小学館「月刊フラワーズ」にて大人気連載中、吉田秋生のコミック「海街diary」を『そして父になる』の是枝裕和監督が映像化した『海街diary』が、全国にて大ヒット公開中です。
また、すでに101カ国の配給が決定、北米配給も、早々にソニー・ピクチャーズ・クラシックスに決定したことも世界的なニュースとなるなど、国内外を問わず大きな話題を集めています。

この度、本作の大ヒット公開を記念して、三女・千佳役の夏帆さんと是枝監督とのティーチインイベントを実施致しました。

映画『海街diary』 ティーチインイベント概要

■日時:6月27日(土)  
■場所:新宿バルト9 シアター8 (新宿区新宿3丁目1-26 新宿三丁目イーストビル)
■登壇者: 夏帆、 是枝裕和監督

映画上映後、監督と共に登場した夏帆さん。「顔が小さくて驚きました・・・」
「映画の中の千佳の存在感の印象と違って、実際の夏帆さんがとても可憐で驚きました・・・」
と声があがるなど、会場中を魅了しました。ティーチインイベントは初めてということで、はじめはやや緊張した面持ちをみせるものの、満席の会場からは次々と手が上がり、観客との交流を楽しむ様子をみせました。

Q:劇中で「あれ」という言葉がたくさん出てきたと思うのですが、意図的に入れたものなのでしょうか?

是枝監督:意図的ですね。脚本を書いているときに固有名詞は使わないようにしていました。
目に見えるものって、例えば“ペットボトル”だったら普段「あれ」とかいうじゃないですか。
あとは、役者さんたちにセリフを言ってもらって、そこから固有名詞を削ったりもしていました。

夏帆さん:そうですね。現場でも日常のはなし言葉に変えてくださっていた気がしますね。

Q:劇中に出てくる家は実際の家ですか?

是枝監督:北鎌倉にある実際に人が住まわれている家です。最初は表だけ撮影させてくださいと言ってお願いして、
玄関を見たら玄関もいいですね〜と(笑)さらに、あの縁側を見てしまったら撮らないわけにはいかないだろうと思ってしまって・・・
家主の方には本当にお世話になりました。幸が家の柱にすずの身長を書き込むシーンがあるんですが、あれも実際に書かせていただきました。一発勝負だったからドキドキしたけど、いいシーンになりましたね。
家主の方も記念になると快く承諾してくださって本当に感謝しています。原作を読んだときにこの作品は家が主役ともいえると思ったので、素敵なお家が見つかって本当によかったです。

夏帆:セットだったら全然違う映画になってしまったでしょうね。

Q:四姉妹が本当に美しかったです。女性を美しく撮るコツなどはあるのでしょうか?
また、映画の中で本当の姉妹のように見えましたが、現場での雰囲気はどうだったのか教えていただきたいです。

是枝監督:単純にそれぞれのキャラクターを掴んで自然みせるために、なじませつつどうたたせるかということを意識しました。汚しながら綺麗に撮るという感じですね。

夏帆さん:現場は本当に楽しかったです!自分でも不思議なくらい本当にあの三人が好きで、良い意味でみんな普通の感覚をもっていて、一緒にいてすごく安心できるんです。
最近もちょこちょこ会ったりしています!

Q:広瀬さんのサッカーの上手さに驚きました…。

是枝監督:一年ちょっとかな、コーチをつけてちゃんとやったんです。彼女自身元々バスケットボールをやっていて
運動神経もよかったんですけど。この作品の中で、すずがサッカーが上手だということは結構重要だと思っていて。
すずにとってサッカーは自分を開放する手段のひとつなんですよね。
僕は大好きなシーンがあって、千佳と浜田店長が試合を観いているんですけど、すずがゴールを決めたときに二人がぐるぐる回りながらすごい喜んでいるんですよ(笑)
妹のゴールにすごい喜んでいる姉という感じがよく出ていて何度見ても微笑ましくて笑ってしまうんです。

Q:様々な監督さんの現場を経験されていると思いますが、夏帆さんからみて是枝監督の現場の雰囲気はいかがでしたか?

夏帆さん:撮影に入る前に、あの家で四姉妹で一日掃除や料理をしたり、初めての顔合わせのときは、桜が咲いている季節だったのでお花見をしたりしました。そういう空気感をつくってくださったので、無理せず現場にいることができたし、現場いながらお芝居しているのかしていないのか分からなくなることもありました。
そんな自然体でいることができたのは初めての経験でしたね。

Q:縁側で千佳が佳乃の足をツンツンするシーンがとても自然で素敵でした。あれは演出なのですか?

夏帆さん:あれは撮影の合間に私がまさみちゃんにふざけてやっていたところに監督が来て、そのままそれやってと言われて取り入れたことなんです。近い関係になれたからこそやっていた仕草というものは映画の中でたくさんありましたね。

是枝監督:あのシーン素晴らしいでしょ?(笑)撮影中はみんな控え室に戻ることがほとんどなくて、あの家でワイワイやっていましたよね。そのときにけっこうみんなのことをジロジロ観察して、いいなと思うことをそのまま取り入れたりしていました。そうするとすごくうまくいくんです。
会話もこっそり聴いていたりして…普段やってはいけない。撮影現場だから、許されることですね(笑)

Q:食事のシーンが多くでてきましたが、現場で印象に残っている差し入れなどはありますか?

夏帆さん:差し入れというか、劇中にでてくるお料理は飯島さん(飯島奈美さん:本作のフードコーディネーター)がつくっているんですが、撮影の合間にカキ氷のシロップを作って下さったりして、そのシロップがすごい美味しかったですね・・・
あといろんな種類の素麺とかも本当に美味しかったです・・・劇中でも登場するアジフライは私は四枚も食べました(笑)
ほかのみんなも本当によく食べていましたね。

是枝監督:飯島さんの料理は本当に美味しかった・・・アジフライのときはご飯片手にスタッフが行列をつくってましたね(笑)

最後に、夏帆さんから「みなさん楽しんでいただけましたでしょうか?」と問われると会場から温かな拍手が向けられました。
続けて「こんなふうに映画を観終わった方たちと一緒に話せる機会がこれまでなかなかなかったので楽しかったです!」とコメント。
夏帆さんにとっても会場のお客さんにとっても大満足のイベントとなりました。

以上