ドリアン助川の原作「あん」をもとに、河瀬直美監督が手掛けたエンターテイメント・ドラマであり、監督初の原作からの映画化作品である『あん』。ハンセン病をわずらった主人公・徳江という難しい役を、日本を代表する大女優・樹木希林が演じます。とある街にひっそりとただずむどら焼き屋「どら春」を舞台に、しがない雇われ店長・千太郎と、近所に住む家庭の愛に飢えた少女・ワカナ、どこからともなく「どら春」に現れた徳江の作る絶品アンコを通して、様々な人間ドラマが紡がれていく本作。本日都内にて、河瀬直美監督と主演の樹木希林登壇の製作発表記者会見を実施しました。

『あん』製作発表記者会見
■日程:12 月 11 日(木) 11:00〜
■場所:マッキャン・エリクソン本社 大会議室 (港区南青山1-1-1 新青山ビル東館 22F)
■登壇者:河瀬直美監督(45)、樹木希林(71) *敬称略

<樹木希林が劇中の割烹着姿で登場!河瀬直美と自らの遺作を語る!>
ドリアン助川の原作「あん」をもとに、河瀬直美監督が手掛けたエンターテイメント・ドラマであり、監督初の原作からの映画化作品である『あん』。ハンセン病をわずらった主人公・徳江という難しい役を、日本を代表する大女優・樹木希林が演じます。とある街にひっそりとただずむどら焼き屋「どら春」を舞台に、しがない雇われ店長・千太郎と、近所に住む家庭の愛に飢えた少女・ワカナ、どこからともなく「どら春」に現れた徳江の作る絶品アンコを通して、様々な人間ドラマが紡がれていく本作の製作発表記者会見を 11 日(木)に都内にて行いました。

世界で活躍する河瀬直美監督が、最新作で日本を代表するベテラン女優・樹木希林とタッグを組んだだけあって、会見には会場に入りきらないほどの多くのマスコミが駆け付けた。(スチール:50 媒体、ムービー:15 媒体、合計 100 人以上のメディアが集結。)
本作でどら焼き屋「どら春」で働く徳江役を演じた樹木は、劇中であん作りの時に使った白い割烹着姿で登場。溢れんばかりのマスコミに対し、「(このメディアの数は)トム・クルーズさん以来ってことなんで、本当かな?って思っています。」と挨拶をし、笑いを誘った。製作過程について河瀬監督は、「(撮影最終日は)すばらしい天候の日で、脚本にあるまばゆいばかりの夕日のシーンがちゃんと撮れて、まさに終わったばかり。これからフランスとドイツで編集作業に入ります。」と無事に撮影が終わったことを明かした。樹木は河瀬作品に出ることになった経緯を「前々回の(河瀬監督作品の)『朱花(はねづ)の月』は台本があるようなないような。(夫役だった)西川のりおさんとこうゆう仕事はもうないですねと言ったが、どうゆうわけか今度はそれの長いやつにつかまりまして。」と明かし、「台本が分厚くてセリフがびっしりと書かれている。セリフが長いとを(共演者に)勝手に差し上げちゃうんですけどね。この監督はそういうわけにはいかないと、覚えましたね。」と河瀬監督の前ではごまかせなかったことを語った。本作の原作者であるドリアン助川から直々に映画にしてほしいと手紙をもらった河瀬監督は、これが自身初となる原作ものの映画化に挑んでおり、「映画にするのは難しい小説。でも難しいことと易しいことがあったら、これまで難しいことを選んできたので、やってみようかなと思った。」と決意時の心境を明かした。実際に小豆を手作りする様子を見に行くほど徹底したリサーチをした河瀬監督に“小豆の声が聞こえますか?”と尋ねられていたことについて樹木は、「聞こえません。」ときっぱり。河瀬監督との仕事はごまかせないから「しんどかったです。」と明かし爆笑を誘ったが、「でもそこにこだわる河瀬さんのすごさが分かりました。役者なら一度は河瀬さんとの仕事をおやりになるといいんじゃないかなと思いました。」と褒めたたえた。対する河瀬監督も「長年一緒に仕事してきたカメラマンが本番で初めて涙した。それくらい迫るものがあった。」と樹木と仕事ができた喜びを語った。
本作のキャッチコピーである、“やり残したことは、ありませんか?”にちなんで、MC からやり残したことを聞かれると樹木は、「やり残したことは何にもないんです。期待がないから。ただ、この仕事をした後に、もうちょっと心してやらなきゃいけなかったんじゃないかなぁと思いました。」とコメント。河瀬監督は関西人らしく、「自分でやっている畑に猪が入り、電気の柵をしているんだけど、それが上手く稼働しているか昨日チェックできなかった。」と明るく答えた。
今回元ハンセン病患者を演じるにあたり、実際にハンセン病の療養所での生活を経験している方々に会ったという樹木に対し、記者から体調が心配という声が出ると、樹木は「それが狙い。」と答え、河瀬監督から「これを樹木さんの遺作として売りたいんじゃないんですか?」と言われていたことを明かした。また、本作の位置づけについて聞かれると、「ハンセン病というものを実感した。」と語った。
最後に河瀬監督は「撮影現場でやり残したことはない。是非(完成を)見守っていてください。」と改めて本作への熱い想いを語り、「樹木さんの遺作になるか分かりませんが」とジョークで締めくくった。
『あん』は 2015 年 6 月に全国公開される。