本日『海を感じる時』大ヒット御礼トーク&ティーチインイベントを行いました。

【登壇者】安藤尋監督、市川由衣さん

上映から1か月以上経ったにも関わらず、満席の客席を前に、市川由衣さんと安藤監督が舞台上に登場すると大きな歓声が沸き起こり、和やかなムードの中でイベントがスタートしました。
市川さんは、「こんなにお客さんが集まって頂いて本当にうれしいです」と喜びの様子。また、周囲からの反響についてきかれると、市川さんは、「周りの反響はたくさんありました。感想がメールで送られてきたり、同性の友達だと自分の恋愛経験を交えて1時間語られたりとか姉もそうだったんですけど、2時間ぐらい電話で話してくれたり、映画の感想もそうなんですけど、自分の過去も話したくなる作品なんだなと思いました」と語りました。

続いてご来場されたお客様とのティーチインでは、熱心なお客様が多い中市川さんと安藤監督は真剣な表情で答えていました。

【市川さんへ、印象的だったシーンについて】
市川さん「すごくたくさんあるんですけど・・・お風呂のシーンというのは、女である自分を自覚するシーンだなと思っていて。水面にうつった自分をぱしゃっと水を浴びて。自分が女であるという事をそこで悔しくもあり、それを認めるというシーンでもあると解釈していて一番印象に残っています」

【市川さんへ、ワンカットで沈黙のシーンが多かったがNGのシーンはあったか?】
市川さん「確かに長いですよね。ハプニングってありましたっけね。部室で洋に脱げよって言われるシーンでは段取りとは違うシーンでしたね。やっていく中で変わっていくことはありましたね。」

【市川さんへ、初期の作品では清純派のイメージが強かったが、裸になって女性として多くのお客さんにみられていてどういう心境なのか】
市川さん「10代から仕事をしてきて、イメージで清純みたいに言われたりもするんですけど、私も28歳の普通の女性ですし、裸になることに抵抗がなかったといえば嘘になりますし、やっぱりこの作品に関しては、肌が見えなかったら全く成立しないと思いました。恵美子の痛みだったり、苦しみだったり悶々とした気持ちは表現できないと思ったので、挑戦しました。自分の裸がみられてどう思うか、ということではないですね。作品を見てもらう事が嬉しいです。」

【市川さんへ、心を締め付けられるような内容だったが、カメラが回っていないときはどんな雰囲気だったか】

安藤監督「割とシビア内容でしたけど、その分一度カットがかかると冗談なり馬鹿な話をしたりとかで、現場自体が緊張してるというわけではなかったですし、和気あいあいというかオン・オフはありましたね」
市川さん「撮影前は自分が病んじゃうんじゃないかなって思ってたんですけど、オンオフがはっきりできる環境でもありましたし、よく笑ってましたね。池松さんと前張りの話とかして盛り上がってましたよ」
【市川さんへ、役柄と自分自身と似ていると事、似ていないところ、役作りについて】
市川さん「この作品をやる上で、監督に見たら参考になる作品として、“アデルの恋の物語”を勧められて見ました。主人公の痛いんだけど美しいなと思って。その主人公の姿は恵美子に持たせたらいいなと思っていました。自分と似ているところは、日本酒が好きなところかな(笑)」

【安藤監督へ、どうしてこの作品を選ばれたのか】
安藤監督「成立の過程が、原作の中沢さんが1978年の新人賞を取られたときに、脚本の荒井さんが書かれたんですね。その当時映画が流れてしまったんですけど、ずっと、なかなかうまくいかず、そういう中で2010年にプロデューサーと荒井さんが中沢さんの方に行って3人でようやく決まったようで。僕の方はまだ参加してなかったんですけど、逆指名というか声をかけていただいて、僕の方からやりたいと言って成立したわけではなくて、僕だけのモチベーションで進んだわけではない作品です」

そして、最後に市川さんは「今日はお忙しいところ本当にありがとうございました。私自身大好きなこの『海を感じる時』ですがこれから公開になるところもありますので、是非見て頂けたら嬉しいなと思います。こうやってこの作品がヒットしているという事実が嬉しいですしありがたいです」とコメントしてイベントは締めくくられました。