オフィシャル部門である“ある視点”も16日(木)の夜に開幕し、上映会場の“ドビュッシー”でオープニング・セレモニーが行われた。また、映画祭の併行部門(主催団体が異なる)の“監督週間”と“批評家週間”も本日、開幕!


◆“ある視点”部門の審査委員長はデンマークの俊英監督トマス・ヴィンターベア!

 現地時間16日の19時45分より、映画祭のオフィシャル・セクションである“ある視点”部門のオープニング・セレモニーが、パレ・デ・フェスティバルのドビュッシー・ホールで催された。司会は映画祭ディレクターのティエリー・フレモーで、今年の審査委員長を務めるのは、“ドグマ映画”の旗手としても知られるデンマークのトマス・ヴィンターベア監督(カンヌでは1998年の『セレブレーション』で審査員賞を獲得し、昨年の『偽りなき者』ではマッツ・ミケルセンに男優賞をもたらした気鋭)。残る4人の審査員の顔ぶれは、フランスの女優リュディヴィーヌ・サニエ、中国の女優チャン・ツィイー、ブラジルのリオ映画祭実行委員長のイルダ・サンティアゴ、スペイン映画アカデミーの会長でプロデューサーでもあるエンリケ・ゴンザレス・マチオ。

 そして“ある視点”部門の開幕作品は、アカデミー賞脚本賞を獲得した2003年の『ロスト・イン・トランスレーション』や2010年にヴェネチア国際映画祭金獅子賞に輝いた『SOMEWHERE』で知られる才媛ソフィア・コッポラ監督(あの巨匠監督フランシス・フォード・コッポラの愛娘)の『ザ・ブリング・リング』。本作は映画祭便り3でお伝えした通り、インターネットを駆使して割り出したハリウッドのセレブの豪邸に忍び込み、ゲーム感覚で窃盗を繰り返していた実在の高校生一団の犯行をモデルにして描いた異色の青春映画で、オープニング・セレモニーに引き続いての正式上映となった。舞台挨拶にはソフィア・コッポラ監督とハジけた窃盗団一味を演じた旬の若手俳優5人、エマ・ワトソン、ケイティ・チャン、タイッサ・ファーミガ、クレア・ジュリアン、イズラエル・ブルサールが登壇し、会場は大きな歓声に包まれた。上映後には熱いスタンディング・オベージョンが贈られ、トップスが黒、ボトムが白の大人っぽいドレスを着たエマ・ワトソンが頬を染め、笑顔でそれに応える姿が印象的であった。

 また、映画祭の併行部門で長編21本、短編9本が上映される“監督週間”部門(上映会場はJW マリオット・ホテルのクロワゼット劇場)では、『戦場でワルツを』で知られるイスラエルのアリ・フォルマン監督によるアニメーション映画『ザ・コングレス』が、そして長編監督第1作&2作目を対象とする“批評家週間”部門(上映会場はミラマー・ホテル)では、フランスのカテル・キレヴェレ監督の『シュザンヌ』が、それぞれオープニング上映されている。
(記事構成:Y. KIKKA)