北海道夕張市のアディーレ会館にて2月22日(日)、16時より【ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2015】のクロージングセレモニーが行われた。

 壇上にはTHE TON-UP MOTORSの皆さんが登場し、ボーカルの上杉周大さんが映画祭のテーマ曲『北海道ブギ』を熱唱。今年の映画祭作品上映の冒頭にかかる飯塚貴士監督と子供たちで制作したオープニング映像でおなじみとなった曲だ。続いてご当地版『夕張ブギ』も披露され、会場の雰囲気が温まったところで各賞が発表された。

【インタナショナルショートコンペティション部門】
●優秀芸術賞:パク・ソンジン監督『ハードル』
●審査員特別賞:吉池巨成監督『拝啓アトム』
●優秀芸術賞・アニメーション:白田明日香監督『Green Glows』、
●優秀芸術賞・CG:ジョシー・マリス監督『恵まれたマシーンV』
●グランプリ:ジラッサヤー・ウォンスティン監督『今月のあの日』

【オフシアター・コンペティション部門】
●スカパー!映画チャンネル賞:松居大悟監督『私たちのハァハァ』
●シネガーアワード(批評家賞):ナム・ギウン監督『MIZO』
●北海道知事賞:岡部哲也監督『歯まん』
●審査員特別賞:二宮健監督『眠れる美女の限界』
●グランプリ:森川圭監督『メイクルーム』

 今年のグランプリを受賞した『メイクルーム』は、AVの撮影現場のメイクルームの一日を描いたコメディ作品。コールを受けた森川圭監督は、
「何と言っていいか分からない」と感激のあまり咄嗟に言葉が出てこない様子だった。グランプリ選出に当たっては、社会の少し異質な場所に焦点を当てた作品であること、次回作を観たいと思わせたことなどが挙げられた。

 森川監督は同映画祭受賞者では最高齢の50歳。審査委員長の大森一樹監督から、
「ある程度の年齢だからこそ、観客に伝えられるメッセージもある。若ければいいという映画祭の風潮の中で、ひとつのメッセージになったのでは」と今回の受賞の意義について言葉が添えられた。

 審査員のひとりである西村喜廣監督は95年に『限界人口係数』で受賞者として授賞式に登壇している。映画祭内で自主上映をするなどゆうばり映画祭の裏プログラムを盛り上げ、制作者同士を結び付けてきた。最新作では話題の『進撃の巨人』の特殊造型プロデューサーを務め、監督作『忍者虎影』が4月公開予定と活躍中だ。
「今回、審査員として真剣に映画に向き合いました。受賞できなかった監督も選ばれたのだから胸を張ってください」と涙で声を詰まらせながら、参加した映画制作者全員に熱いエールを送った。
 

『メイクルーム』は元々は森川監督が舞台用に脚本を書き上げ演出した作品。2010年に小劇場で上演されたものから映画用に若干修正はあったが基本ラインは同じという。公開についてはこれから動く予定とのこと。
森川監督は次回作の構想について、
「『メイクルーム』のパート2を作りたい。 パート2は脚本も出来上がっており、今回の『メイクルーム』の3ヶ月後の話。AVでもパート2を撮影することになりもう一度全員が集まって新しいキャラクターが出てドタバタが繰り広げられる完結編です」と語った。

 長年AVの現場で仕事をして来た森川監督は、AVを撮ることで一般映画が撮れなくなるため、名前を変えてAVを撮る映画監督が多いと現状を語る。そんな中AV、一般作とも森川圭の名前で仕事をして来た。森川監督の周りにも同じ位の年齢のAV監督で多くいて、映画が大好きだが映画が撮れないためにAV監督をやるという風潮があったという。
「僕ぐらいの歳になっても映画を撮って評価してもらえる事実が出来たのが、凄く嬉しく思っています」

 ゆうばり映画祭は昔から良く知っていたが、AV業界で働いているためにまったく縁のないものだと思っていたという森川監督。大森監督の「日本映画が混沌としている中でもっと早くゆうばりに来れば良かった」と言うコメントを受け、
「映像がフィルムからデジタルに変わって来て、いろんな新しい撮り方が出て来るという変換期を迎えて混沌として来ている。その中で僕の作品をグランプリにするのは凄く揉めたんじゃないのかなと」
 テクニックのある若い監督のようには出来ないなという思いもある。膨大な素材を撮ってその中から構築するような作品や、時間やお金を十分にかけ丁寧に作っている作品が多いオフシアターコンペの作品の中で、『メイクルーム』は二日間という短い期間で撮影され、超低予算だったと語る。
「僕が色々な撮り方で助監督として付いた中で一番いい映像的表現、オーソドックスな撮り方をしたつもりだったので、そういう意味で大森監督は評価をしてくれたと思います」

 『メイクルーム』は2月23日(月)10時よりアディーレ会館にて上映予定となっている。

(Report:デューイ松田)

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■ゆうばり国際ファンタスティック映画祭