11月10日に公開になりました劇場版アニメ『ねらわれた学園』。12月6日に、中村亮介監督と、本作で斉藤先生役を演じた声優の木内秀信が登壇し、演技論トークショーが行われました。演出する側の監督、演じる側の声優として演技論を熱く語り合いました。
 来場者からも質問が飛び交い、会場は大いに盛り上がりました。

◆日程 : 12月6日(木) 
◆出席者:中村亮介(36・監督)、木内秀信(43・声優)
◆場所 :新宿ピカデリー スクリーン8 (東京都新宿区新宿3丁目1-26 新宿三丁目イーストビル 9階)

<中村亮介監督>
  僕の監督作では毎回僕の希望で木内さんっをキャスティングさせていただいています。本作でもシナリオを描きながら、斉藤先生に関してはすでにその時点で木内さんをイメージしていました。ほぼ当て書きですね。木内さんの独特の癒しを持ったお声が大好きで今回もオファーさせていただきました。
  僕は自分の中で役のイメージを固めてからアフレコの演出に臨みますが、こちらがイメージしていたものと違う芝居を声優の皆さんが演じられて、それがぴったり自分の描きたい世界と一致したりするという面白いこともあります。ですから声優の皆さんにも絵に合わせるよりは絵からのインスピレーションでアフレコしていただきたいと思っています。本作での冒頭のシーンは収録にもかなり時間をかけたのですが、その意図はどこかリアルでない、おとぎ話のような感じを出したいと考えたからなんですよね。
  (監督のこだわりを聞かれて)色々な意味でタイミングだと思います。間であったりセリフの掛け合いであったり。僕は絵描き出身の演出家ではないので、映画をよくするためには、一番はタイミングだと考えているんです。自分が思い描いたようにセリフや音がはまった時は本当に気持ち良い演出ができるのです。作品が出来上がっていつも思うのは、いろんなパートの人たちの参加により、自分が当初、思い描いていたものをはるかに超えていくんです。声優さんとのアフレコの時も同じです。その瞬間、とても心地よくなります。

<木内秀信>
  中村監督とは監督がマッドハウスにいたときに演出をしていた作品で初めてご一緒しました。監督がそれを覚えていてくださって、後々色々な作品でオファーをいただきました。ありがたいことです。僕はいつまでも声優なのですが(笑)、作品を作られるみなさんがどんどん出世されて、一度ご一緒した方からオファーいただけるのは、役者としてとても嬉しいです。
  本作もオーディションではなく、斉藤先生役を監督からオファーされました。僕にどんな先生役を求めていただけたのか分からなかったので、自分なりの斉藤先生像をイメージしてアフレコに臨んだのですが、現場で覆されました。監督の求める斉藤先生像をそこでイチから再度、作り上げた感じですね。監督も現場では演出にはこだわられるタイプなので、僕もそれに応えるべく、演じました。今回のアフレコもかなり時間をかけましたね。
  (特に好きなシーンを聞かれて)僕は後半、唐突にケンジが京極を海に誘うシーンが好きですね。この作品を象徴するようなシーンだと僕は感じていて、戦いのシーンに行くのかと思ったらまるでデートに誘うかのように海に行こうと言い出す。ここに監督が意図するこの作品の中の登場人物たちの何か気持ちのつながりを表現したいのかなと思いました。
  (会場のお客さんの中に複数回見た人がいることを知り)会場には本作を7回観て頂いた方もいらっしゃいましたが、一回目は見終わっても分からないところが多いと思うんです。2回目見ると伏線に気がついたり、色々わかってくるところがあると思います。噛めば噛むほど心にしみてくる作品だと思うので、まだ1回目という方も、2回目・3回目と足を運んでいただけたらと思います。