今回、成島監督の「主人公たちと同じ中学生のみなさんに、ぜひともこの映画を観てほしい」という熱い想いから中学生限定のトークイベント付試写会を実施いたしました。

宮部みゆきさんの原作と出会い「自分も中学生の頃、この原作の登場人物たちと同じ思いを持ち、世の中に悲観的で、失望し、悩み、ギリギリのところで生きていた」という成島監督自身が本作の映画化を熱望。

さらに33人の中学生キャストは、
有名無名関係なく1万人にも及ぶ候補者の中から選びました。

前篇が公開された今、観客からも彼らの演技力の高さとリアリティがすごい!という絶賛の声も多数いただいております。

そして本日主人公たちと同年代の中学生を会場に招いて“夜回り先生”こと水谷修氏と、成島出監督のトークショー付き特別試写会を実施し試写会に参加した中学生からも質問を受け付け、彼ら中学生たちのリアル、そして大人は彼らに今どう向き合うべきなのか、について熱いトークをくり広げました

『ソロモンの偽証 後篇・裁判』
夜回り先生トークイベント付中学生限定試写会 イベントレポート

●日時:3月26日(木)
●場所:新宿ピカデリー 試写室 
(東京都新宿区新宿)
●登壇者:水谷修【夜回り先生】、成島出監督

『ソロモンの偽証 後篇・裁判』の上映が終わると成島出監督、
水谷修さんが呼びこまれ早速トーク開始。

水谷さんは「皆さん自分と重なるキャラクターはいませんでしたか?
自分はどのキャラクターに近いかなって観た人もいると思うけど、誰でしたか?僕は間違いなく柏木卓也君でした、正義を追求するタイプでした。」
と場内に問いかけると成島監督も「僕も柏木君みたいに、未来に希望を抱いていなかったけど、10代後半に映画と出会ってから180度変わりました。」と続けました。

本作でも描かれている“いじめ”について水谷氏が「いじめを体験したことはある人?」と場内に問うも手が挙がらず「いじめは全く無いことは無い。人間だから好き嫌いもあるし、苦手な相手もいるはず。皆仲良くという言葉にウソがある」と学校教育のありかたに提言すると共に「いい子がいじめられる。
我慢しちゃダメで時がたつと傷はより大きくなる。とにかく親でも、なんでも巻き込んで大騒ぎすること。自分で立ち向かっていかないで戦うのは、大人の仕事」とアドバイスしました。
また司会からいじめを傍観するのは悪いことかと問われ水谷さんは「悪い場合もあればそうでない場合もある。
正義というものはそう簡単ではないし、それは皆さんが一度考えを咀嚼してみることが大切」と語りました。
また最近の川崎市の事件に関して「戦うことは君たちには求めない、大人に委ねてほしい。」と述べた。
また成島監督は「問題を一人で抱え込まず、大騒ぎすること」としながらも近年の日本のテレビや映画について「以前『バトルロワイヤル』が公開される頃には国を挙げて暴力表現が問題となったが、最近はゲームのように人がバタバタ死んでいくものも多く目に余るし、作り手側もちゃんと考えていかなければならない」とそのありかたに警鐘を鳴らした。

トークの後半には、会場の中学生から質問を受け付けホラー映画のような演出があったのはどうしてですか?
という問いに成島監督は「ホラー的な演出というよりは本人たちが見たリアルな描写で、現実に起こりうることだから怖いと感じたのではないでしょうか。
人が死ぬのは痛いし、血も流れるんだということはきちんと表現しなければいけないなと思っています。」と答えました。

また監督志望の学生に良い映画監督になるにはどうしたから良いか?
を聞かれると
「とりあえず先人の作品を沢山観て自らの礎にして踏み台にしていってほしい」
と熱いエールを送りました。

続いての役者に対してどこを心がけて演出したのかという質問に対しては
「とにかく生きた目にしたかったので、ワークショップでは
役柄を変えて全員の痛みをわかってもらえるようにしました。
中学生のキャストたちは大変だったんじゃないかな」とやりきった
キャスト達を讃えました。

最後の挨拶で成島監督は
「私は学校という教育の場でというよりも、
色々な本や映画からたくさんのものを学びました。
映画監督の中にも良い学校を出ている人は大勢いますが、
学歴が通用するのは最初の3、4年であとは実力に依ってきます。
私もここまで映画を撮り続けられてきたので、
今は何とか人の役に立ちたいと思っています。
この映画を観て救われる人が一人でもいてくれると良いなと思っています。」
と語りました。

水谷さんは
「私は夜回り先生として知られていますが、
実は物書きで52冊の本を出しています。
皆さんに言えることは好きなこと、一つのことを
長く続けてほしいということです。
私は哲学、物書きを長らく続けています。
長く続けているとしゃべることや、
書くことは生きるより楽だと思える位です(笑)。
はじめのうちは大変かもしれませんが、
慣れていくとどんどんと早くなるものですし、
楽しくなっていきます。
最後に一つだけ、監督に言って大丈夫と
確認をとったので言わせて下さい。
この映画は前・後篇ありますが、
全てフィルムで撮影しているのです。
今はデジタルで撮影することが多く費用も手間もかかってしまいますが、
こだわって全編フィルムです。今のことをふまえてもう一度
劇場の大スクリーンでお金を払って観て下さい(笑)。」
と挨拶を締めました。