昨年11月日本で公開された「最後の命」が4月24日から台湾で公開され話題となっている。芥川賞受賞作家である中村文則原作の本作では、過去に凄惨な事件に巻き込まれた登場人物たちが成長し、新たに発生した殺人事件の真相を巡り葛藤が生じる物語。台湾の映画興行でもハリウッド大作やアニメーションの上映が市場を席巻しており、本作のようなシリアスな主題をもった作品が劇場で上映される機会はなかなかないことだという。

公開翌日となる今月25日には主演の柳楽優弥と監督の松本准平が台湾を訪れ、学生を対象としたティーチインを実施。映画を見終えた学生たちから熱意ある質疑が多数寄せられた。

柳楽優弥は、2013年「ゆるせない、逢いたい」公開時のキャンペーンに続いて2度目の来台。彼の自然で、真実味のある、誠実な演技は台湾の中でも映画ファンには特に人気があり、柳楽目当てに、空港で入国待ちをする熱心なファンも現れるほどの人気。舞台挨拶には台湾で活躍中で本作にも出演した池端レイナがゲストとして登場し中国語で挨拶すると、柳楽も中国語で自己紹介をする一幕も見られた。

台湾では数日前に人気女性アイドルが自殺するという事件があったばかりで、自殺や性犯罪といった深刻な社会問題が描かれる本作についても観客の関心は高く、本作も重厚でディープな内容でありながら映画を見た観客の中には希望を模索した内容に涙を流す姿もみられた。また本作はストーリーと「ヒューマニティ」の掘り下げ方、はっきりとした結論を示さないが穏やかな余韻を残すクライマックスなど、ハリウッド映画や台湾でも人気のあった「告白」などと比べて作品を評価する意見も見られた。ティーチインでは作品の繊細さや重厚な内容についての意見が数多く表明され、一方、柳楽に対しては本作のような難しい役どころについてどうアプローチしたのかなど演じることに対する質問が寄せられていた。

また、続く記者会見では柳楽が好きな監督として台湾出身のアン・リー監督の名前を挙げ、5年以内の目標は?という質問に「アン・リーの作品に出たい」と発言。台湾のメディアでは大きく報じられ、柳楽の発言はアン・リーの事務所からも好意的に受け止められたという。過去に共演したことのある俳優のチェン・ボーリンとは今も友人であるということで、柳楽の台湾に対する熱い想いは、共感とともに報じられていた。
上映終了後は柳楽にサインを求めるファンが100人以上も殺到し、約1時間近く柳楽はこれに対応したが、取材のため途中で切り上げざるを得なくなり、ファンに残念な想いをさせたことを悔やんだ。
日本では本作DVDが間もなく5月13日に発売!!   
昨年劇場公開の際、原作の中村文則自身が、文学作品を映像作品へと昇華させた監督やスタッフ、劇中の人物達を己の肉体で表現した役者たちの存在感に賞賛の声を上げ、綾野剛・又吉直樹・中村うさぎら識者たちからも絶賛された本作は、昨年NYチェルシー映画祭で最優秀脚本賞も受賞。話題の作品がついに5月13日DVD化される。劇場公開時とは異なる、主演3人の苦悩と乾いた心を表現したビジュアルでリリースされる予定だ。 
 【キャスト】 柳楽優弥 矢野聖人 比留川游 池端レイナほか
 【スタッフ】 原作:中村文則『最後の命』(講談社文庫)
脚本:高橋知由 松本准平 監督:松本准平
DVD 2015年5月13日(金)発売&レンタル開始
DVD情報  http://www.toei-video.co.jp/DVD/saigonoinochi.html
映画公式サイト  http://saigonoinochi.com/