第 146 回芥川賞受賞作・田中慎弥の同名小説を、日本を代表する監督・青山真治が映画化した、今秋最大の話題作『共喰い』が、8月15日(木)午後2時〜(現地時間)、現在スイスにて開催中の「第66回ロカルノ国際映画祭」コンペティション部門にて上映されました。今年 66 回目を迎えるロカルノ国際映画祭は、カンヌ・ベルリン・ヴェネチアに並ぶ国際映画祭で、すぐれた才能を早くから発掘することに定評があり、これまでスタンリー・キューブリックやジム・ジャームッシュ、タル・ベーラ、ガス・ヴァン・サント、キム・ギドクといった名監督を数多く紹介してきました。青山真治監督にとってロカルノ映画祭コンペティション部門への出品は、審査員特別賞を受賞した『東京公園』(11)以来2度目となります。(*コンペ外での参加も含めると『路地へ』(00)『赤ずきん』(08)『東京公園』に続いて4度目)。全3000席の会場は、過去受賞作を持つ人気監督である青山真治の「ワールドプレミア」とあり、満席となりました。上映前に、まずは主演の菅田将暉さんが、なんとイタリア語でご挨拶。観客をどっと湧かせました。それを受けて、ベテランの青山監督が挨拶を行いました。

上映終了後は、海外映画祭では珍しく、エンドクレジットが終わるまで席を立たない観客が多数続出。すべてのクレジットが終わると、熱い拍手が湧き上がりました。さらに出口では、青山監督、そして主演の菅田将暉さんに、自分の感想を告げたい人の列ができたほど、観客の熱が冷めやまない状況でした。菅田将暉さんへは、若手の役者の魅力を引き出すことで定評のある青山作品での初主演の印象を聞かれることが多く、また、監督のところへ、各国の映画祭関係者やスタッフが「今年のロカルノで一番の傑作」とわざわざ伝えにくるシーンが何度も見受けられ、期待も高まっています。
菅田将暉さんの感動のコメントは以下にてご確認ください。

■主演・菅田将暉さんのコメント
1人の日本人もいない場所で、日本での僕を知らない、日々映画に触れている人たちに、一つのエンタテイメントとして「共喰い」という映画を見てもらえたことが、嬉しかったです。そして「映画」と「人」というフラットな関係で作品を観る人々の姿を見て、これからは僕自身が余計な潜在意識無く、素直に役と向き合い、素直に芝居をしていこうと改めて思いました。ロカルノに来て、先入観なく作品を観る人々がいることを知り、それを知ると知らないとでは大きく違うと思いましたし、それを知ることで世界が大きく広がって、本当に良かったと思っています。

なお、各賞の結果は、現地時間の17日(土)に発表されます。
本作『共喰い』は、昭和最後の夏の山口県下関市を舞台にした、暴力的な性癖がある父をもった 17歳の男子高校生の濃密な血と性の物語。人間の欲をあぶりだし、心の奥底に潜む闇を映す濃厚で豊穣な物語に、脚本家・荒井晴彦によるオリジナルのエンディングが用意されており、原作者の田中慎弥は完成品を観て「ああ、やられた」とコメント。いわゆる「原作ものの映画化」とは一線を画す、奇跡のコラボレーションが実現しました。本作の高い完成度に、鑑賞した映画評論家やマスコミ関係者から絶賛の声が相次ぎ、マスコミ試写会は毎回満員札止めになる大盛況となっています。