リーアム・ニーソン主演、「羊たちの沈黙」「ドラゴンタゥーの女」を超える心理サスペンスの傑作が誕生!私立探偵マット・スカダーが、ひとりの少女の命を懸け、連続誘拐殺人半と交渉を繰り広げるサスペンスミステリー『誘拐の掟』がいよいよ5月30日より全国公開! この度、公開に先立ち、『獣たちの墓』を翻訳した翻訳家の田口俊樹さん、ローレンス・ブロック作品のファンの作家、堂場瞬一さん、ミステリの書評も数多く手がける文芸評論家の杉江松恋さんをお迎えして、特別映像を交えながら本作の魅力をたっぷり語っていただく特別トークベントを開催いたしました

◆日程◆ 5月16日(土)
◆会場◆ 本屋B&B 〒155-0031 東京都世田谷区北沢
◆出演◆ 田口俊樹(本作原作者の翻訳家)/堂場瞬一(作家)/杉江松恋(書評家・ライター)
◆イベントタイトル 「私立探偵小説、ミステリ、そして『獣たちの墓』の魅力とは」
客席は男女半々、話に頷いたりメモとったりする熱心なお客様も見受けられました。

■映画の魅力について
田口氏「自分で今まで訳していたマット・スカダーのイメージがぴったりだった。それはもう。リーアム・ニーソンにつきますね。「シンドラーのリスト」の時のあの渋い感じのまま年を重ねた感じでよかったです」
堂場氏「変化ですね。長いシリーズですが結構途中で変化があります。スカダーの変化を、順番を追って見ていくことによる魅力があると思います」

■原作になくて本作にある魅力
田口氏「主人公のスカダーはとにかく歩く、歩きと地下鉄で捜査をする人なのですが、地図を見ながら小説を読むといった楽しみかたの人もいるくらいよく歩くのですが、よく歩くなということと一緒にわたしも頭の中でイメージしていたものが映像で見て改めて気が付いたという感じです」
堂場氏「スピード感、「800万の死にざま」以降、とても本自体が長いのが本シリーズの特徴。ストーリーに関係ないところの会話が魅力だったりもしますが、今回映画はほぼ省いてる。省いたことによってスピード感が出ているところが魅力的に表現されています。さらに非常にうまくストーリーをつないでいます。原作のファンの方が見ても楽しめると思います。
杉江氏「実は父と子の物語。原作には個性的なキャラクターがたくさんいますが、この映画の中ではストリートチルドレンの TJにフィーチャーしています。離婚をした主人公とストリートチルドレンの出会い擬似父娘小説 といところが原作にはない魅力です」

■続編を作るならどの作品?(本作原作のマット・スカダーシリーズは全17作。本作は10作目の「獣たちの墓」が原作です)
田口氏「墓場への切符。最近リーアムさんはアクション俳優としても有名だとのことで、アクションが一番ありそうなこの作品を選びました」
堂場氏「死者の長い列。シリーズの中でも変わった毛色の作品で、映像としてみせるとどうなるかが気になる作品」
杉江氏「死者との誓い」

■本作の楽しみかたを教えてください
田口氏「雰囲気を楽しんでほしいです。ちょっと昔の ニューヨークの雰囲気を味わってください。リーアムニーソンがとにかくカッコいい!
堂場氏「1999年のニューヨークは初めていった年。薄どんよりとした感じで、再開発中ですごいよごれてた印象だった。それが非常にうまく
展開されていた。10数年前を再現するのは結構難しいと思われますが。その辺りが非常によく出ていて、あの時、歩いていた時の感覚がリアルに蘇ってきました」
杉江氏「携帯電話がない時代。誘拐犯は公衆電話を使って右往左往させる。公衆電話ありきでプロットができているところも面白いが、もう一つ、2001年に亡くなってしまったものが出てきます。とても意味のある場面で、あのテロで亡くなった建築物が出てくる。それがどこで登場するか、それがドラマとしてうまくむすびついて いるのが原作ファンには一番のご褒美なんじゃないかと思います」

【出演者プロフィール】
・田口 俊樹(たぐち・としき 俊樹(たぐち・としき 俊樹(たぐち・としき) 翻訳家。1950年生まれ。早稲田大学卒。ローレンス・ブロックやマイクル・Z・リューインの翻訳で知られる。近訳に『獣たちの墓』『アメリカン・スナイパー』、著書に『おやじの細腕まくり』『ミステリ翻訳入門』などがある。

・堂場 瞬一(どうば・しゅんいち 瞬一(どうば・しゅんいち 瞬一(どうば・しゅんいち) 作家。1963年生まれ。2000年に第13回小説すばる新人賞を受賞した『8年』に始まり、『雪虫』『アナザーフェイス』『警察回りの夏』『夏の雷音』『over the edge』など著書はもうすぐ100作に。熱心な海外ミステリファン。http://www.doba.jp/

・杉江 松恋(すぎえ・まつこい 松恋(すぎえ・まつこい 松恋(すぎえ・まつこい) 書評家、ライター。1968年生まれ。近書に『路地裏の迷宮踏査』『読みだしたら止まらない! 海外ミステリーマストリード100』『ウロボロス ORIGINAL NOVEL』、編著に『ミステリマガジン700【海外篇】』などがある。