それでは、長編コンペティション部門の受賞作と受賞者のコメントをかいつまんで紹介!
 

◆3人連名で最高賞パルムドールに輝いたフランス映画『ブルー・イズ・ザ・ウォーメスト・カラー』

 〈カンヌ国際映画祭便り14〉で既にお伝えした通り、映画祭中盤の23日(木)に正式上映された『ブルー・イズ・ザ・ウォーメスト・カラー』は、フランスで活躍するチュニジア出身の監督アブデラティフ・ケシシュが、国際派スターのレア・セドゥと新星アデル・エグザルコプロスを起用し、フランスの同名コミックを映画化したガールズ青春映画で、大胆な同性愛シーンに挑んだ主演女優2人が、あっぱれな女優魂を見せつけている。
 スティーヴン・スピルバーグ審査員長に授賞式でパルムドールは監督と女優の3人連名での受賞だと告げられ、“グッチ”の白のワンショルダー・ドレスをまとったアデル・エグザルコプロスと“マキシム・シモン”の白と黒のツートンカラー・ドレスを着たレア・セドゥとともに登壇したアブデラティフ・ケシシュ監督は、「私が進む道を見つけるように支えてくれ、愛し、必要とする男性を皆さんに思い出してほしいと思います。それはクロード・ベリ監督です。この賞とこの作品を自由の希望、どもに生きることについて教えてくれた、製作中に出会ったフランスの美しき若者に捧げたいと思います。また、しばらく前にジャスミン革命を生きたもう1人の若者にも、どのようにしたら自由に生き、表現し愛することができるのかを教えてあげるために捧げたいです」と興奮が醒めやらぬ面持ちで語った。
 コンペ初参戦作でカンヌを制したアブデラティフ・ケシシュ監督は授賞式後、受賞者会見に臨み、「感動しました。この作品の最大の武器は、我々全員、俳優や技術スタッフとの融合にあります。これは、まさにチームで作り上げた作品です。家族のような精神の中で仕事ができたこと。それが私が切望したことであり、叶えられました」とコメント。
 また、アデル・エグザルコプロスは受賞者会見で、顔を上気させながら「この映画は、普遍的な愛を物語っています。もし寛容に対する賛歌となり得れば、更に喜ばしいです」と語り、レア・セドゥは「私たちを近づけたのは私たちの間にある愛、そして、きっとユーモアのセンスもでしょうね」とコメント。


◆次点のグランプリは『インサイド・ルウェイン・デイヴィス』のコーエン&ジョエル・コーエン兄弟が受賞!

 グランプリを受賞したアメリカ映画『インサイド・ルウェイン・デイヴィス』は、映画祭前半の19日(日)に正式上映され、監督のコーエン兄弟が既に帰国の途についていたため、主役のルウェイン・デイヴィスを演じた主演俳優のオスカー・アイザックが代理で賞を受け取った。
 ボブ・ディランの憧れの存在でもあったデイヴ・ヴァン・ロンクの自伝から着想を得た本作は、無名のシンガー・ソングライターの青年と周囲の人々の人間模様を描いたオフビート・コメディ〈カンヌ国際映画祭便り8を参照されたし〉の秀作。代理で賞を受け取ったオスカー・アイザックは、受賞者会見で「物語は私のキャラクターを中心に展開するんですが、コーエン兄弟が叙述的特質を構築しました。彼らは2人であるにも関わらず、まるで1つの脳が様々な場所を同時に移動しているかのようでした。なので、僕はいつも最後に言われたことを行うようにしてました」とコメント。
(記事構成:Y. KIKKA)