映画『ペコロスの母に会いに行く』岩松・赤木のW主演でコミカルな親子を体現。森?監督はサプライズバースデーのお祝いに「まるで映画のような時間」と喜びを表現!
長崎を舞台に、グループホームで暮らす89歳の認知症の母親とのおかしくも切ない日常を描いた岡野雄一による同名のエッセイ漫画「ペコロスの母に会いに行く」が待望の映画化。この度、公開日である16日に下記概要にて豪華キャスト登壇の初日舞台挨拶を実施しました。
【映画「ペコロスの母に会いに行く」介護の日 特別試写会 舞台挨拶】
■日時 : 11月16日(土)13:05〜 ■場所 : 渋谷ユーロスペース
■登壇者 : 岩松了、赤木春恵、原田貴和子、大和田健介、松本若菜、森?東監督、岡野雄一(原作者)
公開初日を迎え、公開を待ちわびていた方々がユーロスペースを埋め尽くしていた。上映後に本イベントが行われたため、観客はハンカチで目元を拭う方が多く見られ、一青窈の主題歌「霞道(かすみじ)」で,より一層余韻に浸っているようでもあった。会場内が赤木・岩松の親子に思いを馳せながら、まず息子ゆういち役を務めた岩松了が大きな拍手に迎えられながら登壇、認知症の母、みつえ役の89歳にして映画初主演を務めた赤木春恵が登壇すると拍手とともに大きな歓声もあがった。
イベント早々、開口一番に岩松が「よくぞ、ここまで辿りついたな!」と感無量と言わんばかりの表情を浮かべてのコメント。自身も長崎出身ということもあり、本作にかける思いもひとしおであった。「(エッセイ漫画での)お母さんが可愛らしく描かれているので、可愛く演じたいとずっと思っていました。」と89歳にして映画初主演女優の赤木は、岩松がハゲヅラを準備するのに毎朝3時間もかかっており、(毎朝大変そうなので)話しかけるのを遠慮してしまったと胸の内を明かし、「申し訳ないです、ハゲててすみません!」と岡野が岩松に謝り笑いを誘う一幕もあった。
今回、20年ぶりに(「私をスキーに連れてって」(1987年)「結婚」(1993年)以来)3度目の原田貴和子・知世の姉妹共演を果たした原田も岩松と同じく長崎出身のひとりで、「原作本を読んだら、方言が重要でそこに魅了されたので特に気をつけました」と長崎を舞台にしている映画だからこそ、若き日の赤木が演じる母みつえ役を演じることへの熱い思いを感じた。
岡野自身の体験をもとに2012年1月に自費出版をしたエッセイ漫画が遂に映画化され、(自費出版の映画化という)話があったときには訳がわからなかったですが、気がついたらここに立っております」と公開初日を迎えたステージ上でも戸惑いつつも喜んでいる様子であった。「あんなにも地味な漫画が広がりを持っていることに今、そういう時代なんだな、時代とすれ違っていることを肌で感じています」と介護・認知症という社会問題に関わり続けている身としての思いを観客に伝えた。
今回、11月19日に86歳になる監督、11月12日に23歳になった大和田健介にサプライズでそれぞれに花束プレゼント行い、「まるで映画のような時間。いつ覚めるかわからないけど、覚めなくてもいい。このままいきます!」と86歳を迎える監督が満面の笑みを浮かべながら、思いっきり嬉しさを表現していた。
最後に本作について、まず岩松が「本作が繰り返し上映され、いろんな人に見てもらいたいという気持ちでいっぱいです。介護を扱った映画ということで、暗いイメージを持たれる方が多いかと思いますが、そうではないということを声を大にして宣伝して頂ければと思います」と認知症の母親を常に笑わせながら支えていく主人公を演じた思いを伝えた。「介護をするということは楽しいことだということを知りました。ウソのようだけどウソではありません。皆さんもされる立場になればわかります、それはもうすぐですので、急がなくても結構です。」と喜劇映画の巨匠は最後まで会場内の笑いを誘っていた。