8/25、大阪市浪速区のロフトプラスワン・ウエストにて行われた、特撮美術・特殊造形・フィギュア作家の寒河江弘さん主催の「みんなで怪獣フィギュアを作ろう!」イベントレポート後半です。

●全米のゴジラファンが集結する
G-FEST(ジーフェスト)とは!?
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 M11フィーチャー特集の後は今年7月11日〜7月13日にアメリカ・シカゴのクラウンプラザホテルを借り切って行われたばかりのG-FEST(ジーフェスト)XXIの報告が行われた。
今回G-FASTに初参加したという、せろりあんさんも登壇。

 G-FESTは毎年夏にアメリカで開催されるゴジラや怪獣ファンのイベントで、94年から回を重ね今回は約5000人が集結。アメリカのイベントしては大規模ではなく家族的なイベントとして知られており、ゴジラ映画の俳優やスタッフをゲストに迎え交流の場を設けている。ゲストによるフィギュア造形の実演やファンによる怪獣トピックのプレゼンテーションやコスプレコンテストや自主映画コンテスト、お絵描きコンテスト、ビデオゲーム大会、怪獣映画上映なども行われ、怪獣にまつわるありとあらゆる面白いことが行われる。

 スクリーンには今年ゲスト参加した寒河江さんやせろりあんさんが撮影したG-FESTの様子が映し出される。
G-FESTには99年から毎年ゲスト兼通訳として参加しているロバート・スコットさん。今年はペルーやフィンランドからも参加があったという。寒河江さんは、
「今更やと思うんですけど『ゴジラVSデストロイア』を見るのに大行列(笑)」
「ビッグスクリーンでみたことない人が多いし、同じ怪獣を好きな人と観たら燃え上がる(笑)」
とスコットさんが解説。
「日本ではほとんどスルーされる「これで来年度の予算はゼロだな」のセリフもドッカーン、ウケよる(笑)」
と楽しげな寒河江さん。
スコットさんは、
「去年より35%集客が増えた。ハリウッドのゴジラのおかげもあるやろうけど。お客さんにアンケートとったら一番人気は1954の『ゴジラ』。2位はなんと『ゴジラVSキングギドラ』(笑)拍手お願いしたいですね!(笑)」

●G-FEST参加者、
金子修介監督に絶叫オファー!
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 G-FESTにエントリーされる自主映画についてスコットさんは、
「今回のアメリカのゴジラはうまく行ったけど、98年のトカゲみたいなゴジラ。あれがみんな嫌いで、ビデオの自主制作作品では、必ずあいつが出てきて潰される。イヤーツツツ!とみんな大喜び。毎年やってる(笑)ゴジラが魚食べるわけないやろオオオー!!!(笑)」
寒河江さんがエメリッヒ版の『GODZILLA』について、99年に金子修介監督がゲスト参加した際のエピソードを紹介する。
「『ガメラ3』を上映した時に金子修介監督が凄い歓迎されて。“カネコー!!!『GODZILLA2』を撮れ!”ってみんな言ってるのが聞こえた(笑)。そんな中で誰かが“『GODZILLA』を撮れ!あれはなかったことにしろ!”(笑)」
スコットさんは
「みんな金子監督の『ガメラ』シリーズみたいなハードな奴が好きみたいだから、今回のハリウッド版はみんな好き。
ムートーのアゴを外して放射する。あれがみんな一番好き(笑)Kiss of Deathって言います」
すかさず寒河江さんが
「日本ではゲロ吐き(笑)」
と身も蓋もなく名場面を語り会場は爆笑となった。

●次世代の怪獣ファンを育てるG-FEST!
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 G-FESTの熱気が伝わったところでスコットさんは
「ぜひみなさんチャンスあれば!毎年必ずやっていますから。アメリカで体験した方がいいと思うのは大リーグの試合、プロバスケットボールの試合、迫力ハンパじゃない。そしてゴジラのコテコテのファンと一緒に見るのは最高です!」

寒河江さんもマニアックなゲストチョイスと次世代を育てるG-FESTについて
「面白そうだったらなんでも受け入れるところが凄い。川北紘一さんなら誰が見てもゲストに相応しいんですが、大阪芸大の学生が撮った『怪獣戒厳令ゼラ』が面白いからと監督の前畠慎悟くんをゲストに呼んだり。新しい才能については日本のメディアは中々伝えてくれないし。
昭和のゴジラの佐々木勝彦さん、藍とも子さん(『メカゴジラの逆襲』)、平成ゴジラの川北紘一さん、ミレニアムゴジラのドン・フライ(『ゴジラ FINAL WARS』)。これからの前畠くんとかあらゆる世代のゲストを呼んだのが、今回面白かった」
川北監督がホテルの床に座って、子供たちとジェットジャガーのソフビで遊んでいる微笑ましい写真も紹介される。

「アメリカ人が凄いなと思うのは日本だと権威がある人しか表彰しないけど、ファンが表彰するんですね。見習わないと、と思います」
と寒河江さん。次世代を育てるということについてスコットさんは、体育の先生として日本の運動会に参加すると順位をつけずに参加賞を渡す風潮に触れる。
「ある意味いい事だけど、よく頑張ったらちゃんと順位をつけた方がまた頑張る気になることもある。
G-FESTでは、大人も子供も怪獣を作って、プロが観て点数つけて順位が決まる。お金を渡すんじゃなくて、次これを作ってくださいというプレゼントを渡す。それで次の世代がどんどん育っていくんですよ」

寒河江さんは
「今回のイベントはG-FESTを見習って“子供たちも参加してください”と告知したんですが、見事に外れました(笑)」
観客は大人だけだったものの、様々な世代で女性の参加者も多くファン層の広さが感じられた。

●オリジナル怪獣、大撮影大会!
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G-FEST紹介の後は、いよいよ参加者が作ったオリジナル怪獣をジオラマに配置し、撮影大会に突入!大阪芸大の先生や学生のプロフェッショナルチームが作ったクールな怪獣から動物風や植物風の可愛らしい怪獣、福本清三さんやビリケンさんをモチーフにした怪獣など様々な個性溢れる怪獣がジオラマのビル街を襲った。
最後はジャンケン大会でレアグッズが惜しげもなく振舞われ、大盛り上がりのイベントはお開きとなった。

この寒河江弘プレゼンツ「みんなで怪獣フィギュアを作ろう!」、第2弾の開催も検討しているとのこと。その際は怪獣ファンの皆さま、ぜひご自身やご家族・友人のお子様も一緒にご参加を!観る、作る、話すといった楽しい体験が次世代の怪獣ファンを育て、シーンの活性化に繋がっていくに違いない。

(Report:デューイ松田)