本年度ヴェネチア国際映画祭 コンペティション部門
全世界が注目のワールドプレミア!

ホアキン・フェニックス、フィリップ・シーモア・ホフマン、
ポール・トーマス・アンダーソン監督が初登場。
トム・クルーズも認めた!?サイエントロジー創始者をモデルにした傑作、
すでに全世界で話題騒然!!

『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』から5年、ポール・トーマス・アンダーソン監督の最新作「ザ・マスター」(原題)が本年度ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門で正式上映された。通常の35mmフィルムの規格より高品質とされている70mmフィルムでの上映となり、世界が注目する上映となった。早くも来年のアカデミー賞、大本命ともいわれる本作。

 今年70周年目を迎えたヴェネチア映画祭で、現地時間の9月1日夜、ポール・トーマス・アンダーソンの新作『ザ・マスター』が上映され、大きな拍手とスタンディング・オベーションで迎えられた。18本のコンペティション参加作品のなかで、金獅子賞の有力候補の一本と目される本作は、第二次大戦で心に深く傷を負った兵士(ホアキン・フェニックス)が帰国後、偶然新興宗教の“マスター”、ランカスター・トッド(フィリップ・シーモア・ホフマン)に出会い、セッションを通して深く取り込まれていく様子を描く。カルト的な宗教団体の姿を通して心の傷と信仰のテーマに挑んだ、137分の問題作だ。特に主演のフェニックスとホフマンの演技合戦は見応えたっぷりで、早くも映画祭における男優賞候補の声があがっている。

 サイエントロジーをモデルにしたという前評判もあり、記者会見場は入りきれないほどのジャーナリストで溢れかえった。アンダーソン監督は、「現在のサイエントロジーについてはあまり知らないが、初期の頃のことは知っている」と、創成期を参考にしていることを語った。また、現在ネットで噂が飛び交っているトム・クルーズの反応について訊かれると、彼に作品を見せたことを認めつつ、「あとのことは僕らだけの話。でも彼とはいまも友人だよ」と笑って応えた。
 会見はジョークも飛び交い、なごやかに進んだが、主演のホアキン・フェニックスだけは終始緊張した面持ちを崩さず、途中で一瞬姿を消すなど、挙動不審な一面も。役作りに関する質問にも、口べたなのか、「よくわからない」と言葉を濁した。一方、フィリップ・シーモアはレッドカーペットでも観客のサイン攻めに応えるなどのファンサービスを行った。
 ヴェネチア映画祭でのワールド・プレミアの反響は、翌年のアカデミー賞に至るさまざまな賞レースに影響を与えると言われている。今回の高い評価を見る限り、間違いなく本作は2012年度の最重要作品になるだろう。