本年度アカデミー賞作品賞ノミネート、主題歌賞受賞の感動作『グローリー/明日への行進』が、6月19日(金)より公開される。本作は、1964年ノーベル平和賞を受賞したキング牧師こと、マーティン・ルーサー・キング・Jr.による、歴史を変えた大行進の感動の実話を、映画史上初めて長編映画化した話題作だ。本作の公開を記念し、6月16日に、都内でトークショー付試写イベントを実施した。ゲストとして、2015ミス・ユニバース・ジャパンの宮本エリアナさんと、国連広報センター所長の根本かおるさんをお招きし、映画『グローリー/明日への行進』やキング牧師について、これからの日本、そして世界が向かっていく未来や人権問題、アイデンティティについてクロストークをしてもらった。

根本さんは「この映画のパワーに圧倒されて、しばらく頭の中を主題歌『Glory』が駆け抜けていたんです」と映画の感想を述べた。「この映画は国連で特別上映会も催されて、パン・ギムン事務総長もご覧になっています。今年2015年から2024年までを“アフリカ系の人たちのための国際の10年”としました。アフリカ系の人たちの権利がまだまだ十分に実現されてないということで、力を入れていこうという取り組みなんです。北米、中南米合わせて2億人の人たちがアフリカにルーツをもつと言われています。他の大陸も合わせるともっと数は多くなる。でも、残念ながら、いろんな形で排除され、差別を受けている人たちが特に多いということで取り組んでいます」

宮本さんも「一言でいえば感動しました」とうなずく。「私は人種に対する問題を世界中に伝えようという活動をしていまして、改めてこの映画を見て、自分が今後どうしたらいいのかを考えさせられましたし、人種問題についてもう一度改めて考えさせるきっかけになりました。すごく感動しました」

根本さんは、映画で人間性についても深く描かれていたと強調する。「ただ偉い人を描いているのではなく、1人の人間としてどう悩んでいたのか、夫婦間の問題もいろいろとありましたし、そういったものを乗り越えて、ある大きな成果を上げるまでの道のりを描いている。私もこんなに苦しいことあったなとか、こういうふうに乗り越えればいいんだという秘訣を学ぶことができる映画かなと思います」

根本さんは、人権問題について「言うが易く、行いは難しです」と言う。「1948年にできた世界人権宣言で、肌の色によって差別はあってはならないと言われました。でも、当時、アパルトヘイトもあったし、アジアやアフリカは植民地だらけで、明確なヒエラルキーがあった。ようやく世界の現実が、世界人権宣言の中身に追いつきつつあるけど、まだまだ悲しいニュースがあるし、暴動も起こったりしている。まだまだ忍耐強く言い続けることが必要なんだなと」。

宮本さんも、訴え続けることが大事だと言う。「私は、黒人と日本人のハーフですが、見た目が日本人じゃないし、肌の色が私だけ違うので、学校でもプールとかでも『肌の色がうつるからいっしょに入らないで』と言われたことがあります。また、白人と日本人のハーフの友達がいましたが、自ら命を断ちました。ちょうどその人から人種問題に対する相談を受けていたので、ショックでしたし、止められなかった自分がもどかしかったです。それで、今回、ミス・ユニバースという大きな舞台を使って、そういうことを訴えていければと思って出場しました」

根本さんはそれを聞いて「キング牧師みたいですね。自分の行動で周りを変えよう、あるいは、お友達の気持ちをなんだかの形で昇華させようってことで、まさに、行動に移してらっしゃって素晴らしいです」と彼女を称えた。

キング牧師は、平等な世界を夢見て「I have a dream」という有名な演説を行った。そこで、自分が夢見る未来はどのようなものかと問われた2人が、それぞれの自分の思いをフリップで披露した。

根本は「1人1人が自分らしく生きられる社会」だった。「今年は国連ができて70周年。人権の話のみならず、平和のために国連がやっていることを、力を込めてみなさんにお伝えしたいです」と訴えかけた。

宮本は「Love Yourself…」というフリップを掲げた。「人のことを救いたいという人はたくさんいらっしゃると思うんですが、その前に自分をまず愛してほしい。自分を愛せないと、他の人を心の底から愛せないと思うので。私も、今までハーフのことをコンプレックスに思っていて、自分のことを好きになれなかったけど、あるきっかけで、自分のことを好きになれました。そこから、ミス・ユニバースに出よう、人前に出てこういう活動をしようと思えるようになったので、1人1人がまず、自分から自分を愛してほしいとすごく思います」

おふたりの熱い思いがひしひしと伝ってきたトークショーとなった。

『グローリー/明日への行進』は6月19日(金)よりTOHOシネマズシャンテほか全国順次公開。