ライヴハウスの爆音仕様で映画とともに踊りまくる—— こんなユニークな催しが4日、渋谷のライヴハウス「クラブクアトロ」で行なわれた。大ヒット公開中のインド映画『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』を全編上映するイベントで、会場は大勢のファンが詰めかけた。

 インドでは映画に合わせて踊りながら映画を鑑賞する「マサラシステム上映」があり、今回はスクリーンの登場人物と一体になって盛り上がる”本場流”を演出したという。特に本作は、劇中に多くのミュージカルシーンが散りばめられた”大騒ぎ仕様”の作品だ。日本でも既に全国の劇場でマサラシステム上映を実施。毎週金曜日の夜にクラッカーを配布した渋谷シネマライズは特に盛り上がり、Twitterなどの口コミで話題が沸騰。回を重ねるごとに動員数が増え、最終回の4月19日には会場は立ち見客も出るほどの人気だったという。

 今回は音響も特別に調整した「爆音仕様」。通常の劇場上映時よりも低音を効かせたサウンドに加え、ミュージカルシーンではミラーボールやカラフルな照明がフロアを演出。スター俳優が登場すると、観客はクラッカーを鳴らして大熱狂だ。特に、ボリウッド界のスーパースター、シャー・ルク・カーンが半裸でダンスするシーンで会場のボルテージは最高潮に。インド舞踊の衣装に身を包んだダンサーも登場して客席に乱入するなど、まさにライヴやクラブイベントの光景そのものだった。

 本作のマサラ上映には欠かさず駆けつけるというファンは、「この映画は何度観ても盛り上がってしまう大好きな作品。せっかく盛り上がった時に踊れるのは本当に気持ちいいし、会場の一体感が病み付きになってしまう。普通の劇場や家で映画を観ていてもなかなか”大騒ぎ”ができないというフラストレーションがあったので、もっとこういうイベントが増えて欲しい」と述べる。また、別の客は「普段やクラブやライヴハウスというと少しハードルが高く感じてしまうが、今回は映画上映ということを知って来てみた。他の客もみんな友好的で楽しかった」と、マサラシステム上映の初体験を楽しんだ様子。
 
 宣伝担当者によれば、「インド本国でも劇場で踊りながら鑑賞するスタイルがあると聞くが、ライヴハウスで爆音上映、というのは珍しいはず。今まで実施したマサラシステム上映がこちらの想像以上の盛り上がり方だったので、いっそのこと座席をなくしてオールスタンディングの会場をセッティングした。インド映画に限らず、劇場が一体になって思う存分映画で盛り上がる、という新しいエンターテイメントの形が広がって欲しい」と述べる。
 
 映画といえば座っておとなしく観るもの…という既成概念を取り払う新しい鑑賞方法、今後も要チェックだ。映画『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』は渋谷アップリンクなどで上映中。また、渋谷アップリンクでは5月8日(水)、キネカ大森では5月18日(土)にそれぞれ、マサラシステム上映を実施予定だ。