映画『横道世之介』(よこみちよのすけ)が全国絶賛公開中です。原作は、『パレード』や『悪人』など著作が次々と映画化されている吉田修一の同名小説。『南極料理人』、『キツツキと雨』の沖田修一監督が、不器用ながらも真っ直ぐに生きる世之介と周りの人たちを優しさとユーモアに富んだ演出で包み込みます。主人公、横道世之介に高良健吾、ヒロイン与謝野祥子に吉高由里子、世之介の友達・倉持一平に池松壮亮、世之介が憧れる年上女性・片瀬千春に伊藤 歩、女性に興味を持てない世之介の同級生・加藤雄介に綾野 剛、世之介と同郷の友人役に柄本 佑、親戚役に黒田大輔ら若手実力派俳優が出演しております。 本日3月11日(月)、世之介のガールフレンドで社長令嬢のヒロイン・与謝野祥子を演じ、『横道世之介』愛を公言している吉高由里子と、彼女を“爆発力のある女優”と高く評価する沖田監督が、映画のヒット御礼として撮影秘話たっぷりのトークを繰り広げました。

【日時】 3月11日(月) 【場所】 渋谷HUMAXシネマ シネマ1
【登壇者】吉高由里子、沖田修一監督
 
 二人で舞台挨拶に立つのはこの日が初めてということもあり、お互い緊張気味の様子だったが、「高いところからですみません」と二人そろって観客にあいさつするなど息はピッタリ。また、震災からちょうど2年目となるこの日、沖田監督は「一年前のこの日はちょうど吉高さんと二人でカメラテストをやっていた。今日こうして無事に舞台挨拶ができてうれしい」とあいさつ。吉高は「震災から2年、まだ復興作業や復旧作業が続いていますが、こうして笑ってくれているお客さんがいることがうれしいです。高良くんが『観終わっても続いていく映画』と言っていたけど、私も公開日にその意味が分かった気がしています。今と対面して戦っているのは事実だと思っていて、こういう日は風化しないで自分の中に閉じ込めていたいと思っています。みなさんの張りつめた気持ちをたまにゆるめたり、リラックスしたりできるような娯楽として、この映画が残っていければいいなと思いますし、私にとってもそういう映画になりました」と真摯に語った。
 吉高は現場では「放牧されたような気持でのびのびとやらせていただいた」と当時を振り返るも、「クランクインの日はすごく緊張していて高良くんとは一言も話さなかった。高良くんは(クランクインから約一週間後の)長崎ロケのときにはもう世之介キャラが爆発していた気がする」と『蛇にピアス』以来5年ぶりの共演となる高良の演技を称賛。これには沖田監督が「吉高さんもそうだった。こちらが用意した分だけきちんと返してくれる女優さんだと思っていたから、できるだけの準備をしようと思った」と絶賛。世之介の部屋で祥子が洗濯物をたたむシーンを挙げ、「台本には全然なかったのに、吉高さんと高良さんのアドリブですごくおもしろくなった」と監督のお気に入りのシーンになったことを明かした。
 祥子役がとにかくかわいいと評判の吉高。それについて「好きなシーンがたくさんあります。本当に私の好感度を上げてくれた映画でした」と役得だと感謝し謙遜しつつも、司会者から祥子のまっすぐなところがいいと言われると、「それはきっと私の地が出ちゃってるんですね」とおどけみせた。
 そんな吉高について、監督は「今後もキャスティングを考えるときに吉高さんは絶対に出てくると思う。スタッフのみんなと映画を作ってくれる。いろいろ挑戦してくれるし、祥子の役にプレッシャーを感じていたのもうれしかった。本気でいい映画にしようと取り組んでくれている証拠。またぜひやりたい」と絶賛。吉高は「うれしい。また一緒にやりたいという気持ちが両想いになってしまったから、また監督と一緒にできるまでこの仕事を続けていかなきゃいけないという課題もできた。うれしい約束です」と監督に応えた。
 また、駆けつけた観客の中にはリピート客も多く、吉高が客席に向かって「何回観てくれましたか?」と問いかけると、「4回!」「5回!」「6回!」と客席から答える声が。これには吉高も「すごい!競りみたい!」とはしゃぎながらも「何回も見てくれたのをこうして実際に感じることができてうれしいです。みんなに長く愛される作品だと思う。また映画館に観に行こうと思っているので、もしお会いしたときは『ごきげんよう』と手を振ってくださいね!」とあいさつし、舞台挨拶は終了した。