現在84歳にして、世界で最も有名な新聞ニューヨーク・タイムズの人気ファッション・カメラマン&コラムニストのビル・カニンガムを追った映画『ビル・カニンガム&ニューヨーク』の公開を記念して(5月18日から新宿バルト9ほか全国順次公開)、ゲストに内田裕也さんを迎えたトークイベントを開催いたしました。

■日程/5月14日(火)   ■会場/新宿バルト9 

 内田裕也さんは、現在73歳。ロックな生き方を貫く唯一無二の存在として、強烈な光を放ち続けています。また、ビル・カニンガムは、50年以上の長きにわたり、雨の日も風の日もニューヨークの街角でファッション写真を撮り続けている名物カメラマンとして世界にその名を知られています。
  この度のイベントは内田裕也さんに、「草食系な若者たちに道を極める極意を伝授」していただくトークイベントを行います。内田裕也さんはニューヨークがお好きで、何度も訪れていらっしゃいますし、ご自身の主演作『コミック雑誌なんかいらない』(’86)は、ニューヨーク・タイムズに3回も取り上げられ、世界で話題を呼びました! 今回は、ニューヨークが舞台の映画ということで最もふさわしいビッグなゲストとして内田裕也さんをお迎えしました。

■内田裕也さんの談話
「1960年代後半から70年代は年代のニューヨークで俺も似たような生活をしていた。カーネギーホールの近くのキッチンつきの安ホテルだったけど、ジョンとヨーコさんと知り合って毎日カルチャーなところに行っていた。そこでいろんな勉強をさせてもらいました。ニューヨークは苦しくて楽しい時代だった。その時ビルさんに会ってはいないと思うけど、話は聞いていた。」と自らのニューヨーク生活を懐かしんだ。

「1980年代の後半にパルコの広告で、ハドソンリバーとイーストリバーをスーツで泳ぎました。皆クレイジーだと言ったけど、リアルタイムでニューヨークにいた俺にとってはロックンロール。俺はコメディアンじゃねえぞ、この野郎って思った。(主演作の)『コミック雑誌なんかいらない』はリンカーンセンターで1ケ月上映されて、ニューヨーク・タイムズのサンデー版のトップに3回も取り上げられた。それは俺の人生の財産だ」と振り返りながら当時の記事を披露すると会場からは歓声が漏れた。

  就職してもすぐに仕事を辞めてしまうような今の若者について訊かれると「偉そうに言える立場じゃないけど、ロックン・ローラーは一発当たればリッチになれるわけじゃない。豪邸を建てたのは矢沢と布袋くらいであまりリッチマンはいないからやめた方がいいと思います(場内笑)。俺はロックンロールを愛してる。好きじゃないと続けられないと思うので、若い人には、好きなことをやって突き進んでほしい。苦しくてもいつか必ず自分なりの夢をかなえる時がくると思います」とエールを送った。

  「この映画を1週間くらい前の夜に観たけど、興奮してその夜は寝られなかった。ビルさんは世代的には年上ですが、一人でニューヨークを自転車走り回って素晴らしい写真を撮り続けているのは素晴らしい。ストリートの方を中心に撮っているので、ローリングストーンだな、と思いました。久しぶりに素晴らしい映画だと思いました。」と絶賛した。

  去り際には「主催者はおすぎに来てほしかったみたい。だから今日はおすぎの代役です、よろしく!」 と観客を笑わせた。