第 68 回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門のオープニングフィルムに選出され、公式上映後には 5 分以上のスタンディングオベーションに包まれた、河瀬直美監督最新作の『あん』。この度、公開初日を迎え都内での舞台挨拶が行われた。

映画『あん』初日舞台挨拶
■日程:5 月 30 日(土) 16:00〜
■場所:シネスイッチ銀座<シネスイッチ 1>:中央区銀座4-4-5 旗ビル 地下 2 階
■登壇者:河瀬直美監督、樹木希林、永瀬正敏、市原悦子、浅田美代子、ドリアン助川(原作者)、秦基博(主題歌) *敬称略

河瀬監督の強い希望により、都内での舞台挨拶前には樹木、永瀬、ドリアンとともに、映画の舞台である東村山市に近い所沢 Let’sシネパークの舞台挨拶に登場。河瀬監督は「東村山の人に力をもらった」と感謝の辞を述べた。

つづく都内での舞台挨拶には劇場に収まりきらないほどのマスコミが駆け付け、場内は熱気であふれた。観客は映画を観終えたばかりで、目を赤くした人たちが見受けられた。河瀬監督は「本当にありがとうございます。徳江さんにいただいた手のぬくもり、それを受けた千太郎、ワカナが一歩踏み出した。その瞬間に立ち会っていただけ感無量です。」と感慨深く挨拶をした。樹木は劇中の衣装さながらで登場。「多磨全生園から参りました吉井徳江です。」と挨拶をし、会場を沸かせた。つづくキャストらも、永瀬「徳江さんが隣にいるのでとても幸せです。」、浅田「このような作品に参加させていただいて、うちの犬たちも出演させていただいて、いい記念になりました。」と挨拶をした。ドリアンは「この作品が世界に向けて羽ばたいている。アメリカでの公開が決まりました!」と嬉しいニュースを報告した。秦も「すばらしい作品に出会わせていただいて、「水彩の月」を作りだせ大変嬉しく思います。」と笑顔で挨拶をした。すると樹木から秦のマイクと交換してほしいと要望が。樹木が「だってマイクに口つけてたんだもん」と言うと客席から黄色い声が!秦は「キュンとする。恋かな?」と照れ笑いを見せた。

ここで、本日誕生日を迎えた河瀬監督に秦から生歌披露のサプライズが!これには監督も「盆と正月が一緒に来たみたい!」と喜びをみせた。もともと河瀬監督は秦のファンで、呑みの席で本作の主題歌を依頼したことを明かした。秦の歌が始まると監督は口ずさみながら瞳を閉じ、樹木らもその歌声に酔いしれていた。歌がサビに入ると、涙をぬぐう女性客も。河瀬監督は「胸がいっぱい。」と目を潤ませていた。永瀬は「どうしても千太郎で聴いてしまいますんで。すいません!」といって徳江さん(樹木)を抱きしめ、観客からは歓声と拍手が送られた。公開初日をお祝いしようと会場に駆けつけた出演者の一人、兼松若人が、急遽登壇する一幕も。兼松は「嬉しい限りです。」と公開の喜びをかみしめた。

ここで 2 つ目のサプライズが!本日 46 歳の誕生日を迎えた河瀬監督にどら焼きケーキのプレゼントが登場、ケーキの周りに飾られたどら焼きを片手にマスコミのフォトコールに応えた。永瀬はどら焼きを頬ばり、「これは美味しい。徳江さんのあんです。」と笑みをこぼした。最後に河瀬監督は「サプライズありがとうございました。どら春は架空で、映画はフィクションだけれども、映画に出てきた人々や風景は存在していた。誰かと比べることなく、自分の人生を愛でていただければ。大好きな誰かにすすめてください!」と熱い想いメッセージを送った。最後の挨拶を求められた樹木は「いまの監督の言葉だけでいいんじゃない?ところであなたいくつになったの?」と希林節を披露。河瀬監督も「26 歳です。」と冗談でかわし、会場を沸かせた。永瀬は「今日は皆さんとご一緒できて、とても幸せでした。徳江さんとも会えて。徳江さんにありがとうございましたと言いたい。あと、こんなにたくさんのお客さんに来ていただいて、何より嬉しい。」と深々とお辞儀をした。ドリアンは「(世界に)どら焼きが飛んでいこうとしている。もう 1 回、もう 2 回、もう 3 回来ていただきたい。ありがとうございました!」と力強く想いを語った。
最後は観客とキャストらから「河瀬監督、お誕生日おめでとうございます!!」と祝福の言葉が贈られ、大拍手の中、舞台挨拶は終了した。

『あん』は本日より全国 76 スクリーンで公開、好調なスタートを切った。初週で興収 1 億円、最終的に 5 億円興行を目指している。なお、世界ではすでに 28 地域、30 か国以上での販売が完了している。