2015年第16回全州(チョンジュ)国際映画祭インターナショナル・コンペティション部門に日本映画として唯一正式出品されておりますRADWIMPSの野田洋次郎映画初主演作『トイレのピエタ』の上映が、本日5月4日(水)11時〜から行われました。それに伴い、主演の野田洋次郎および松永監督が舞台挨拶を行いました。

●5月4日(水)11時〜の舞台挨拶のレポート
韓国チョンジュ映画祭インターナショナルコンペティションに選出された松永大司監督、野田洋次郎主演『トイレのピエタ』の第2回の公式上映が5月4日(月)、11時に行われた。CGV5番スクリーンで行われた上映には、映画祭の中盤ということもあり、コンペティションの審査員である韓国女優ムン・ソリ(「オアシス」でベネチア国際映画祭新人俳優賞受賞)をはじめ、コンペティションに参加した監督たちも詰めかけて場内は満席となった。RADWIMPSファンの少女たちに混じって、はるばるソウルから車で3時間以上もかけて本作を見るためだけに駆けつけた『息もできない』の監督・主演のヤン・イクチュンの姿もあった。イクチュン監督と松永監督は4年前のチョンジュ映画祭で知り合い、以来互いの自宅を行き来するほどの友人となった。

上映後、満場から拍手を浴びた松永と野田の舞台挨拶が行われた。
「まだ日本で公開されていないこの作品を、ここチョンジュでみなさんに見てもらうことは大変嬉しい」と挨拶をした松永監督は、自身が長年暖めていた手塚治虫の死の床のエピソードからインスパイアされたこの企画が、11年の東日本大震災を受けて、最初は主人公の宏(野田洋次郎)のキャラクターだけで構想していたストーリーが、死に直面するという出来事に光をあて乗り越えてくという真衣(杉咲花)のキャラクターが新しく加わった経緯を述べた。
観客からは熱心な質問が飛び交う中、韓国の少女が「自分は園田宏と同じ状況にいます。しかし、なんとか医者に告知された期限をすぎました。毎日毎日覚悟しながら生きています。この映画を見て、私自身は宏の最後の言葉に励まされました。これからも自分なりに自分のピエタを探していきます。ありがとうございました」と、癌患者の少女からの発言に場内は暖かい拍手で包まれ、登壇した二人は言葉をうしなう一場面もあった。

上映後、同じコンペティション部門に「They Have Escaped」を出品しているフィンランドの監督 J.P. VALKEAPAA 氏は、「キャストが皆、印象的で非常にエモーショナル映画!」と絶賛。映画を見終わったヤン・イクチュン監督も日本語で「かわいそう、かわいそう!」を連発しながら、「自分の映画に非常に似たところがある。前半の宏には全く生きる気力を感じなかったが、真衣と宏が交錯していく中盤以降に心を鷲掴みにされた。最後はすごく感情をもっていかれる」と絶賛の言葉を述べて、撮影のための打ち合わせがあるといそいそとソウルへ帰って行った。イクチュン監督は1日もピエタの上映のためにチョンジュを訪れたのだが、大渋滞に巻き込まれて6時間もかかってしまい結局みることができず、今回はチョンジュに前日入りしてまで来た甲斐があったと満面の笑顔だった。