し、2013年4月よりテレビ東京の「ドラマ24」枠で連続ドラマ化され、大きな話題を呼んだ「みんな!エスパーだよ!」が、園子温監督、染谷将太主演で『映画 みんな!エスパーだよ!』として、現在大ヒット公開中です。

 この度大ヒットを記念して、「園子温映画全研究1985-2012」の著者であり、『フラッシュバックメモリーズ3D』等のドキュメンタリー作品を手がけた松江哲明監督と映画評論ウェブサイト「映画の天才」を主宰する映画解説者の中井圭氏、そして、本作の助監督であり、dTV版スピンオフ「みんな!エスパーだよ! 欲望だらけのラブウォーズ」の監督を務めた綾部真弥さを迎え、『映画 みんな!エスパーだよ!』を徹底解剖。漫画から始まり、テレビ版、映画版、スピンオフドラマとさまざまなメディアで展開している、この『みんな!エスパーだよ!』は、なぜそこまで支持され、描かれ続けられるのか。そして、物語のカギとなる童貞力や女性陣の魅力など、今だから話せる真面目な話題から不真面目な話題まで大いに語っていただきました!

◆日程 :9月17日(木) 
◆場所 :TOHOシネマズ新宿 Screen11 (新宿区歌舞伎町1-19-1新宿東宝ビル3F)
◆登壇者:松江哲明監督、中井圭(映画解説者)、綾部真弥(助監督/dTV版監督)※敬称略

松江:
昔から園監督とはいろんな作品に関わっていましたね。原作の若杉さんとも仲よくさせてもらってて、(主人公の)鴨川嘉郎の名前は、僕が昔撮った「童貞を。プロデュース」の嘉郎という名のキャラクターからとっているんですよ。そこに、「ライブテープ」という映画に出演してもらった前野健太さんが当時歌っていた「鴨川」って曲の名前と合わせたんです。若杉さんから「使っていい?」って聞かれて、「いいよ」って(笑)。(映画化決まると)園さんからメール来て「なんかお前関係しているのか?」って言われましたね(笑)
漫画原作が大好きだったので、正直映画化は不安でしたけど、さすが園子温、超面白かった!思わず、若杉さんにメールしたくらい感動しました。ドラマ版でのハイテンションではじまったと思いきや、最後には母性というテーマを深く感じさせる。まさに、入り口と出口が全然違う作品で園さんらしくて面白い。ラストはすごく泣きそうになりました。 (エロい女性が出てくるこの作品は)まさにキャバクラ園子温(笑)。でもどの作品にも言えるけど女性にフィーチャーしていて、まるで太陽みたいに女性を強く描いていていますよね。園さんはとにかく女性に対してポジティブですよね(笑)(園子温作品の公開が続いていますが)園さんは自分の中の引き出しが多いんでしょうね。昔は鬼門と言われていたナレーションやカット数を多く入れるといった手法もよく挑戦して、それが当時の映画界に刺激を与えたと僕は思いますし、今も一本一本を楽しんでいる印象を受けます。

綾部:
(現場では)台本に無かったことが多くて…朝、急に「誰と誰呼んで来い」とかたくさんありましたね(笑)
リアリティーを求める作品ではないため、より撮りたい画をかっこよく撮ってましたね!
(園監督は男性キャストは短く、女性キャストは長い撮影するという話になり)まさにその通り(笑)。明らかに「スタート」「カット」の声量が違いますから。染谷くんの時でさえ「はい、OK」って感じでさらっとでした。
ただ、園監督は若手には演技指導は厳しいって言われてますけど、どちらかと言うとキャストには自由にやらせています。

(ロケ地について聞かれると)豊橋市は「うちでできないことはない」とおっしゃってました(笑)。重要文化財での撮影も承諾してくれましたし、関根さんと星名美津紀さんのエロシーンなんて市役所ですからね(笑)。大変協力してくれて日本で一番やりやすいフィルムコミッションでした。
(DTV版を監督するにあたり)師匠である園さんがやらないようなことを目指しました!でもオナニー(シーン)は切なく儚いものだと、監督からは言われておりました(笑)
(本作について)愉快なエンターテインメント作品の中に、「超能力バトルとか、そういう争いなんかやめて、もっとエロい気持ちで平和に向けて楽しみなよ!」って崇高な意味を実は園監督が込めているように感じました。とにかく悩んでることが吹っ飛んでくれるような作品です!

中井:園さんの作品は違うように見えるけど本質はあんまに変わらないんですよね。園監督作品は点ではなく線で追ってみてくれたらいいですね。