現在、全国79館で絶賛公開中の『凶悪』が10/1に公開から11日間で興行収入1億円を突破。本作『凶悪』を陰ながら支えた方をゲストにお招きするトークイベント第1回目は、木村孝雄(リリー・フランキー)と須藤純次(ピエール瀧)によって殺害される第一の被害者、牛場悟と、その妻・牛場百合枝を演じたいま最も話題のジジ・ぶぅと白川和子が初登場!ジジ・ぶぅは、現在WAHAHA本舗で活躍する俳優であり、その前は猫ひろしさんの付き人、さらにひとつ前はホームレスという異色の経歴を持つ。白川和子は、「ロマンポルノの女王」として一世を風靡しロマンポルノ引退後は、『青春の殺人者』『復讐するは我にあり』など数々の名作に出演する大のベテラン女優。先日、某バラエティ番組に出演後、夫婦役を演じているが、数年前に「50・60 これからだ」という漫才コンビを組み、2009年4月にデビュー、M- 1グランプリに、2回出場し、現在も活動中。木村役のリリー・フランキーに「最も凶悪!」といわしめた二人と白石監督を交えて公開トークイベントを実施した。

【日程】10月10日(木)
【場所】ヒューマントラストシネマ渋谷  
【登壇者】白川和子、ジジ・ぶぅ、白石和彌監督

ジジ・ぶぅが出演した経緯はリリーからの推薦であると監督は明かす。「リリーさんが『70歳の先輩俳優だと本気でできない。』3秒考えて、『ジジ・ぶぅならできるな』と言ったんです。実際ジジ・ぶぅさんは56歳で体力もありますし、お芝居も上手だったので、オファーしました」。オファーがきたジジ・ぶぅは、「脚本を読んで原作を読んでめちゃくちゃ面白くて。吊り橋のシーンでは号泣してしまい、絶対このシーンをやりたい!と思った」と牛場役を即快諾した。

一方、白川の起用理由は「『凶悪』は日活100周年記念作の映画だったので、歴史を感じさせることをしたいと思い、自分も影響を受けている日活ロマンポルノの女王である白川さんにお声をかけました」と監督が語った。白川は「すぐにやりたいと思った。ずっと連れ添った主人に対する恨み・つらみが理解できた。こんな気持ちあるよなって。台詞が少なかったのでどういう風に演じたらいいか考えました」と言い、オファー前からジジ・ぶうが出演することは本人から聞いていたらしく、二人での夫婦役が実現した。

芸人として仲の良いコンビネーションを見せる二人は、まるで母と子。映画の現場では初めて出会うことになったため、白川はジジ・ぶぅを心配し、「余計なことすんじゃないよ。死んじゃう人なんだから」とアドバイスを入れたという。現場での進行もメールでジジ・ぶぅは白川に報告。壮絶だった96度の酒を飲まされて殺害されるシーンでは、「今殺されました」というきっちり報告メールも送ったと明かす。その殺害シーンは、「実際に4リットルの水を飲んでいるんです。4回目ぐらいでやっとOKが出た後、ADが「お疲れ様です」とお茶を持ってきたんです。飲めるか!って」とジジ・ぶぅが爆笑エピソードを暴露した。さらに、リリーが本気でやれると言わしめるジジ・ぶぅのシーンではすべて本気!「ピエールさんのビンタも思いっきり入っている」と明かした。白川からは「どうぞみなさん実行しないでください」と注意を促すと会場から笑いが起こった。

最後に、ジジ・ぶぅは「普通の人が普通のことして人を殺してるんで、リアル。犯人に共感もするし、やられる人間含め全員が主人公で、観客のみんなにあてはまると思います」とコメント。白川は、「若松監督の炎は監督に受け継がれている」と若松孝二監督の愛弟子であり、白石監督と仕事ができたことの喜びを言葉にするとともに、「人間が持つ恐い部分、すべて含めて人間。生きているってこういうことなんだと思います。この映画に出演できてよかったです。死ぬまで女優でいたいと思います」と再び女優魂を漲らせた。

そして、国内映画賞のトップバッターをきるTAMA映画フォーラム実行委員会が主催する「第5回TAMA映画賞」の各賞が事務局より発表され、今後が期待される旬の監督として最優秀新進監督賞を白石監督が受賞!との朗報が入った。受賞の喜びを白石監督は「自分と向き合う映画で、自分も感情を投影ました。まだまだ上映は続きますので、宜しくお願いします」と力強く本作をアピールした。