大阪市淀川区の十三・第七藝術劇場では、今年のゆうばり国際ファンタスティック映画祭コンペ部門に登場した注目作品を連続公開している。

9/1(土)、『どんずまり便器』の小栗はるひ監督が関西公開の初日舞台挨拶に登場した。第6回CO2(シネアスト・オーガニゼーション大阪)助成作品として制作された本作。ゆうばりファンタでは、主演の菜葉菜さんがベストアクトレス賞を受賞。弟への愛を押さえきれない姉をヒロインに、かさぶたを剥いでかさぶたを作るような人生に寄り添って描かれている。
小栗監督は、この映画のように恋愛的ではないが、実兄に対する割り切れない想いがあったという。
「この映画を作ったことで、同じような思いを持っている人が家族愛を思い出してもらえたら嬉しい」
また、徹頭徹尾“性”を描く映画にしたかった。という小栗監督。
「今村昌平監督や大島渚監督のような好きな監督たちがやってきたことに自分なりのアレンジを加えて、性に向き合って撮った映画です」

小栗監督に女性の観客から「女性が自分の体を汚いものと思い込まされるなど思い当たる部分はある。誰もがあまり表には出さないし、表現する場がない感情を拾い上げていた」と共感の声が寄せられた。
『どんずまり便器』は9/7(金)まで上映、最終日には弟・圭役の中村邦晃さんが登壇予定となっている。

8/25(土)から好評公開中の内藤瑛亮監督『先生を流産させる会』。実際に起こった事件をモチーフにした作品で、大人への成長過程で性に対する嫌悪感から禁断の攻撃を仕掛ける女子中学生たちと妊娠中の女性教師との闘いを描いている。

9/1(土)の舞台挨拶に登場したのはサワコ先生役の宮田亜紀さん。映画の中で強い“女”を演じきった姿とは対照的に華奢なドレス姿を披露。
「東京の公開前にはタイトルのまがまがしさからネット上での反発があったが、評論家やカナザワ映画祭、ゆうばりファンタで観て下さった方々が応援してくれました」と感謝の気持ちを語った。

観る人によって大きく評価が分かれる作品であるという点について、
「先生側の視点で熱く観てくださる方もいれば、生徒側の視点で“サワコ先生大嫌い!”という方も。大人になっても少女の視点を忘れていない、いい感想だと思います」
是にせよ非にせよ、観た後に語りたくなる映画『先生を流産させる会』は、9/14(土)までの上映予定となっている。

“ゆうばりファンタが生んだ新しき才能たち”第3弾として、キングオブコメディの今野浩喜さん、田代さやかさん主演・鈴木太一監督作品『くそガキの告白』が控えている。
親と同居しながら映画監督を目指す鬱屈した30男と女優になりたい3流グラドルの本気の恋の行方をオカルトテイストを交えて描いた熱い作品。
今年のゆうばりファンタでは、“審査員特別賞”、マスコミ・興行関係者が選ぶ“シネガーアワード・ベストアクター賞(今野浩喜)”、市民が選ぶ“ゆうばりファンタランド大賞人物部門(今野浩喜)”の四冠を獲得した。
『くそガキの告白』は9/29(土)から10/19(金)まで上映予定となっている。

(Report:デューイ松田)