7月17日、三池監督がプレゼンターを務める【三池崇史監督 presents大人だけの空間】にて、9月21日より全国公開の『凶悪』のトークショー付プレミア試写会が実施された。台本がないトークショーが名物の本試写会は、ビルボード東京の会場で観客一体となって飲み会のような雰囲気で進行。三池監督からは「監督として嫉妬した!」と絶賛!映画『凶悪』の話を時間の許す限りたっぷりと語っていただいた。

【日程】7月17日(水) 【場所】ビルボードライブ東京 (港区)
【登壇者】三池崇史監督(52)、山田孝之(29)、白石和彌監督(38)

三池監督コメント
すごく面白かったのでこれは紹介しないとと思い、今回実施となりました。映画に対する考え方が変わる日になると思います。ホラーやスプラッター映画ではなく、人間の本質を見るという意味で怖い映画。観たくないけど、なぜかものすごく引き込まれる。僕は、映画を見て初めて原作本を買いました。リアルで人間の出せる技とは思えない。山田孝之を尊敬した!監督として嫉妬!この山田孝之の表情は僕は撮ったことがない。リリー・フランキー&ピエール瀧は、絶対こんな奴だなと思うほどリアルで、みんなびっくりしますよ。『凶悪』は原作とは違って映画にしか見えないその人の性格が描かれている。全国で『凶悪』が公開されることは、映画界の大事件ですよ!この夏は『風立ちぬ』『パシフィック・リム』『凶悪』を見るといいですよ。この3本で世界の映画事情と人間とは何かがだいたい分かる。『凶悪』は、監督や役者の力が存在する。記憶に残る映画そのもののすごさを感じてもらえればと思います。

山田孝之コメント
いつもどんな役でも役作りの作業は一緒。ただ、今回は撮影3週間ちょっとの短期間で撮りました。僕が演じる藤井の気持ちの変化がすごくあるので、台本を最初から最後まで読み、段階を作って今まで以上に細かな作業をしました。リリーさんと共演して、衝撃はありました。役者だとどう感じられるか分からないことをリリーさんは堂々とするんですよ。すごいですね。瀧さんは、ふとした瞬間の表情がバカにしているように見える時もあって、ふざけてるの?って思うときもありました。ただこの感じは藤井と瀧さん演じる須藤との関係に似ていますね。それ本心なの?って。
『凶悪』は、今の社会に対する問題が色々出てきます。エンタテインメントとして観た後、さらに一歩引いて日本の問題点を感じてもらえればと思います。

白石和彌監督コメント 
事件自体はニュースになった時に知っていました。日本映画や同世代の監督はクールなことがカッコイイと思っていて、自分はギラギラ汗をかいて、体液を出す、匂いを感じられる映画を作りたかったんです。その時『凶悪』の話があって、すごい話だしどこまでできるか分からないけどチャレンジしてみようと思いました。原作はある意味できすぎているというか完璧すぎる。凶悪な人間でも家庭的な面は持っていて、その人間のグレーな部分が描きたいと思いました。本当の事件が題材なので必然的に社会派となっただけでエンタテインメントを作ろうと思ってこうなったんです。今日が一般のお客さんに観てもらうのが初めて。ワールドプレミアです。瀧さんが映画が完成した時、「この映画を見るとすべての欲がなくなる」と言っていましたが、早めにご飯を食べて最後まで楽しんで観てください。