「自分の人生が目の前のスクリーンに流れた。」
難民認定された大学生が登壇!

本日、4月17日(金)に公開になります映画『グッド▶ライ〜いちばん優しい嘘〜』の公開記念特別シンポジウムが行われました。本作はロストボーイズと呼ばれるスーダンの内戦により、難民となった若者達と移住先のアメリカ人たちの心温まる交流を描いた、実話を基にした物語です。シンポジウムでは、日本で明治大学に通うジャファル・アタイさん(アフガニスタン難民)、ユニクロで働くチンハウルンさん(ミャンマー難民)、そしてUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の職員で、主に難民・国内避難民保護と第三国定住を担当する佐藤滋之さん の3人が登壇し、日本での現状や、難民として日本で生活する本音を聞かせてくれました。

本作では、今の日本に暮らす私たちにとっては、耳を疑うような史実が描かれている。1983年アフリカ大陸のスーダンで内戦が始まり、数万人の子供達が両親の命と住む家を奪われた。彼らは1600キロもの道のりを歩いてケニアの難民キャンプにたどり着き、帰るところも無いままそこで育つ。UNHCR佐藤さんは、「自分が2002年から2005年までカクマ(難民キャンプ)で働いていたので、とても懐かしく思った。」と映画の感想を述べるも「支援があるので食べ物に困る状況では無いけれども、移動できない、勉強もできない、働く事も出来ないといった中で暮らしていく事はとても困難を伴う。」と現状について語った。

ユニクロで働くチンハウルンさんは、「高校生までチョコレートを知らなかった!」と劇中でアメリカに到着してからカルチャーショックを受けていたロストボーイズ達に自分を重ね「映画を観て胸がいっぱいになった。」と感想を述べた。異国で働くにあたって大変な事と言えばやはり言葉の壁のよう。「ユニクロで働き始めたころは言葉がまだよく分からず、敬語を間違って使ってしまっていた。」と語るも、「これからも一人一人に同じ人間として助け合って、全ての人に感謝して生きていきたい。」と大きな人生の目標を語ってくれた。

「自分の人生が目の前に流れました。難民の事を沢山調べて映画を作ってくれた人たちに感謝をしたい。」と語ったのは、アフガニスタン出身のジャファル・アタイさん。アタイさんの父は日本に来てから難民指定されるまでに時間がかかったため支援を受ける事ができず、アタイさん含め6人の子供との生活は困難を極めた。「服を拾って着ていた。」と辛い過去を振り返るも、劇中でリース・ウィザースプーンが演じるキャリーのような素晴らしい出会いもあったようだ。「ボランティアの方達に、悩みを聞いてもらったりと沢山助けてもらった」日本でそんな経験を重ね、現在は明治大学で学ぶアタイさん。将来の夢は「今まで自分が助けられたように、これから来る難民の人たちの力になりたい。」と力強く語ってくれた。

最後に佐藤さんは「自分たちと彼らの違いに目を向けるのではなく、共通点をみつめてほしい。難民も私たちも同じ人間で仲間なのだから、助け合っていってほしいと思います。」と強くメッセージを送った。

試写会に訪れたお客様にとっては、映画で難民の存在を知り、シンポジウムで実際の現状と問題を知ることができる、有意義な時間となったことと思います。難民のお二人、そして難民を支援する立場の佐藤さんへ、客席から沢山の暖かい拍手が送られました。

質疑応答

映画を見た感想は?
▶佐藤 
自分が2002年から2005年までカクマキャンプ(映画に登場する難民キャンプ)で働いていたので、とても懐かしく思いました。劇中では難民キャンプからアメリカに渡った後の人々の話を描いていましたが、それと同時にキャンプに残っている人たちの事も思い出したりしていました。

▶︎チンハウルン
映画を見て胸がいっぱいになってしまいました。難民の3人がアメリカに来て、緑色のゼリーをみてびっくりするというシーンがありましたが、私も高校生までチョコレートを知りませんでした。初めて見たときは、こんな茶色くて四角い食べ物があるのかと、びっくりしました。

▶ジャファル・アタイ
映画を観て、自分も同じような苦労をしてきたのでいろんなことを思い出しました。自分の人生が目の前に流れました。今までいろんな映画を見てきましたが、この映画は今までで一番感動した作品です。そういう意味でも、難民の事を沢山調べて映画を作ってくれた人たちに感謝をしたいです。

いままでに苦労をしたことは?
▶ジャファル・アタイ
私の父は長い間、難民と認められませんでした。難民指定されないと政府からの支援は無いため、父は一所懸命働いて私たち6人の子供を育てました。私は道に捨ててある服を拾ってきたりして生活をしていました。でも、日本には素晴らしいボランティアの方が沢山いて、悩み事を聞いてくれたりと、とても助けられました。

▶チンハウルン
ユニクロで働き始めたころは言葉がまだよく分からなかったので苦労しました。接客業ですから相手の言葉が分からないといけません。間違った敬語を使ったりしてしまっていました。

日本に望むこと
▶ジャファル・アタイ
もっと難民を受け入れてほしいなと思います。そしてコミュニティセンターを作ってほしいですね。今まで自分が助けられたように、これから来る難民の人たちの力になりたいです。

▶チンハウルン
これから来る難民の若い人たちには仕事もあるかもしれない。でも高齢の人たちは難しいです。そしてこれから産まれてくる子供達もいる。そういった人たちのサポートもしてほしいです。

▶佐藤
今、世の中はグローバリゼーションが進んでいますが、逆に人々は「寛容」で無くなっていると、世界の紛争をみていると感じます。自分たちと彼らの違いに目を向けるのではなく、共通点をみつめてほしい。難民も私たちも同じ人間で仲間なのだから助け合ってほしいと思います。

これからの夢
▶ジャファル・アタイ
今まで沢山の人にお世話になってきました。なので、自分は同じように難民を助ける仕事ができれば良いと思います。

▶ハウルン
これからも一人一人に同じ人間として助け合って、全ての人に感謝して生きていきたいです。