8月4日より、「ディア・ピョンヤン」「愛しきソナ」ヤン・ヨンヒ監督の新作『かぞくのくに』が、テアトル新宿、109シネマズ川崎ほかにて公開いたしました。
本作は世界の数々の映画祭での出品が決定しており、本日、8月4日(土)に日本での公開に先駆け「ジャパンプレミア試写会」を開催し、ヤン・ヨンヒ監督、安藤サクラ、井浦新が登壇し、下記内容のトークイベントを行いましたの。

☆詳細☆
【日時】 8月4日(土曜日) 
【トークショー時間】11:40〜12:00  
【場所】テアトル新宿 
【ゲスト】 ヤン・ヨンヒ監督、安藤サクラさん、井浦新さん

『かぞくのくに』は、病気治療のために25年ぶりに北朝鮮から一時帰国した兄ソンホ(井浦新)と、彼を迎える妹リエ(安藤サクラ)ら家族の姿を通し、価値観の違いと変わらぬ家族の絆を綴っていく人間ドラマ。日本と北朝鮮。二つの国に分かれて生きる家族のやり場のない感情が、生々しく突き刺さる本作。ドキュメンタリー、『ディア・ピョンヤン』(06)『愛しきソナ』(09)のヤン・ヨンヒ監督の実体験をもとに描くフィクション映画である。
公開初日をむかえた今日、監督の分身的な役柄であるリエを演じた安藤サクラは「ちょうど去年の今ぐらいの時期に撮影をしていましたが、暑いし、現場の熱量もすごかった。そして何より、監督の思いが熱かったので、私はショートしていた。この作品は監督の強い思いから出来ているので、今日公開できて嬉しいです。『自分の思いは世界に向けている』という監督の言葉通り、今日から色んな人に届いてほしいと思っています。」と感慨深く語った。
監督の3人の兄を集約したような兄ソンホ役を演じた井浦新は、「皆さんに観ていただいた今日この日が、作品が完成し、独り歩きしていく記念すべき日。皆さんの心に何かが残って、何かが生まれれば幸いです。もしこの作品を気に入っていただけたのでしたら、ご家族やご友人に薦めていただきたいです。」と満員になった劇場のお客さんに向けて丁寧な言葉で語った。
今作の脚本を執筆し、原作本も手掛けたヤン・ヨンヒ監督は、「今日この日を迎えるまで緊張の毎日でした。この作品は素晴らしいスタッフとキャストの皆さんに支えられて完成した作品です。撮影時は出演者の大森立嗣監督に「地べた這いずりまわって映画作ってますね」と言われたぐらい皆がドロドロになってました(笑)。今日という日をむかえられてホントに嬉しい。私は家族に会うこと、兄に会うことを引き換えにこの映画を作ることを選びました。」と目を潤ませながら、この作品に対しての並々ならぬ思いを語った。
撮影期間は猛暑が続き、撮影初日からカメラが壊れるなどのトラブルもあり、「初日はまとまらず、みんなで悩んでいた」と安藤が振り返り、「兄弟の距離感をどう表現するか、いろいろと試して撮影をしていた」と井浦が続けると、
ヤン監督は「動きやしゃべり方を指示するのではなく、私自身の思い出話をたくさんした。そこから二人がそのエキスを吸い取って、本当の兄弟になってくれた」と二人の才能を絶賛し、現場での演出を語った。

本作はベルリン国際映画祭で革新的な作品や新しい映画作家の作品を上映するフォーラム部門に出品されC.I.C.A.E.(国際アートシアター連盟)賞を受賞したのを皮切りに、シドニー映画祭/スペインのグラナダ映画祭/南アフリカやスウェーデン、韓国、ロシアなど、海外の10の映画祭に出品されることがすでに決定している他、新たにモントリオール映画祭への出品も決定し、7月11日には、パリ・シネマ映画祭のコンペティション部門でブロガーの審査員の心を最もつかんだ作品に贈られる「Heart-winning film of the Blogger Jury」に選出された。また、ヤン監督の念願だった、韓国での公開も決定している。
世界各国で大反響を呼び、監督の実体験を基にしている本作。ヤン監督は、「映画の背景ある問題を理解していただけたらそれに越したことはありませんが、あくまで映画なので、怒りや悔しさ、共感などを感じてほしいです。哀しい話ではあるけれど、小さな家族の物語として観てほしい」と真摯に語った。

『かぞくのくに』は8月4日よりテアトル新宿、109シネマズ川崎他全国順次公開。