単なる動物映画の範疇を超え、家族や、管理所に関わる人々の衝突や葛藤をドラマティックに描き出したエンターテインメント作品、映画『ひまわりと子犬の7日間』。

2007年、宮崎県の保健所で起こった犬と人間の奇跡の実話を、20年にわたり、山田洋次監督作の共同脚本・助監督をつとめてきた平松恵美子監督が映画化。巨匠とともに“日本の家族”を見続けてきた女性監督が、現在の日本で、飼い主のいない犬が置かれている状況を逃げることなく真っ直ぐに描き、心に残る、新たな感動作を誕生させました。

そしてこの度、東京国際映画祭期間中に開催する第25回東京国際女性映画祭(TIWFF)にて、平松恵美子監督と本作出演の吉行和子さんによるティーチインが行われました。
上映終了後、主人公の彰司(堺雅人)の母親を演じた吉行さんと、平松監督が登場すると、会場は温かい拍手に包まれました。
ティーチ・インでは、撮影時のエピソードなどが語られ、会場は大に盛り上がりました。
今回がフィナーレとなる東京国際女性映画祭にふさわしい一幕となりました。

【ティーチ・インの模様】

●司会
なかなか泣ける映画でしたね。

●平松恵美子監督(以下、平松監督)
人の心を動かせる映画になるかどうかは、編集作業が終わる、最後の最後まで自信がありませんでしたが、どうにかそういった映画になって良かったです。

●司会
それにしても、犬に泣かされるなんて悔しいです。
監督は、犬好きですか?

●平松監督
犬も猫もたいがいの生命体は好きです。

●司会
吉行さんは、最初このお話を頂いていかがでしたか?

●吉行和子(以下、吉行)
最初に脚本を頂いた時、これをどうやって映画にするのか心配しました。
犬の画が本当に多いので。

●監督
それは、私も心配でした。脚本を書いているときは、好き勝手書いて、ドックトレーナーさんが、日本映画で犬の出ている作品をたくさん手がけている方なので、どにかなるだろうと思っていましたが、結構苦労しました(笑)。

●司会
ホームドラマのテイストが、山田洋次監督を踏襲しているように感じる場面がありましたが。

●平松監督
付き合いが20年くらいになるので、似ている部分はあると思います。
物語の語り口や好みが似ている部分はあると思います。

※お客様からの質問

●お客様
主演の堺雅人さんが、宮崎県出身ということもあり宮崎弁がナチュラルで
表情もリラックスしているように感じました。
現場もリラックスしていたのでしょうか?

●平松監督
堺さんも含め、現場がリラックスした雰囲気でした。
堺さん、でんでんさん、オードリー若林さんは、一緒にいるだけで
楽しそうでした。特にでんでんさんがいると、現場は和みました。

●吉行
私は宮崎弁のセリフに苦労しました。堺さんのセリフの量に比べたら大した事ないと頑張ったんですが。何が悔しいって、堺さんが宮崎出身という事を知らなかったんです。(笑)
でも、一緒にやっていて、私が間違えると「間違えるといころが良い」と面白がりながら、教えてくださって気持ちよくできました。

●平松監督
堺さんの宮崎弁より、吉行さんや他の皆さんの方が自然だったと言っている地元の方もいましたよ。これは、堺さんには言えませんが(笑)。

●司会
では、最後に、一言お願いします。

●吉行
この年になって、このような作品に出会えて、本当に恵まれていると思います。
元気でやれたかなと思います。

●平松監督
1月の終わりに吉行さんのアフレコ録りが終了して、「これで、宮崎弁は全部忘れてください」とお話していたんですが、その翌日に、山田組として吉行さんに「『東京家族』に出演して欲しい。」と言いに行きました(笑)
来年1月公開の『東京家族』共々『ひまわりと子犬の7日間』を宜しくお願いいたします。

以上

【東京国際女性映画祭のオープニングセレモニーのご挨拶】

●司会
この映画祭から旅立つ最後の監督、平松恵美子監督です。
今日は、デビュー作の上映となります。
これから、映画を観る方に一言お願いいたします。

●平松恵美子監督
この作品は私のデビュー作品になります。愛情の連鎖をテーマに造りました。
東京国際女性映画際が培ってきた努力と愛情と伝統の輪の一つに、
この作品がなる事ができれば幸いです。

以上