11月9日(土)、『もらとりあむタマ子』公開を記念して、山下敦弘監督と漫画家・コラムニストのしまおまほさんによるトークショーを開催いたしました。

トークは、前田敦子演じる主人公・タマ子の「女の子のB面」的キャラクターの魅力や共通の知り合いである漫画家のいましろたかし氏と長尾謙一郎氏を通じて出会ったという二人の漫画原体験について、
後半は「もらとりあむな人生相談」と題して事前に寄せられた悩みに美大・芸大卒の共通点からそれぞれのモラトリム時代の思い出にも及び二人らしいもらとりあむ珍回答名回答でイベントを締めくくりました。

「もらとりあむな人生相談」
会場:VACANT(渋谷区神宮前3-20-13)
登壇予定者:山下敦弘監督、しまおまほさん(漫画家・エッセイスト)

●改めて、本作のご感想を。特に女性からみてタマ子というキャラクターはいかがでしたか。
しまおまほ(以下:しまお)
女の子のダメな部分じゃないですけど、
タマ子が美容室に行く場面で、気に食わない髪型になったんだけど、
鏡越しに「ありがとうございます。」ってにこっと笑って次の瞬間にムスっとするみたいな、
細かいところが女の子の一瞬のブスな瞬間というか(笑)ほつれの部分を指摘されているような気がしましたね。

山下敦弘監督(以下、山下)
宇多丸さんも「ブスかわいい」って言ってたって聞きましたけど(笑)
映画全体がそういう感じかなとは思います。

しまお
一瞬気が抜けてるその瞬間ばかりというか、
写真だったら「プリントしない」のほうに入れる写真ばかりの表情が多かったので、
…前田(敦子)さんはどう思ったのかなって(笑)

山下
今回は日常を淡々と描く作品なので、
タマ子のキャラクターのそういう部分を楽しんでもらえるかがこの作品の重要な部分だったりするかと思っていて。
僕らは異性だから「かわいい」で許せるんですよ。
でも今日は是非しまおさんにお聞きしたかったんですけど、同性から見てどうなのかなって。
僕とか松江哲明とかは前田敦子にハマってるからもうわかんなくなってて(笑)

しまお
写真でも、女の子が良いと思う表情と男の人が良いと思うのは違ったりしますもんね。
あと家族に対する態度って他人からみてキツいときあるじゃないですか。
私もまだ実家なんでそういうところあるんですけど。
「わかったよ!」とか「食べるよ!」とか(笑)

山下
確かに普通はそこはあまり描かない部分だと思うんですけど。

しまお
「B面」て言われる部分ですよね。

山下
そうそう。
特にこの作品の前半は「B面」だけで作っているので、それを描くのは狙いでもあったんですよね。

しまお
女の子の誰しもこういう面てあると思うんですけど、
男性から見るとこの「B面」の部分て夢を裏切られた感じになったりするんですかね?

山下
それもあるかもしれないですけどね。
でも僕の周りにいる人たちにはそういう面が好きな人が多いですね。

●もらとりあむな人生相談

【お悩み1】
現在転職活動中ですが、ピンとこないまま面接をうけ内定をもらっては辞退したり、こんなことの繰り返しです。
まさにモラトリアムな状態ですが、どうしたら良いでしょうか。

しまお
この方は、内定もらっても自分で辞退しちゃうんですね。
私の大学時代に、卒業制作をやり直す為に卒業を辞退しちゃう人いたんですけど、
今思えば、卒業して世の中に出てから芸術魂燃やすこともできたと思うんですよ。
やってみてから考えるのもいいんじゃないでしょうか。

山下
あとは、このモラトリアム期を周りがどのくらい許してくれるかっていうのもある。
俺は大阪でフリーターやりながらたまに映画とってたときが一番楽しかったんですが、
結局、脚本や撮影やってる友人はみんな東京に行っちゃうんです。
これじゃ映画とれないってなって、周りの状況の変化で俺も東京に来たんですよね。
慌てるのはわかるんですけど、状況が許すまで続けてみるっていうのはどうでしょうか。

【お悩み2】
私は大学生ですが、サボリ癖が抜けません。
いままでなんとなく出来てしまっていたのが原因だと思いますが、どうしたらよいでしょうか。

しまお
私もサボリ癖ひどいですよ。
美大・芸大って宇宙人みたいな人多くなかったですか?
卒業だけには命をかけて、卒業は絶対したほうがいいですよね。

山下
いたいた(笑)ランドセル背負ってる人とか(笑)
卒業だけはしたほうがいいから、卒業できるだけの準備はしてサボったほうがいいと思いますよ。